明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ラオール・ウォルシュ『賭博の町』

「フォードが最終的に目指すものは社会であり、ホークスの場合、それは集団(グループ)である。ウォルシュが目指すのはただただ個人──個人の体験、進歩、発展なのである」(デイヴ・カー) ラオール・ウォルシュ『賭博の町』(Silver River, 48) ★★★ 41年の…

ショーン・ベイカー『タンジェリン』――iPhone を使って撮られたバーレスク・コメディ

しばらくまともに更新していなかったので、その埋め合わせに、年末からずっとハイペースで更新を続けていたのだが、そろそろペースダウンしようと思う。書くネタならいくらでもあるが、あんまり急いで更新していると、書く内容が散漫になってくる。それに、…

ドミニク・ブニシュティ『従兄ジュール』

ドミニク・ブニシュティ『従兄ジュール』(Le cousin Jules, 1972) ★★ 備え付けの古めかしい大きなドリル、その横には万力がおかれている。埃だらけのテーブルの上に所狭しと並べられた大小様々のやっとこやハンマーを、キャメラは横移動でなめるように映し出…

沢島忠『間諜』

沢島忠『間諜』(64) ★★ なんというか、単純に面白かったですね。ベテラン監督沢島忠による時代劇なんですが、タイトルからもわかるようにスパイ映画でもある、そういうちょっと変わった作品です。 1964年の作品だから、東映がいわゆる集団時代劇によって新風…

クシシュトフ・ザヌーシ『カムフラージュ』

クシシュトフ・ザヌーシ『カムフラージュ』(Barwy ochronne, 77) ★★★ 傑作だと思った。わたしがこれまでに見たザヌーシの映画は、『結晶の構造』『イルミネーション』『家族生活』『太陽の年』『巨人と青年』のわずか5本に過ぎない。どれも興味深い作品だっ…

ジャック・ターナー『Circle of Danger』

ジャック・ターナー『Circle of Danger』(51) ★★ ついでに、ジャック・ターナーの映画をもう一本簡単に紹介しておく。これはターナーが独立プロで撮った初めての作品である。そして、この映画はアメリカ映画ではなく、イギリス映画として製作された。タイト…

ジャック・ターナー『恐ろしき結婚』

ジャック・ターナー『恐ろしき結婚』(Experiment Perilous, 44) ★★ 「視覚的スタイルだけで判断するなら、ターナーの最も完成された作品のひとつ。ターナーは俳優たちの身体、キャメラのポジション、舞台装置を用いて、作品全体に広がる繊細なイメージのパタ…

エリック・フォトリノ『光の子供』──映画のキスから生まれた子供の物語

「私は自分の生まれについてほとんど何も知らない。パリで生まれたことは知っているが、母は誰かわからず、父はただひたすら女優のスナップを撮り続けていた。そして息を引き取る少し前、私が映画のキスから生まれたことを打ち明けた。」 冒頭2ページ目に現…

アレクサンダー・マッケンドリック『The Maggie』と異世界としてのスコットランド

アレクサンダー・マッケンドリック『The Maggie』(54) ★★★ マッケンドリックがイーリング・スタジオで撮ったコメディ。残念ながら日本では未公開で、『マダムと泥棒』などと比べるとあまり知られていない作品ではあるが、マッケンドリックを代表する傑作のひ…