明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2005-01-01から1年間の記事一覧

新作DVD『リリス』『悶絶!!どんでん返し』ほか

DVD

★『エリック・ロメール コレクション DVD-BOX IV』収録の『レネットとミラベル四つの冒険』の字幕に間違いが見つかったので、購入した人がいたら不良品のディスクを返送して、正規のものと交換してほしいとのこと。詳しくはここで。 ■『岡本喜八監督作品DVD-…

アッバス・キアロスタミ『5 five 〜小津安二郎に捧げる〜』

車のなかで人物が会話する10のシークエンスのみで構成されていた前作『10』の数字を半分にしたタイトルを持つ『5 five』は、『10』よりもさらに贅肉をそぎ落とした究極のミニマル映画だ。ここでは10のシークエンスどころか、5つのショットしかない。登場人…

『マルタの鷹』『ローラ殺人事件』

ホームページに載せる「フィルム・ノワール ベスト50」を書くために、何本か久しぶりに見直した作品のなかで、『マルタの鷹』が意外にも良かったので驚いた。この名作を「意外にも良かった」と書くのもどうかと思うが、もうずいぶん以前にはじめて見たときは…

『ガザ回廊』

いつの間にか今年もあと一ヶ月になってしまった。年末になってもいろんなことがあるね。ドイツはメルケル首相の就任のごたごたで揺れてるし、イランでは急進派の新大統領が「イスラエルは地上から消えるべきだ」などといったりして国際社会で物議を醸してい…

12月の新作DVD『ザ・ウエスタン・ムービーズ VOL.4』ほか

DVD

■『殺人に関する短いフィルム』衝動的に殺人を犯してしまった青年の死刑執行に至るまでをリアルに描いた、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の名作。 ■『アンディ・ウォーホル DVD-BOX』アンディ・ウォーホル製作の「フレッシュ・フォー・フランケンシュタイ…

鈴木英夫『非情都市』

わたしが見た鈴木英夫作品の中ではこれが一番面白かった。スクープを取るためには恋人さえも犠牲にする事件記者(三橋達也)が、結局自分も社会の歯車の一つとして押しつぶされてゆく様を描く。自分の書いた記事で人が死のうがどうしようが意に介さない憎々…

『吉田喜重ドキュメンタリー集』ほか

DVD

■マキノ雅弘『鴛鴦歌合戦 コレクターズ・エディション』 この映画でマキノに狂った人は数知れないはず。和製ミュージカル映画の怪作にして傑作。 ■キム・ギドク『受取人不明』 キム・ギドクの2001 年度作品。たぶん関西では未公開のはず。 ■『マッド・ボンバ…

『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』

DVD

妙な映画である。 監督は『エクソシスト3』のウィリアム・ピーター・ブラッティ。あれは純然たるホラーというよりはサイコ・スリーラーといった方がいいかもしれない作品だった。この作品もはたしてホラーと呼んでいいのかどうか自信はない。たしかに、霧深…

『勝手に逃げろ/人生』『ディープ・スロート』ほか、新作DVD

DVD

■『トリコロール/青の愛』/『トリコロール/白の愛』/『トリコロール/青の愛』ストーリー・テラー、キエシロフスキの「トリコロール」三部作。 ■『風と共に散る』ダグラス・サークのメロドラマの傑作が今度は980円で。いまならさらに10パーセント割引。 ■『道…

フランスの郊外

いまフランスがたいへんなことになっている。日本のメディアでもようやく伝えられはじめたが、10日ほど前からフランスでとんでもない暴動騒ぎが起きている。パリ郊外のクリシー(ヘンリー・ミラーに『クリシーの静かな日々』という小説がある。シャブロルが…

11月のDVDニュー・リリース

DVD

■『ジャン・ヴィゴ DVD-BOX』 ■グスタス・マハティ『春の調べ』 ■フリードリッヒ・ムルナウ『最後の人』 (セリフさえ排した究極のサイレント映画。エレベーターの下降にあわせてするすると舞い降りるキャメラの流麗な移動撮影が心躍らせる) ■『顔のない女…

ウィリアム・フリードキン『フレンチ・コネクション』

昔はどうでもよかったこういう映画も、いま見ると結構面白く見れてしまう。それだけいまのハリウッドの映画が面白くないということか。ジョン・フランケンハイマーの『フレンチ・コネクション2』は一作目に比べて冗長な仕上がりだったが、どちらも幕切れの…

村川透『もっともあぶない刑事』(89)

村川透にまだ余力が残っていたころの作品だが、館ひろしと柴田恭平が結婚式の新郎のような格好で、むなしいダンディスムをふりまくこのシリーズでは、さすがの村川透でもいい映画は撮れない。廃ビルでの場面だけは彼らしいきれを見せているが、これも結局自…

『ブリット』『夜の大捜査線』『ドリフト』

2005年10月20日 ▽ピーター・イエーツ『ブリット』同じサンフランシスコの坂道を、マックィーンがトップギアで車(ダッジチャージャーっていうの?)を疾走させる『ブリット』よりも、ジェームズ・スチュワートがゆっくりと車を走行させる『めまい』のほうが…

ダグラス・サークの季節到来?

ダグラス・サークの『Scandal in Paris』『Accord final』ほか数作品が東京横浜などで上映される模様。ちなみに、『Scandal in Paris』はDVD上映。これはたぶんわたしがもっている北米版のDVDだと思う。2000円も出せば手に入るものだが、今回の上映では入場…

10月の新作DVD

DVD

アイ・ヴィー・シーがなぜか大量に2枚組を発売。組み合わせは無数にあるのでここに書ききれない。自分の趣味にあった組み合わせを選びましょう。個人的にはもっと安くしてばら売りにしてほしかった。ロマン・ポルノ作品が続々発売されそうな気配。ついでに…

『七人の無頼漢』DVD化が始動、か?

バッド・ベティカーの西部劇『七人の無頼漢』のDVD化への投票をホームページで前々から呼びかけているのだが、どうもこれまであまり手応えがなかった。当分のあいだ孤独な戦いをつづけなければならないのかと思うと憂鬱な気分になる。しかし、先日ひさしぶり…

ロバート・ワイズ亡くなる

『ウェスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』などで知られるロバート・ワイズ監督が14日、亡くなった。というか、まだ生きていたのかとちょっと驚いた。個人的には、物語の時間と映画の時間をシンクロさせて描いたボクシング映画(フィルム・…

『ヌーヴェル・ヴァーグの時代』

昨日の続き。この『ヌーヴェル・ヴァーグの時代』という本はほんとにすごい。次から次へと意味不明の文章の連続だ。リヴェットの文章につづいて、今度はアンドレ・S・ラバルトが書いたクロード・シャブロルの『気のいい女たち』論を読んでみた。のっけから…

リヴェトの『大人は判ってくれない』論

ひさしぶりにひどい翻訳を読んだ。いや、別にひさしぶりでもないのだが、原文を読むまでもなく、これほどはっきりとひどいとわかるものを読むのはひさしぶりだった。わたしがいっているのは、『ヌーヴェル・ヴァーグの時代』(エスクァイアマガジン ジャパン…

デルマー・デイヴス『決断の3時10分』

デルマー・デイヴスは、これといったスタイルを持たず、その欠点を題材の新しさでカヴァーし、毎回スタイルを変えていきながら映画を撮り続けた作家である。たしかに、突出した作家ではなかったが、世代的に、また作風からいっても、ジョン・フォードやアラ…

ポール・ギャリコ『ジェニィ』

突然まっ白な猫になってしまったピーター少年は、大好きなばあやに、冷たい雨のそぼ降るロンドンの街へ放り出された。無情な人間たちに追われ、意地悪なボス猫にいじめられ──でも、やさしい雌猫ジェニィとめぐり会って、二匹の猫は恋と冒険の旅に出発した。…

モンテ・ヘルマンの『銃撃』『旋風の中に馬を進めろ』

モンテ・ヘルマンの『銃撃』は不思議な西部劇だ。 ずいぶん昔に見たときは、 字幕なしのフィルムだったせいで、話がよくわからなかった。今回この作品と同じくモンテ・ヘルマン作の『旋風の中に馬を進めろ』があわせてDVD化されたので、字幕付きで久しぶりに…

ストローブ=ユイレのDVD

DVD

ストローブ=ユイレのDVDコレクション(といってもこれまでに発売されているのは、『アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記』と『アメリカ』のふたつだけだが)に新しいDVDが加わった。『ストローブ=ユイレ・セレクション3』と題したそのDVDには、『セザン…

映画新作DVD ベスト・セレクション▽

DVD

■ジャン=ピエール・メルヴィル『マンハッタンの二人の男』 Deux hommes dans Manhattan (ベッケルとメルヴィルは、ヌーヴェル・ヴァーグ世代の作家たちにとっての兄貴的存在だった。 ゴダールの「勝手にしやがれ」は、この作品のニューヨーク・ロケの夜間…

▽ニコラ・フィリベール

『ルーヴル美術館の秘密』は『ぼくの好きな先生』のあとで撮られた映画なのだと思っていたが、実は1988年に撮影されたことを知った。してみると、あのなかで描かれていたルーヴルの改装は、わたしがフランスに行く前のことになる。フィリベールがはじめて映…

「スキャンダル大戦争」──大江・深沢の幻の天皇小説

そういえば、鹿砦社の編集長だったか社長だったかが名誉毀損かなにかで捕まった。「スキャンダル大戦争」という本のシリーズで知られる出版社だ。テレビの報道では、扇情的な表紙のこの本というか雑誌をならべた映像が使われていた。この出版社は、他社が尻…

スピルバーグの新作

物議をかもしているスピルバーグ監督の次回作のタイトルが「Munich」に決定した模様。内容は72年のミュンヘン・オリンピックで実際に起こったテロ組織「黒い9月」によるテロ事件を題材にしたもので、ピュリッツァー賞作家トニー・クシュナーが初の映画脚本…