あるテレビ番組でホリエモンを三島由紀夫の『青の時代』の主人公と比較していた。描かれるのは戦後を揺るがせた「光クラブ」事件である。三島と同じ東大出身の若き主人公が会社を設立し、あれよあれよといううちにどんどんのし上がってゆくのだが、一年足らずのうちに詐欺容疑の追求を受け、最後は自殺するにいたる、というような事件だったと思う。この詐欺事件は高木彬光の『白昼の死角』のモデルともなった。
──そもそも唯物論は「金で買えないものは何もない、どんな形の幸福でも金で買える」という資本主義的偏見の私生児なのである。
──男が金を欲しがるのはつまり女が金をほしがるからだというのは真理だな。
──現代では宣伝のほうが実質よりもずっと信用される。
などなど、なるほどライブドアにも当てはまりそうな三島的警句があちこちにちりばめられている。三島はこのアプレ・ゲールの申し子とでもいうべき男に多分の共感を寄せていたといわれる。一方で、その人物描写は、モルモットを観察するような冷淡なものだという意見もある。そういっているのは新潮文庫の解説を書いている西尾幹二である。たしかに彼ならそういうだろう。ライブドアの元社長のことも嫌いなのに違いない(ところで、西尾幹二ってまだ生きてるんだっけ?)
ま、そんなことはどうでもいい。話を変えよう。