明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2012-01-01から1年間の記事一覧

フランク・ボーゼージ『ムーンライズ』

DVD

雨の中、絞首台に向かう死刑囚の足下だけをとらえた後退移動撮影。上昇するキャメラが、絞首台越しに背後の壁にうつる影を通して死刑執行の様子をとらえる。場面が変わると、ベビーベッドに横たわった赤ん坊が、ベッドの手すりからつり下げられた、まるで絞…

DotDash メールマガジン第1号〜マリオ・ペイショト『限界』

以前いっていた DotDash のメールマガジン第1号(http://dotdashfilm.com/?page_id=361)に、ブラジルの伝説的映画、マリオ・ペイショトの『限界』について書きました。最後の部分を引用しておきます。「映画の限界をめざして、すべてを映像のみで表現する…

ニコラス・レイ『生まれながらの悪女』

ワーナー・アーカイヴ・コレクションから出ている DVD でニコラス・レイの『生まれながらの悪女』を見たのだが、嬉しいのは、この DVD には使われなかった別エンディングが特典映像に収録されていることだ。『生まれながらの悪女』は、プロデューサーのハワ…

新作DVD〜曽根中生『実録エロ事師たち』ほか

DVD

今回、日活 オフィスワイケーか出る DVD はなかなかのラインナップ。 加藤彰『奴隷妻』 加藤彰って凄くいい監督なんだけど、曽根中生、神代辰巳、小沼勝、田中登あたりとくらべると、イマイチ人気がないのが残念。この作品はひどい画質のビデオでしか持って…

ジョアン・ペドロ・ロドリゲス作品の公開で話題のこのプロジェクト(https://readyfor.jp/projects/dotdashfilm)で発行されるメルマガに、どういうわけかわたしも参加することになりました。海外 DVD の紹介のようなことをする予定です。最初は、メルマガに…

レオンス・ペレについての覚書

レオンス・ペレ:サイレント時代にフランスで活躍した映画俳優・監督。1880年、ドゥー‐セーヴル県ニオールに生まれる。最初は舞台俳優として出発するが、やがて映画界に身を投じる。ゴーモンで、ルイ・フイヤード監督らのもと、いくつかの短篇に俳優とし…

新作DVD〜『アメリカ時代のフリッツ・ラングDVD-BOX3』、『ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督傑作選DVD』、『グラウベル・ローシャ傑作シリーズ DVD-BOX』ほか

DVD

『アメリカ時代のフリッツ・ラングDVD-BOX3』 『クラッシュ・バイ・ナイト』と『アイ・シャル・リターン』を収録。『アイ・シャル・リターン』ってなんじゃ? オレがまだ見ていないアメリカ時代のラング作品がまだあったのかと一瞬思ったが、なんのことはな…

アベル・ガンス『世界の終わり』

アベル・ガンス『世界の終わり』(30) ガンスのトーキー第一作。『地球最後の日』や、『アルマゲドン』、『ディープ・インパクト』といった作品の元祖とでもいうべきSFだが、一般には失敗作と考えられていて、ガンス本人も全然認めていなかった。彗星が数ヶ…

ベルナール・ケイザンヌ&ジョルジュ・ペレック『眠る男』

ベルナール・ケイザンヌ&ジョルジュ・ペレック『眠る男』(Un homme qui dort, 74) ★★★ ジョルジュ・ペレックは、アルファベットの「e」を一切使わないフランス語で書かれた小説『煙滅』(恐ろしいことに、日本語訳が存在する)など、アクロバティックなエク…

Gerald Kargl『Angst』

Gerald Kargl『Angst』(83)。 オーストリアの監督 Gerald Kargl が撮った唯一の長編。精神病院から退院したばかりの狂人が、殺人衝動を抑えきれずにその日のうちに次々と人を殺してゆく様子を淡々と描いた作品で、公開当時、各地で上映禁止になり、その後、ほ…

新作DVD〜ロジャー・コーマン『侵入者』、『ヴェルナー・ヘルツォーク作品集I』ほか

DVD

ロジャー・コーマン『侵入者』 ロジャー・コーマンの『侵入者』が DVD 化! 人種差別を背景に、扇動者が、自分で煽った暴動の渦にどうしようもなく巻き込まれてゆく姿を描く、コーマン作品の中ではウルトラ・シリアスな一本。彼の数ある傑作の中でも最高傑作…

ボリス・バルネット『ゆたかな夏』『ノヴゴロドの人びと』

『ゆたかな夏』(Shchedroe leto, 51) そこらじゅうスターリンの写真だらけだし、まさに「スターリン」という単語が発せられるとともに終わるプロパガンダ映画なのだが、冒頭からキャメラは動き、列車は走り、車はすれ違いざまに急停止してバックし、荷車の…

レオス・カラックス『Holy motors』

DVD

とうとう9月は一回も更新できなかった。反省。今月からは、ツイッターで書いてるような小さいネタでもいいから、もっとこまめに更新していこうと思っている。 レオス・カラックスの新作『Holy motors』、日本ではまだ公開も決まっていないと思うが、フラン…

新作DVD〜『巨匠たちのハリウッド ダグラス・サーク傑作選 DVD-BOX4』『三重スパイ』『ハリウッド西部劇映画 傑作シリーズ DVD-BOX Vol.1, 2』ほか

DVD

『ハリウッド西部劇映画 傑作シリーズ DVD-BOX Vol.1』 『狙われた駅馬車』(ヘンリー・ハサウェイ)、『流血の谷』(アンソニー・マン)、『栄光の星の下に』、『暗黒の命令』(ウォルシュ)、『群盗の町』、『征服されざる人々』、『シマロン・キッド』(…

フィリピン映画、新旧2本

エルウッド・ペレス『Silip イヴの娘たち』(85)。 砂丘で男が、「どんな生きものも死ぬんだ」といいながら、子供たちの目の前で水牛を叩き殺す。かわいそうと言って泣き叫ぶ子供たち。すると、そのなかにいた一人の少女の股間から初潮の血が流れだす……。そん…

新作DVD〜『ダグラス・サーク傑作選 DVD-BOX3』、『プレストン・スタージェス傑作選 DVD-BOX』、『カール・Th・ドライヤー 裁判長』ほか

DVD

『巨匠たちのハリウッド メロドラマの巨匠 ダグラス・サーク傑作選 DVD-BOX3』 『世界の涯てに』、『丘の雷鳴』、『突然の花婿』を収録。 『プレストン・スタージェス傑作選 DVD-BOX』 『凱旋の英雄』、『偉大なるマッギンティ』、『崇高な時』の3作を収録…

ポール・ヴェキアリ『Femmes femmes』

ポール・ヴェキアリ(「ヴェッキアリ」という表記もあるが〔こちらの方がフランス語の綴り通り〕、どちらが正しいのか)の『Femmes femmes』を約20年ぶりぐらいに見直した。フランスに住んでいたときに図書館でビデオを(当時はもちろん DVD などなかった…

ミッチェル・ライゼン『No Man of Her Own』

ミッチェル・ライゼン『No Man of Her Own』 男に捨てられた女(バーバラ・スタンウィック)が、お腹に子供を宿して一文無しの状態で列車に飛び乗る。そこで親切な新婚夫婦と知り合うのだが、その直後に列車事故が起き、新婚夫婦はふたりとも死んでしまう。…

新作DVD〜『幸福の設計』『ヨーロッパ一九五一年』『フェリーニの道化師』ほか

DVD

ジーン・ネグレスコの『ユーモレスク』の発売はもっと話題になっていいと思うんだが、まあ、しゃあないか。 ジーン・ネグレスコ『ユーモレスク』 ジョン・ガーフィールド主演のメロドラマの傑作。日本ではまだまだ評価が低いネグレスコだが、このあたりをき…

『Too Late for Tears』『The Burglar』

以前、「フィルム・ノワール ベスト50」というリストを作った。フィルム・ノワールと呼ばれるジャンル(と呼んでいいのかは、微妙な問題だが)の代表的作品、これだけは見逃せないという作品を50本選んだものだ。それなりに自信を持って作ったつもりであ…

セルジュ・ダネー『L'Exercice a ete profitable, Monsieur.』

出版当時に買っておきながら部分的にしか読んでなかったセルジュ・ダネーの『L'Exercice a été profitable, Monsieur.』をやっと真剣に読みはじめた。日記形式の記述ゆえの読みやすさと読みにくさ(この本は、1988年から1991年まで書き継がれた映画…

ポール・ニューマン『オレゴン大森林/わが緑の大地』

気がついたら(とっくに気がついてたけど)、ひと月以上更新していなかった。まとまったものを書こうとすると、全然更新できないので、これからはツイッターで書いてるような小ネタもとりあげていこうかと思ってる。 ポール・ニューマン『オレゴン大森林/わ…

新作DVD〜『アンソニー・マン傑作選 DVD-BOX』『悲愁物語』ほか

DVD

『巨匠たちのハリウッド 生誕百周年記念 マックス・オフュルス傑作選DVD-BOX』 『笑う相続人』、『永遠のガビー』、『無謀な瞬間』の3作品が収録されている模様。 『永遠のガビー』は見てないな。しかし、アメリカ映画は『無謀な瞬間』だけなんだから、「巨…

現代ルーマニア映画の2人の作家

ルーマニア映画はなかなか面白い。ルーマニア映画の現在を語るほど多くを見ているわけではないが、コルネリウ・ポルンボイウとクリスティ・プイウという2人の作家の作品を見ただけでも、いまのルーマニア映画があなどれないことはわかる。以下、簡単なメモ…

『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団』

DVD

『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団』 Blu-ray BOX 【収録作品】 1.ウイークエンド、2.東風、3.万事快調、4.ありきたりの映画(あたりまえの映画) 、5.たのしい知識(楽しい科学)、6.ウラジミールとローザ この BOX が出ることはツイッターで知…

2012年03月11日のツイート

@masaakiinoue: 映像特典がパトリス・ルコントのインタビューってのもよくわからんな。おれが知ってるパトリス・ルコントは、ゴダールとはなんの関係もないはずなんだけど……。同姓同名の別人だったりして。2012-03-11 22:38:28 via web @masaakiinoue: 『ジ…

2012年03月04日のツイート

@masaakiinoue: 「ビエットには弟子が2,3人いる。ピエール・レオン、マチュー・アマルリック、ローラン・アシャールだ」(ルイ・スコレッキ『ダネーとの対話』)。マチューはそんな系譜に連なってたのか。しかしビエットの映画はぜんぜん見る機会がないか…

2012年02月28日のツイート

しばらくまともに更新できてないから、ツイッターのつぶやきが自動的に日記に反映される設定にひさしぶりに戻してみた。とうぶんはこんな感じで行きます。 @masaakiinoue: Cristi Puiu『Aurora』の DVD、注文してしまった。 URL2012-02-28 22:41:29 via Twee…

『ゴダール 映画史(全)』 (ちくま学芸文庫)

なんかぜんぜん更新できてないですね。 『ゴダール 映画史(全)』 (ちくま学芸文庫 コ 37-1) さっきツイッターで知ったんですが、訳者の奥村昭夫氏は去年お亡くなりになったそうです。

新作DVD〜相米慎二『あ、春』、『前田陽一監督SELECTION』ほか

DVD

日本映画の気になるDVD。 あの頃映画 松竹DVDコレクション『みな殺しの霊歌』、『江戸川乱歩の陰獣』、『人生劇場』、『花と龍』(加藤泰)、『震える舌』、『君が若者なら』(深作欣二)、『あ、春』(相米慎二)、『前田陽一監督SELECTION』 藤田敏八『…