「迷宮美術館」というテレビ番組を毎週見ているのだけれど、こないだその番組を見ていて、大阪の堺にミュシャの美術館があることを知って驚いた。すごく地味な活動をしているようで、近所の人さえ知らないらしい。どうやら公式ホームページもないようだ。しかし、ミュシャの作品が大小あわせて100点あまり、常時展示されているというから、これは結構すごい。
http://www.sakai-bunshin.com/bunka/b03.html
そういえば、大阪市が計画している美術館の建設が頓挫し、約150億円をかけて購入した絵画など約3000点の大半がお蔵入りしたままになっているという話を思い出した。たんなる噂ではなく、本当の話だ。いつだったかテレビで、市の職員がモディリアーニの絵かなんかを見せながら、話しているのを見たことがある。
85年から絵画などの収集を開始し、アメデオ・モディリアニの「髪をほどいた横たわる裸婦」(約19億3000万円!)やサルバドール・ダリの「幽霊と幻影」(約6億7800万円)などを購入したが、美術館建設のめどはいまだに立っておらず、大部分は市内のトランクルームなどに眠っているというから、あきれる。だれにも見られない絵なんて、存在しないも同然だ。それらの絵は文字通り、大衆から盗まれているわけだから、限りなく犯罪に近い行いだと思うのだが、罰する法律はないんだろうか。
知り合いに大阪の人間が結構たくさんいるのだが、彼らは百円、二百円のことで目の色を変える割には、こういう莫大な無駄遣いについては、思考がほとんど麻痺してしまっていて、本気で怒っている人は少ないように思える。まったく不思議な人種だ。