明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2019-01-01から1年間の記事一覧

ルイーズ・ブルックス讃

昼顔の女、ルイーズ・ブルックスは彫像と張り合う。彼女は寺院から石を取り外し、円柱の周りに身をくねらせ、建物の前壁に花開く。そしてただあたりを焼き尽くすような純粋さによって、〈教会〉〈祖国〉〈家族〉などが社会に課す、力なき知恵に対して、無垢…

『デモンズ ’95』『白いトナカイ』ほか

『明日になれば他人』★★★½ 『デモンズ ’95』★★★ 『荒野の処刑』★★½ 『軍用ラッパのロマンス』★★½ 『白いトナカイ』★★ 『ユン・ピョウ in ドラ息子カンフー』★★ ヴィンセント・ミネリ『明日になれば他人』(Two Weeks in Another Town, 1962) 同じミネリの監…

ナダヴ・ラピド『幼稚園教師』ほか

ナダヴ・ラピド『幼稚園教師』★★★ テイ・ガーネット『支那海』★★ マルコム・セント・クレア『駄法螺大当り』★ ナダヴ・ラピド『幼稚園教師』(Haganenet, 2014) イスラエルの監督ナダヴ・ラピドの『ポリスマン』に続く長編劇映画第2作目。 テルアビブの幼稚園…

『これが君の人生だ』 、『人生の乞食』ほか

ヤン・トロエル『これが君の人生だ』 ★★½ ウィリアム・ウェルマン『人生の乞食』★★½ ジョセフ・ロージー『暴力の街』★★ フランク・タトル『百貨店』★½ エドワード・サザーランド『チョビ髯大将』★ カルロス・サウラ『従妹アンヘリカ』★ ヤン・トロエル『これ…

ナンニ・ロイ『祖国は誰のものぞ』『カフェ・エクスプレス』

ナンニ・ロイ『祖国は誰のものぞ』(Le quattro giornate di Napoli, 1962) ★★★ 第二次世界大戦中、ナチスに占領されていたナポリ市民たちの4日間の蜂起を描いた戦争映画。放題は素直に「ナポリの4日間」でよかったのではないだろうか。 主役であってもおか…

新作DVD――『イメージの本』『湖のランスロ』ほか

DVD

ジョージ・A・ロメロ『ザ・クレイジーズ』 [DVD]、『ザ・クレイジーズ』 [Blu-ray] アベル・フェラーラ『ドリラー・キラー』 [Blu-ray] 売れない画家が精神に失調をきたし、自分でも記憶のないうちに電動ドリルで無差別殺人を繰り返してゆく。ロジャー・コー…

ジャン=ピエール・モッキー『あほうどり』

ジャン=ピエール・モッキー『あほうどり』(L'albatros, 1971) 先日、惜しくもこの世を去ったジャン=ピエール・モッキー監督が、比較的初期に、『Solo』に続けてその流れで撮った作品で、『Solo』同様、主演も兼ねている。モッキー本領発揮の傑作である。 …

『サイレント・パートナー』『生きている死骸』

ダリル・デューク『サイレント・パートナー』★★½ 冴えない銀行の金銭出納係(エリオット・グールド)が、自分の銀行で強盗が行われることを偶然に知ってしまう。男はあらかじめ大金をバッグのなかに隠しておき、わずかに残しておいた金だけを強盗に手渡す。…

Dinu Cocea『Haiducii』、マルトン・ケレチ『伍長とその他の者たち』

Dinu Cocea『無法者たち』(Haiducii, 1966) ★★ これも『ヴラド・ツェペシュ』と同じくワラキアを舞台にしたルーマニア映画。描かれる時代は『ヴラド・ツェペシュ』と違って18世紀だが、やはり国はオスマントルコ帝国の存在に苦しめられている。そこに、サル…

『ヴラド・ツェペシュ』 ――ドラキュラと呼ばれた男

『ヴラド・ツェペシュ』 Doru Nastase『ヴラド・ツェペシュ』(Vlad Tepes, 1979) ★★ 15世紀のワラキア公国の君主、ヴラド3世、通称ドラキュラ公、またの名を「串刺し王」を描いたルーマニアの歴史映画。ヴラド3世は、ブラム・ストーカーの小説『ドラキュ…

新作DVD――『ビクトル・エリセ Blu-ray BOX』『アラン・ロブ=グリエ Blu-ray BOX I 』ほか

だいぶ時間の余裕ができたのでそろそろブログを更新するつもりですが、とりあえずは、例によって DVD の紹介をしてお茶を濁しておきます。 ジャック・ドワイヨン『ピストルと少年』 [DVD]、『女の復讐』 [DVD] 『フレッド・アステア生誕120年記念 アステア&…

『アルキメデスのハーレムのお茶』ほか

なかなか書いている余裕がなくて、全然まともに更新できてない。ただのメモだけれど、 とりあえず穴埋め的に、最近見たいくつかの映画について少しばかり書いておく。 ーーー 『イメージの本』★★★ 『幸福なラザロ』★★★ 『ハイ・ライフ』★★½ 『ハロウィン』★★…

新作DVD――『ルイ14世の死』 『人間機械』『港町』ほか

DVD

ロバート・クレイマー『アイス』 『マイルストーンズ』DVDツインパック(2枚組) 『サスペンス映画コレクション 名優が演じる犯罪の世界 DVD10枚組』フィルム・ノワールの超傑作ばかり詰め込んだパッケージ。1. 復讐は俺に任せろ 2. 悪魔の往く町 3. 裸の町 4.…

ハワード・ホークス讃

神戸映画資料館でのハワード・ホークス特集の宣伝がてらにツイッターでつぶやいていた「ハワード・ホークス讃」を、いくらか書き足した上でまとめました。 ホークスが持っているコメディのタイミングの才能は、他の追随を許さない。[…]『ヒズ・ガール・フ…

連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第6回「ハワード・ホークス――〈一目瞭然の映画〉の謎」

神戸映画資料館でわたしが担当している連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」の第6回はハワード・ホークスに決まりました。今回はちょっと趣向を変えて、ゴールデン・ウィークに行われるハワード・ホークスの特集上映に組み込まれて行われることになっていま…

『ROAR/ロアー』――究極の「禁じられたモンタージュ」

ノエル・マーシャル『ROAR/ロアー』★★★ 「ある出来事の本質が、行為の2つあるいはそれ以上の要素の同時的な提示を必要とするときは、モンタージュは禁じられる」 これは、アンドレ・バザンが「禁じられたモンタージュ」論*1のなかで提示した名高いテーゼであ…

新作DVD――『間奏曲』『肉体の遺産』『グラインド・イン・ブルー』ほか

DVD

ロバート・パリッシュ『フレンチ・スタイルで』 [DVD] スタンリー・ドーネン『無分別』 [Blu-ray] 『ダグラス・サーク Blu-ray BOX』(『天はすべて許し給う』『間奏曲』『悲しみは空の彼方に』収録)『悲しみは空の彼方に』 Blu-ray、『天が許し給うすべて …