明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。





























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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

フランク・D・ギルロイ『正午から3時まで』――事実ではなく伝説を印刷しろ!

フランク・D・ギルロイ『正午から3時まで』(From Noon Till Three, 1976) ★★ フランク・D・ギルロイが自身の小説を映画化したカルト西部劇。「撮影リュシアン・バラード」という文字に一瞬心躍るが、タイトル・バックに映し出されるいかにも作り物めいた…

新作DVD――S・フラー『陽動作戦』、ベルトルッチ『暗殺のオペラ』、曽根中生『夜をぶっとばせ』ほか

DVD

D・W・グリフィス『國民の創生』 DVD HDマスター、『國民の創生』 Blu-ray 、『イントレランス』 DVD HDマスター、『イントレランス』 Blu-ray サミュエル・フラー『陽動作戦』 『戦争映画 パーフェクトコレクション 狂気の戦場DVD10枚組 ACC-126』 オットー…

フィル・カールソン『ギャングを狙う男』

フィル・カールソン『ギャングを狙う男』(99 River Street) ★★★ ボクシングの試合のシーンから始まる映画は少なくない。これもそんな映画の一つだ。リングの上で二人のボクサーが激しいパンチの応酬をしあっている。パンチが入るたびに興奮してまくしたてる…

イングマール・ベルイマン『愛のさすらい』

イングマール・ベルイマン『愛のさすらい』(The Touch, 1971) ★★ アントニオーニに寄せたような邦題よりも原題の「ザ・タッチ」 のほうが馴染みがある。一度も見る機会がなく長らく気になっていたベルイマン作品のひとつ。『狼の時刻』や『恥』のように今ま…

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』 (Il cavaliere misterioso, 1948) ★★★ 18世紀のイタリアを舞台にジャコモ・カサノヴァが活躍する冒険活劇。『Don Cesare di Bazan』(42)、『Aquila nera』(46) につづいてリカルド・フレーダが撮ったコスチューム・プレイ…

ロバート・シオドマク『ハリー叔父さんの悪夢』

ロバート・シオドマク『ハリー叔父さんの悪夢』 (The Strange Affair of Uncle Harry, 1945) ★★½ ヒッチコックの『疑惑の影』のようなスモールタウンを舞台にした犯罪ものと一応は言うことができるだろう。しばしばフィルム・ノワールにも分類される作品であ…

猫と映画と寺山修司

今まで作っていなかったのが不思議なくらいだが、新しく「猫」のカテゴリーを設けることにした。いよいよ猫学を極めることを決意したからである。というのは嘘で、長い記事ばかり書いているとあまり更新できないから、ちょっとした小ネタを挟んでゆくことで…

新作DVD――『追われる男』『蜘蛛の巣』『世界のイメージと戦争の刻印/隔てられた戦争』ほか

DVD

ジョゼフ・マンキーウィッツ『大脱獄』 [DVD] マンキーウィッツ唯一の西部劇。大昔にここで紹介している。レビューにごちゃごちゃ書いてあるけど、ちゃんとシネスコになってると思うけどね(シネスコが DVD では 16:9 の表記になってるのはよくあること)。 …

ナチス映画を見る――ハンス・シュタインホフ『老いた王と若き王』『クリューガーおじさん』

わたしが見ることができたハンス・シュタインホフの映画は結局3本だけだが、この監督には確かな演出力があることが確認できた。彼が映画を撮ったのがたまたま(本当にたまたまなのか?)ナチス・ドイツでなかったならば、ひょっとしたら今頃は巨匠として名…

ナチス映画を見る――ハンス・シュタインホフ『ヒトラー青年』についての覚書

ハンス・シュタインホフ『ヒトラー青年』(Hitlerjunge Quex, 1933) ★★★ ヘルベルト・ノルクスという名前を聞いてすぐに誰だか分かる人は、ドイツ史の専門家でもない限りそう多くはないだろう。1932年1月24日、ベルリンで、いわゆるヒトラーユーゲント(ナチ…

フェリクス・E・フェイスト『世界大洪水』――プレ・コード時代の大災害パニック映画

フェリクス・E・フェイスト『世界大洪水』(Deluge, 1933) ★★ プレ・コード時代のハリウッドで作られた最初期のディザースター・フィルム(大災害パニック映画)の一つ。フィルムは失われてしまったものと長らく考えられていたが、1981年にイタリア語版のプ…

フセヴォロド・プドフキン『脱走者』

フセヴォロド・プドフキン『脱走者』(Dezertir, 33) ★★ 『A Simple Casse』でトーキーを試みたものの果たせずに終わったプドフキンは、この『脱走者』で初のトーキー映画に成功する。「脱走者」というタイトルからつい戦争映画を想像してしまうかもしれない…

新作DVD――『サミュエル・フラーのシャーク!』『黒い牡牛』『DVD 東京藝術大学大学院映像研究科 第十一期生修了制作作品集2017』ほか

DVD

アルフレッド・ヒッチコック『ウィンナー・ワルツ』 [DVD] 、『メリー』 [DVD] アンソニー・マン『戦略空軍命令』 [Blu-ray] オットー・プレミンジャー『軍法会議』 [Blu-ray] アーヴィング・ラパー『黒い牡牛』 [DVD] 、『黒い牡牛』 [Blu-ray] 赤狩りのブ…

フセヴォロド・プドフキン『脳の機能』『A Simple Case』

フセヴォロド・プドフキン『脳の機能』(Mekhanika golovnogo mozga, 1926) ★ 脳神経が動物の行動に及ぼす働きを描いた純然たる科学映画。カエルから始まって、犬、猿というふうに動物生体実験の様子が描かれてゆき、そこから得られた結論から、最後に、人間…

映画眼幻想

ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』 マン・レイ『エマク・バキア』 ルイス・ブニュエル『アンダルシアの犬』 フェルナン・レジェ『バレエ・メカニック』 ジャン・コクトー『詩人の血』 ケネス・アンガー『我が悪魔の兄弟の呪文』 ポール・シャリッツ『T,O…

カメラを持った男――ジガ・ヴェルトフを讃えて

5月26日(土)、神戸映画資料館にて、下記の講座を行います。連続講座「20世紀傑映画再(発)見」第4回 『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉 http://kobe-eiga.net/program/2018/05/3913/[『カメラを持った男』は字幕のない映画として知られていま…

セルゲイ・コマロフ『メアリー・ピックフォードの接吻』

セルゲイ・コマロフ『メアリー・ピックフォードの接吻』(Potseluy Meri Pikford, 1927) ★★ 「メアリー・ピックフォードの映画にふくまれる甘いプチ・ブルジョア的毒は、健全で進歩的な観客の中にさえ残っているプチ・ブルジョア的な傾向を意図的に刺激するこ…

マヤコフスキー『女教師とごろつき』、エイゼンシュテイン『グリモフの日記』

イフゲニー・スラヴィンスキー『女教師とごろつき』(Baryshnya i khuligan, 1918) ★½ ロシア未来派の詩人ウラジミール・マヤコフスキーが脚本を書き、出演もしている短編映画。マヤコフスキーはたぶん演出にも関わったと思われる。1895年に出版されたイタリ…

ミハイル・カラトーゾフ『軍靴の中の釘』

5月26日の神戸映画資料館の連続講座:20世紀傑作映画再(発)見 第4回「『カメラを持った男』──機械の眼が見た〈真実〉」がそろそろ近づいてきたので、これから暫くの間はロシア・ソヴィエト映画強化週間になります。 ミハイル・カラトーゾフ『軍靴の中の釘』(…

新作DVD――『ハッピーアワー』『ライオンは今夜死ぬ』『一条さゆり 濡れた欲情』ほか

DVD

ロバート・アルドリッチ 『ガン・ファイター(HDリマスター版)』 [DVD]、『ガン・ファイター 【ブルーレイ版】』 [Blu-ray] ロバート・パリッシュ『荒野のライフル』 blu-ray ドン・シーゲル『殺人者たち』 [Blu-ray] キャスリン・ビグロー『ニア・ダーク/月…

『キラー・マスト・キル・アゲイン』『ウォード夫人の奇妙な悪徳』

たまたま(?)ジャッロ映画を続けて見てしまったのでかんたんにメモしておく。 ルイジ・コッツィ『キラー・マスト・キル・アゲイン』 (L'assassino è costretto ad uccidere ancora, 75, 未) ★★妻を疎ましく思っている男(ジョルジオ)が、寂しい埠頭の電話…

Ján Rohác, Vladimír Svitácek『千のクラリネット』

Ján Rohác, Vladimír Svitácek『千のクラリネット』(Kdyby tisíc klarinetu, 65) ★½ 何やらどんくさそうな新兵が、野外で訓練中に上官に注意され、罰として遠くに見える一本木まで突撃を命じられる(彼はいつもこういう罰を命じられてばかりいるらしい)。し…

マルコ・フェッレーリ『白人女にさわるな! 』ーーカスター将軍と映画についての覚書

マルコ・フェッレーリ『白人女にさわるな!』(Touche pas à la femme blanche ! , 1974) ★★½ ジョージ・アームストロング・カスターは、イエス・キリストやヒトラーほどではないにしろ、映画史上もっとも神話的な人物の一人と言っていいだろう。サイレント時…

モンタージュをめぐる座談会2

リヴェット:ちょっと回り道になりますが、おそらくここで、ダイレクトとモンタージュの関係の問題に立ち戻らねばなりません。というのも『世界の続きのために』のような作品は、ペローが(ルーシュと同様に)、素材(定義からして、映画の「企画」よりも過…

ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』

ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』 (The Miracle of Our Lady of Fatima, 52) ★½ 『劇場版 SPEC』の「結」だったか「天」だったか、いろいろあってよくわからないので忘れたが、とにかくシリーズの一つのなかでも言及されている、有名なファテ…

新作DVD――『セルゲイ・パラジャーノフ Blu-ray BOX(限定生産)』『赤い矢』ほか

DVD

サミュエル・フラー『赤い矢』 [DVD] 『処刑軍団ザップ HDニューマスター版』 [DVD] 、『処刑軍団ザップ HDニューマスター・コレクターズ・エディション』 [Blu-ray] 『デ・パルマ』 [DVD]、『デ・パルマ』 [Blu-ray] 『ノクターナル・アニマルズ/夜の獣たち…

イングマール・ベルイマン『牢獄』

イングマール・ベルイマン『牢獄』(Fängelse, 49) ★★½ ベルイマンが初めてオリジナル脚本を映画化したという意味では、彼の最初のパーソナルな作品。映画の撮影が行われているスタジオの光景から映画ははじまる(これは、ベルイマンが映画のなかで映画をテー…

『アンジェラ・マオの女活殺拳』

『アンジェラ・マオの女活殺拳』(Hapkido, 72) ★★½ アンジェラ・マオインが活躍する女ヒーロー物。ブルース・リーと共に武侠映画(カンフー映画、とは微妙に違うが、ややこしいのでとりあえず同じものとして扱う)がアメリカに初めて知られはじめた頃に作ら…

モンタージュをめぐる座談会

「カイエ・デュ・シネマ」210号に掲載された、エクス・アン・プロヴァンスで行われたモンタージュをめぐる有名な座談会を訳しはじめました。毎日少しづつ訳出していきます。例によって、たんなる気まぐれでやってます。ここにあえてアップしているのは、どこ…

マルコ・フェッレーリ『人間の種子』

前回に続き、マルコ・フェッレーリ作品についての覚書。 マルコ・フェッレーリ『人間の種子』(Il seme dell'uomo, 69) ★★½ 「人間の種子」。まさしくダーウィン的なタイトルだ。ただし、ここに描かれるのは「種の起源」ではなく、「種の終焉」である。時代は…