明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2010-01-01から1年間の記事一覧

新作DVD〜リチャード・フライシャー『マンディンゴ』、成瀬巳喜男サイレント全集ほか

DVD

リチャード・フライシャー『マンディンゴ』 IVC から発売。最近、米版 DVD で見直したんだが、やっぱり傑作だった。 ジェームズ・マンゴールド『ナイト・アンド・デイ』 蓮實重彦曰く、「この映画はめっぽう面白い」。これもツイッターをやってなければ見て…

ジャン・ドゥーシェ「愛する技法」

映画批評家ジャン・ドゥーシェの主著の一つ『愛する技法』(L'art d'aimer) の冒頭に収められた同名の評論「愛する技法」を試訳してみた。 ジャン・ドゥーシェは、50年代の終わりに「カイエ・デュ・シネマ」と「アール」誌で映画批評を書き始めた*1。ロメー…

カール・Th・ドライヤー 『むかしむかし』、トマス・グティエレス・アレア『ある官僚の死』ほか

DVD

後からいくつか追加しました。 ミケランジェロ・アントニオーニ『さすらいの二人』 フランク・キャプラ『オペラハット』 グル・ダッド『渇き』 紀伊国屋のばら売り。 トマス・グティエレス・アレア『12の椅子』、『ある官僚の死』 前にどこかで紹介した作…

新作DVD〜『レオス・カラックス DVD-BOX』、ジョセフ・ロージー『The Prowler』ほか

DVD

映画本関係、若干追加しました。 ミロシュ・フォアマン『パパ/ずれてるゥ!』 おおむかしに見てるんだけど、まったく覚えてない。 『レオス・カラックス DVD-BOX』(ボーイ・ミーツ・ガール&汚れた血&ポンヌフの恋人) ストローブ=ユイレ『雲から抵抗へ+あ…

スペインのメリエスと呼ばれた男〜セグンド・ド・ショーモンについての覚書

『レオス・カラックス DVD-BOX』(ボーイ・ミーツ・ガール&汚れた血&ポンヌフの恋人)が発売。 セグンド・ド・ショーモン(Segundo de Chomón) スペイン映画創生期のキャメラマン・映画監督で、「スペインのメリエス」と呼ばれる人物。 1871年、スペ…

ポルトガル映画祭覚書〜『トラス・オス・モンテス』を中心に

アントニオ・レイス『トラス・オス・モンテス』★★★★☆ 京都駅ビルシネマで開催された「ポルトガル映画祭2010」について。詳しいレビューを書く気力はないので、それは他の優秀なブロガーさんの記事に任せることにして、次に神戸アートビレッジで上映されると…

野田幸男『0課の女 赤い手錠』、ジョン・フォード『Flesh』ほか

DVD

野田幸男『0課の女 赤い手錠』 野田幸男の『0課の女 赤い手錠』が(初?)DVD 化。はぐれものの女刑事(杉本美樹)、政治家の手先となったデカ(室田日出男)、誘拐犯グループの三つどもえの争いを乾いたタッチで描いた幻の傑作。ゴミの舞う廃墟でのクライ…

グリゴーリ・コージンツェフ、レオニード・トラウベルグ『Odna』(Alone)

グリゴーリ・コージンツェフ、レオニード・トラウベルグ『Odna』(Alone) グリゴーリ・コージンツェフは、ソ連におけるハムレット映画の監督として日本でもそれなりに有名だが、それ以前に彼が撮った作品についてはほとんど紹介されていない。コージンツェフ…

2010年10月30日のツイート

@masaakiinoue: TL を読んでると、映画を「観る」と書く人が結構いるんだが、すごく違和感がある。ついでに言うと、映画を「鑑賞する」という言い回しも嫌いだ。2010-10-30 20:34:42 via web @masaakiinoue: 何も考えずに、石田民三の『花ちりぬ』『むかしの…

試訳(4)

(承前) ☆ ☆ ☆ 『四枚の羽根』が出版される1902年までに、映画は、キネトスコープ、テアトログラフ、アニマトグラフといった様々な名前で、イギリス中で上映されるようになっていた。1905年、プロデューサーのセシル・ヘップワースが、一巻ものの画…

試訳(3)

(承前)だがしかし、彼らが未来についていかに無知だったにせよ、観客である君は、彼ら以上に、自分の来し方について無知なのだ。もしも『四枚の羽根』や『カーツーム』との出会いのごとき文化的事件がなかったなら、君は果たして、スーダンの問題や、そも…

試訳(2)

(承前)この場所で、『四枚の羽根』(ゾルタン・コルダ、39)は心の壁紙のような役割を果たしている。君はこの映画を見ている。何度も見過ぎて、映画の中に住んでいると言っていいぐらいだ。この映画は、自分の身に起きたはずのことを語っているように思え…

2010年10月24日のツイート

@masaakiinoue: 『ソフィアの夜明け』こう絶賛の嵐だと、最後にはうさんくさくなってくるな。もうわかった、見に行くから、後は自分の目で確認させてくれと言いたくなる。2010-10-24 21:09:13 via web @masaakiinoue: それなら納得です。失礼しました。RT: @…

2010年10月23日のツイート

@masaakiinoue: そういえばシュミットの『ヘカテ』にこんなやりとりがあったな。RT: @Proust_bot: 「きみ、何考えてるの?」「べつになんにも」(第五篇 囚われの女2)2010-10-23 18:55:19 via Echofon

2010年10月22日のツイート

@masaakiinoue: ジョン・カーペンターのツイッター(@TheHorrorMaster 本人?)に、"RIP Roy Ward Baker" とあったのにはグッときた。今月初めにR・W・ベイカーが亡くなったことはほぼ無視されてる。たいした監督じゃなかったが、『火星人地球大襲撃』だけ…

試訳(1)

別に出す予定もないのに、映画の本を一冊訳しはじめてしまった。公にしたほうが緊張感を持って訳せるので、ブログに載せることにしたが、気まぐれでやっているだけなので、飽きたらすぐにやめるし、すぐに飽きると思う。しかし、ひょっとしたら本当に本にす…

2010年10月19日のツイート

@masaakiinoue: ギュネイの俳優時代の作品は見たことなかったのだが、それを想像させる彼の初期監督作品『Seyyit Han』『Ac kurtlar』を見てびっくりした。ほとんどマカロニ・ウェスタンではないか。どうりで Allcinema ではこれを無視して『希望』を彼のデ…

新作DVD〜『カール・Th・ドライヤー 不運な人々』『王女メディア』ほか

DVD

中島貞夫以外はすべて紀伊国屋。 中島貞夫『ジーンズブルース 明日なき無頼派』、『狂った野獣』、『日本暗殺秘録』 『王女メディア HDニューマスター版』 「ギリシャ悲劇を題材に鬼才パゾリーニが描く幻想的な異色作。 オペラ史上最高の歌姫マリア・カラス…

2010年10月15日のツイート

@masaakiinoue: 国際的なゲストも来るんだから、これじゃ恥ずかしいですよといったのだが、消防法で消せないんですと、まあ予想通りの返事が返ってきた。らちがあきそうになかったので諦めたが、映画祭の当日、その劇場に行くと、ちゃんと天井灯は消えていた…

2010年10月14日のツイート

@masaakiinoue: 『スプリングフィールド銃』の脚本家が手がけた西部劇『アロウヘッド』、たいして期待せずに見たのだが、全然悪くなかった。チャールストン・ヘストンの見せるインディアンに対するアンビバレントな感情がいかにも50年代的な西部劇で、ジャ…

2010年10月13日のツイート

@masaakiinoue: 「ポルトガル映画祭 2010」の会場は、京都駅ビルシネマと神戸アートヴィレッジであることを確認。この手の映画祭は、地方巡回になったとき、一番重要な作品に限ってプログラムから抜けているのが常(この地方格差なんとかしてくれ)。しかし…

フランク・ボザージ DVD-BOX ほか

DVD

すべてフランス版。 『Coffret frank borzage』 フランク・ボザージ(フランク・ボーゼージ)の4作品を収録した DVD-BOX が発売される。『幸運の星』、『第七天国』、『街の天使』、それになんとあの幻の傑作『河』が入っているではないか。パリのシネマテ…

2010年10月09日のツイート

@masaakiinoue: 『SPEC』意外とおもしろかったな。「ケイゾク」+「トリック」みたいな感じかと思ってたら、最後は超能力合戦の様相を呈してきた。戸田恵梨香はこういうちょっと性格悪そうな女の役の時の方が断然いい。2010-10-09 10:49:52 via web

2010年10月08日のツイート

@masaakiinoue: ツイッターをはじめて約10日。やっとフォロアーの数が100人を超えた。なんかスローペースだな。こんなものなのか。2010-10-08 12:32:30 via web @masaakiinoue: 秋の新ドラマやアニメのチェックで忙しい。昨日の『FACE MAKER』はいきな…

2010年10月07日のツイート

@masaakiinoue: @dendenfish_ たまたま高校の図書館に現代小説がそろっていて、片っ端からわけもわからず読んだなかにドノソの『夜のみだらな鳥』もあったんです。これはホントに衝撃でしたね。めくるめくイメージにただただ呆然とするだけでした。なんかと…

ファスビンダー『あやつり糸の世界』

DVD

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『Le monde sur le fil』(Welt am Draht) テレビ向けに撮られた作品で、ファスビンダー唯一のSFといわれている。巨大な記憶装置によって作り出される仮想現実の世界、《シミュラクロン》を開発した科学者が謎の死を遂…

サフディー兄弟『The Pleasure of Being Robbed』

ニューヨークのインデペンデント映画作家サフディー兄弟が二十歳そこそこで撮ったデビュー作『The Pleasure of Being Robbed』は、これ一本で才能を確信させるほどの傑作ではないが、カサヴェテスの『アメリカの影』を初めて見たときのことを思い出させるよ…

新作DVD〜『男の敵』『Devil's Doorway』ほか

DVD

Twitter が話題になったころにアカウントを取って、実験的に一回だけブログから飛ばしてみたんですが、結局、そのままなにもせずに何ヶ月かほったらかしにしていました。数ヶ月ぶりに Twitter のホームページに行ってみると、なにもツィートしていないのにな…

ルクレシア・マルテルのことなど

京都駅ビルシネマで「ラテンビート映画祭2010」というのが開催されている。新作についてはほとんど見ていないのでわからないが、旧作のくくりで上映されるルクレシア・マルテルの『沼地という名の町』(2001) は、アルゼンチンでプール付の邸宅に住んでいるあ…

韓国映画を見る1

『映画史』のゴダールは、日本には個々の映画作家はいても、日本映画というものは存在しないという意味のことを言って物議を醸した。ゴダールのファンでさえ、それは言い過ぎだろと思ったものだが、韓国映画史を30年代から振り返ってみるうちに浮かんでく…