書物
ロレンス・ダレルの傑作『アレクサンドリア四重奏』が河出書房から全巻復刊されることになった。まずは今月、第一巻「ジュスティーヌ」が出、その後、ほぼ一ヶ月に一冊のペースで、第二巻「バルタザール」、第三巻「マウントオリーブ」、第四巻「クレア」が…
いくつもの本を平行して読んでいるので、ときどき頭が変になりそうになる。いま読んでるのは、アガサ・クリスティの "The Witness for the Prosecution" (ビリー・ワイルダーの『情婦』の元になった同名短編)が入っている短編集のペーパーバックと、これも…
フランスの哲学者ジャン・ボードリヤールが亡くなった。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟もその哲学の影響を受けているといわれる。シュミラークルというある種わかりやすいイメージとともに、彼の哲学は日本でも大いに受け入れられた(そのわかりや…
早川文庫から出ている翻訳が長らく絶版になっており、ペーパーバックで買おうと思っていた矢先に、文庫が復刊。早速買ったのだが、いざ手にいれてしまうと例によってそのままずっと手をつけずにいたフレドリック・ブラウンの『発狂した宇宙』を、ようやく読…
蓮實重彦・吉田喜重『吉田喜重 変貌の倫理』 [「ろくでなし」から「鏡の女たち」へと至る43年間もの歳月を通じて、ひたすら無時間性に徹することで、そのつど鮮やかに歴史を露呈させてみせる吉田喜重。映画だけに許されたフィクションを、いま生の倫理として…
『初学者も専門家も新・冠詞抜きでフランス語はわからない 』のリンク間違ってました。
シュテファン・ツヴァイク『マリー・アントワネット』前に中公文庫のものを紹介したが、角川文庫からも出てしまった。これで岩波文庫とあわせて三つの文庫が出たことになる。立ち読みした感じでは、この訳がいちばん生きがいいような気がしたが、どうだろう…
リビアのエイズ裁判ひどすぎるんじゃない? なんて野蛮な世界なんだ。 - 大西巨人の『神聖喜劇』については何度も紹介している。荒井晴彦が脚本を書いていることもどこかで書いた。しかし、まさか本当に映画になるとは思っていなかった。ところがなんと、そ…
ラウール・ルイスのことを書いた数日後にピノチェトが亡くなるというのもすごい偶然である。イギリスで逮捕されて以来なにかと話題になってきたピノチェトだが、ついにくたばったというわけだ。相当ひどいこともやった男だったらしいが、こいつのおかげでラ…
ラウール・ルイスの『クリムト』をモーニングショーで見るためにめずらしく早起きして出かけた。上映後、時間の余裕ができたので、ひさしぶりに本屋をじっくり見て回る。ネットをブラウジングしているだけではやっぱりだめだ。本屋を歩き回っていると、こん…
『フロイト全集17』 『フロイト全集』が新訳で出るようです。ついでに気の利いたアンソロジーを文庫で出してほしいですね。ちくま文庫から出てるやつはちょっと物足りないので。[総数270作品を執筆年代順に配列し、思索の核心をなす主要用語の統一、過去の…
シュテファン・ツヴァイク『マリー・アントワネット』 シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』については前に紹介したと思うのだが、岩波文庫からすでに出版されているこの本が、最近になって、河出文庫からも別の訳者の翻訳で出版された模様…
いよいよほんとに出るようです。ついに Amazon でも予約可になりました(リンクは下)。11/6 日が出版予定日だとか。たぶん今度こそほんとです、たぶん。しかし、どうやら2巻目から先に出すつもりらしい。原書のほうを読んでいる人はいいとして、2巻目から…
『シネマトグラフ覚書 -映画監督のノート-』 前にも報告した、ロベール・ブレッソンの『シネマトグラフ覚書』がすでに復刊して、手に入る状態になっている模様。パスカルの『パンセ』を思わせるアフォリズムには、ブレッソンの映画のみならず、映画なるもの…
『シネマ 2』の翻訳がこの10月に出版されるという話もあるようだが、思った通りまだ出ていないようだ。まあ、まだ10日ほどあるので出ないと決まったわけではないが・・・(ちなみに、『シネマ 2』では、ストローブ=ユイレについての非常に興味深い論…
むかし福武文庫から出ていて、長いあいだ入手不能になっていた古井由吉の『山躁賦』が、いつの間にか講談社文芸文庫から出ていた。買い逃してずっと公開していた本のひとつだ。あいかわらず千円強という若干高めの値段設定。しかし、いやしくも文学を口にす…
以前ふれたアンドリュー・サリスの『The American Cinema』では、ダグラス・サークは「The far side of paradise」という項目に分類されている。『天の許し給うすべて』(All That Heaven Allows)をみごとにリメイクしたトッド・ヘインズの『エデンより彼方…
『アート・アニメーションの素晴らしき世界』という本のなかで筒井武文が面白いことを書いている。 いわゆる実写は、その意味では静止写真ではない。実写には一コマに「時間」が刻まれている。ふつうの映画は1秒24コマですね。しかし、コマが送られる時間…
第1章第3節の要約 >>[第3のテーゼ:運動と変化] 瞬間が運動の動かない切片であるというだけでなく、運動自体が持続の動く切片である、つまりは全体(le Tout)あるいはひとつの全体(un tout)の動く切片であるのである。このことは、運動はさらに深い…
第1章 「運動に関するテーゼ(第一のベルクソン注釈)」要約>>第一節「第1のテーゼ:運動と瞬間」ここでは、ベルクソンが運動に関して示した三つのテーゼが分析される。ちなみに、『シネマ』のなかでは、1、2巻あわせて合計四度、ベルクソンについての注…
『トリュフォーの映画術』という本が気がつくと出ていた。一瞬、山田宏一が訳している本が出たのかと思ったが、違った。山田宏一がたしかトリュフォーの書簡集を訳していると思うのだが、いつになったら出るんだろうか。聞くところによると、山田氏は、訳し…
財津理が、『ドゥルーズ 没後10年、入門のために』という本に、「シネマを訳しながら、心をよぎること」というエッセイを書いているのを発見した。してみると、『シネマ』は財津理が訳しているらしい。10年以上前には宇波彰(懐かしい名前だ)が訳していると…
「コメディ映画 ベスト50」戦前トーキー編(スクリューボール・コメディの時代)をとりあえずアップ。サイレント映画編をアップしてから一月近くたってしまった。まだ半分の28本しか紹介していないのに、なんだか面倒くさくなってきた。 - この数日、いろ…
ニーチェの『権力への意志』の単行本の下巻だけ持っていたのを Amazon のマーケットプレイスに出していたのがそこそこの値段で売れた。早速ちくま文庫版の『権力への意志』を買い直そうと思ったのだが、どの本屋に行っても上巻はおいているのに下巻だけがな…
『黒沢清の映画術』(黒沢清)「映画のミライはどこにある? 伝説の自主映画集団「パロディアス・ユニティ」から最新作『LOFT』まで、映像の魔術師がすべての秘密を明かす決定的自伝!」──だそうです。まだ発売前なのでどんな内容かはわからない。すでに…
最近古本屋でラテンアメリカの文学をよく見かけるような気がする。なにか動きがあるのだろうか。古本屋には最低週一回は顔を出しているので、なんとなく雰囲気でわかることがあるのだ。ヘンリー・ミラー全集をやたら見かけるなと思っていたら、しばらくして…
ブラジルが負けてしまい、お気に入りのロナルドのいるポルトガルも敗れてしまった。今大会はロナウジーニョの大会になるといわれていたが、結局、終わってみたらジダンの大会だったということになりそうだ。そういえば、Web 版のカイエ・デュ・シネマにも、…
8月にジャコメッティ展が関西でも開催される模様。兵庫県なので、わたしが住んでいる場所からはちょっと遠いが、ジャコメッティが日本でまとめて見られるなんて機会は滅多にないことだ。これは見逃せない。 - 本屋で『ルイス・ブニュエル著作集成』という本…
訳あってギリシアの近代史について書いた本を何冊もまとめて読んでます。ギリシアは1830年にオスマン・トルコから独立するのですが、実情は、自力で独立したというよりも、西洋列強の思惑によって独立させられたというほうが近かったようです。その後も西洋…
ナボコフの『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を読み始める。古本屋で安値で買ってそのままにしてあったものだ。まだ50ページしか読んでいないが、おもしろい。ナボコフ同様亡命ロシア人の語り手が、早世した小説家である腹違いの兄セバスチャン・ナイト…