明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ホリエモンと三島由紀夫


あるテレビ番組でホリエモン三島由紀夫『青の時代』の主人公と比較していた。描かれるのは戦後を揺るがせた「光クラブ」事件である。三島と同じ東大出身の若き主人公が会社を設立し、あれよあれよといううちにどんどんのし上がってゆくのだが、一年足らずのうちに詐欺容疑の追求を受け、最後は自殺するにいたる、というような事件だったと思う。この詐欺事件は高木彬光の『白昼の死角』のモデルともなった。

──そもそも唯物論は「金で買えないものは何もない、どんな形の幸福でも金で買える」という資本主義的偏見の私生児なのである。

──男が金を欲しがるのはつまり女が金をほしがるからだというのは真理だな。

──現代では宣伝のほうが実質よりもずっと信用される。

などなど、なるほどライブドアにも当てはまりそうな三島的警句があちこちにちりばめられている。三島はこのアプレ・ゲールの申し子とでもいうべき男に多分の共感を寄せていたといわれる。一方で、その人物描写は、モルモットを観察するような冷淡なものだという意見もある。そういっているのは新潮文庫の解説を書いている西尾幹二である。たしかに彼ならそういうだろう。ライブドアの元社長のことも嫌いなのに違いない(ところで、西尾幹二ってまだ生きてるんだっけ?)

ま、そんなことはどうでもいい。話を変えよう。