明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

溝口健二DVD化、始動

DVD

今日は、藤田敏八の『修羅雪姫』のことを書こうと思っていたのだが、書けば書くほどまとまらなくなったので、後回しにすることにした。釈由美子版『修羅雪姫』でも見て、気分を変えてもう一度トライしてみよう。 というわけで、芸がないが、DVDの紹介でもし…

アレクサンドル・ロゴシュキン『ククーシュカ』

アレクサンドル・ロゴシュキン『ククーシュカ』(2002)★★ラップランドの存在を初めて知ったのは、たしか大島弓子のなにかのマンガのなかでだった。少女マンガの主人公が夢見る不思議の国。どこか遠い遠いところにある夢の国。マンガのなかにだけ存在する場…

新作DVD〜『世界』『ロード・オブ・ドッグタウン』ほか

DVD

■ジャ・ジャンクー『世界』7/28 ■ジャック・アーノルド『大アマゾンの半漁人』50年代モンスター映画の古典的傑作。子供の頃この映画を見たときの衝撃は忘れがたい。 ■青山真治『エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版』7/26 ■『ロード・オブ・ドッグタウン』…

あの『神聖喜劇』がマンガになった

なんだかんだいって、ワールドカップの試合はほとんど見ているので、最近寝不足気味だ(昨日のベッカムのゴールは美しかった)。虫歯の治療もまだ終わらないし、プラス、胃の調子もちょっとおかしい。おまけに、テレビの調子もますますおかしい。昨日ぐらい…

こんな名前で出ています〜ジョージ・キューカーの『有名になる方法教えます』ほか

DVD

劇場未公開作品のDVDはでたらめなタイトルを付けて売り出されることが多く、かなり映画に詳しい人でも気づかないでいることがあります。というわけで、わたしでさえ見逃していたDVDをいくつかピックアップして紹介してみました。 ■ジョージ・キューカー『有…

『フーコー・コレクション2 文学・侵犯』

訳あってギリシアの近代史について書いた本を何冊もまとめて読んでます。ギリシアは1830年にオスマン・トルコから独立するのですが、実情は、自力で独立したというよりも、西洋列強の思惑によって独立させられたというほうが近かったようです。その後も西洋…

20世紀最後の傑作〜アレクセイ・ゲルマン『フルスタリョフ、車を』

アレクセイ・ゲルマン『フルスタリョフ、車を』★★★★ この映画を見るのは今回が2回目だ。初めて見たときは、わけのわからないパワーにただただ圧倒されっぱなしだった。見ているあいだも、見終わったあとも、「これはいったい何なんだ」という巨大な疑問符が…

新作DVD〜『日本侠客伝BOX』『椿姫』ほか

DVD

■フランク・ロイド『世界名作映画全集 カヴァルケード』7/25 レオナルド・ディカプリオの『タイタニック』以前にもタイタニックを描いた映画はたくさんあったが、そういうスペクタクル映画よりも、この映画にちらりと姿を現すタイタニックの控えめで効果的な…

ファントマ映画祭2006

ルパンやジゴマ、ドラルーなどと並んで、ほとんど現代の神話と化しているファントマ。フランスでは知らぬ人のないこのファントマの伝説を作り上げるもとになった、ルイ・フイヤードのサイレント映画『ファントマ』3部作の特別限定上映が行われる模様。メトロ…

ソクーロフ『ファザー、サン』

アレクサンドル・ソクーロフ『ファザー、サン』★★チラシにはソクーロフの最高傑作と書いてある。客の入りがそれほど見込めないミニシアター系の作品の宣伝には、最新作のたびに「最高傑作」という文句が使われるので、今更こういう文句を信じていたわけでは…

成瀬巳喜男『君と別れて』『夜ごとの夢』

成瀬巳喜男『君と別れて』(33)★★★ 『夜ごとの夢』(33)★★★ 同志社大学 寒梅館ハーディホールにて。『君と別れて』は成瀬のサイレント時代の代表作に数えられる作品。松竹蒲田の撮影所長の城戸四郎に「小津は二人いらない」といわれたのはこの前年。逆に、…

黒沢清の新作ホラー、まもなく公開

黒沢清の新作ホラー『LOFT』がこの秋、テアトル新宿、シネ・リーブル池袋などで公開されます。 スランプに陥り、東京郊外に引っ越してきた女性作家・春名礼子。ある日彼女は、向いの家に得体の知れない物体を運び込む男を目撃する。男はある研究に没頭してい…

新作DVD『ルイス・ブニュエルDVD-BOX2』ほか

DVD

■『ルイス・ブニュエルDVD-BOX2』『ルイス・ブニュエル DVD-BOX1』につづく第2弾。ブニュエルのメキシコ時代の『ナサリン』『ビリディアナ』『砂漠のシモン』を収録。四方田犬彦による解説リーフレット付。 ■『フェリーニのローマ』7/14 夢と現実、現在と過…

テレビのなかのスポーツ〜「カイエ・デュ・シネマ」によるワールドカップ

TV

先日、 "Petite anthologie des Cahiers du Cinéma" のセルジュ・ダネーの文章にふれたが(ここを参照)、読んでいてどうも意味が通じないところがある。最初は、自分の頭が悪いのかと思ったが、どうもそれだけではないようだ。前にもふれたが(ここを参照)…

7月の新作DVD『マルクス兄弟オペラは踊る』『三人の名付け親』ほか

DVD

■マルクス兄弟のコメディ 『マルクス捕物帖』7/14 『マルクスの二挺拳銃 特別版/マルクス兄弟デパート騒動 特別版 』 『マルクス兄弟オペラは踊る』 『マルクス一番乗り特別版』 『マルクス兄弟珍サーカス 特別版』 ■ジョン・フォード『三人の名付け親』 ■ジ…

プラネットで満映娘に会う

京都のみなみ会館に成瀬巳喜男の『杏っ子』と『夜の流れ』を見に行く。みている途中で携帯に着信があったので後で確認してみると、PLANET studyo plus one の富岡氏からの電話だった。自宅のパソコンが壊れたのですぐにきてくれという。来てくれといわれても…

サッカーとか、カイエ・デュ・シネマとか

このブログも徐々にアクセスがふえてきているのか、いないのか。よくわからん。やっぱり、本格的なアクセスカウンターをつけないとだめなのか。無料のアクセスカウンターを試しにつけてみようとしたが、script は動かせなかった。はてなの有料オプションを使…

新作DVD『キャビン・イン・ザ・スカイ』『ハレルヤ』ほか

DVD

■ヴィンセント・ミネリ『キャビン・イン・ザ・スカイ』 『緑の牧場』(The Green Pastures, 1936)以来初のオール黒人キャストによるハリウッド映画。ミネリの事実上のデビュー作。 ■キング・ヴィダー『ハレルヤ』 6/2付けですでに発売されています。見逃して…

成瀬巳喜男にそなえて、生活を変える。

最近、夜型生活がさらに進行し、寝る時間が前にもまして遅くなってきた。たまに朝早く起きなければならないことがあるとつらい。今週末から、京都のみなみ会館で、成瀬巳喜男の『杏っ子』と『夜の流れ』がかかるので、それにあわせて朝型に生活を変えておか…

新作DVD『恐怖の足跡』『地獄へつゞく部屋』ほか

DVD

■『恐怖の足跡』知る人ぞ知るB級カルト・ホラーの傑作。『シックス・センス』はこれのリメイク? ■ウィリアム・キャッスル『地獄へつゞく部屋』ギミックを使った上映で物議をかもしたホラー監督の代表作。『TATARI たたり』としてリメイクされた作品のオリ…

潔癖性の古本好き

ナボコフの『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を読み始める。古本屋で安値で買ってそのままにしてあったものだ。まだ50ページしか読んでいないが、おもしろい。ナボコフ同様亡命ロシア人の語り手が、早世した小説家である腹違いの兄セバスチャン・ナイト…

空想の美術館〜堺でアルフォンス・ミュシャが見れるって?

「迷宮美術館」というテレビ番組を毎週見ているのだけれど、こないだその番組を見ていて、大阪の堺にミュシャの美術館があることを知って驚いた。すごく地味な活動をしているようで、近所の人さえ知らないらしい。どうやら公式ホームページもないようだ。し…

リチャード・フライシャー『Trapped』

ホームページにアンドレ・ド・トスの詳しいバイオグラフィーをアップ(新発見。実は、ド・トスの最初の奥さんはヴェロニカ・レイクだった)。ド・トスは30年代から映画を撮り始めた監督だが、60年代に入ったとたん、ハリウッドから逃げるようにしてイタリア…

デルマー・デイヴィス『縛り首の木』

デルマー・デイヴィス『縛り首の木』The Hanging Tree ★★☆デルマー・デイヴィス(デイヴスとも書く)の西部劇の代表作に数えられる一本。西部劇のかたちを借りた文芸映画。リンチ映画。50年代的西部劇と60年代的西部劇の過渡期的作品。この映画を見直すのは…

ブラウザ環境の違いによる問題点

たまたま環境をかえてこのブログを見てみたのですが、ブラウザによって結構見え方が違うことに気付きました。スタイル・シートをいじり過ぎて、自分でもわけがわからなくなりつつあるので、その影響もどこかで出てくるかも知れません。Internet Explorer 5.1…

絵画は映画に撮られるために存在する〜『ダ・ヴィンチ・コード』雑感

『ダ・ヴィンチ・コード』★★『ダ・ヴィンチ・コード』は、カンヌ映画祭で上映されたときのあまりの評判の悪さをフランスのメディアを通して聞いていたので、それほど期待していなかったが、さすがはロン・ハワード作品だけあってそれなりに楽しめる作品にな…

鈴木道彦訳『失われた時を求めて』

抄訳版でしか出ていなかった鈴木道彦訳マルセル・プルースト『失われた時を求めて』の完訳版が、ついに文庫で出ました(情報が少し古いですが)。わたしはおおむかしに、大学の夏休みをかけて、井上究一郎訳で読み通しました。疲れましたが、えもいわれぬ体…

あなたは「モナ・リザ」をハサミで切れますか

右足の靴の裏がはがれたので、接着剤でくっつけて使っていたのだが、しばらくするとまたはがれてくる。そのうち、大丈夫だった左足の靴まで、町を歩いているときにチャップリンのどた靴みたいにぺろんとはがれてしまった。そろそろ限界だと思って、近くのス…

『取り替え子』を読み終える

「もう死んでしまった者らのことは忘れよう、生きている者らのことすらも。あなた方の心を、まだ生まれてこない者たちにだけ向けておくれ。」大江健三郎『取り替え子』 映画をよく知っている者には、『取り替え子』は多少複雑な思いを抱かせる小説かもしれな…