明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

潔癖性の古本好き

ナボコフの『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』を読み始める。古本屋で安値で買ってそのままにしてあったものだ。

まだ50ページしか読んでいないが、おもしろい。ナボコフ同様亡命ロシア人の語り手が、早世した小説家である腹違いの兄セバスチャン・ナイトの伝記を書くために、生前の兄のことを知る人々を訪ね歩くという物語なのだが、そのセバスチャンはどうやら死ぬ直前に架空の作家の伝記を書こうとしていたらしいことがわかってくる。そもそも、このセバスチャン・ナイトという人物も実在していたのかどうか、なにやら怪しい・・・。フィクションが幾層にも重なり合っている構造になっていそうだ。

この本はたしか定価の半値ぐらいで買ったものだったはず。そのときは、なかなかいい状態に思えたのだが、読んでいるうちになんとなく気持ちが悪くなってきたので、本屋で新品を買い直してしまった。軽い潔癖症なので、ページをめくるところが薄汚れている本は、基本的にNGなのだ。どうしても手に入れたい絶版本以外は、よほど状態のいいものでないと、古本は買わない。買ったときは、まず最初に表紙を中性洗剤でぬぐって、手あかを落とすというのが、欠かせない習慣になっている。だから、古本屋で買う文庫は、表紙を濡れた布で拭いても傷みにくい岩波文庫や中公文庫などが中心になる。新潮文庫ちくま文庫はたいていパスだ。

特にちくま文庫は、高い割に汚れ方がひどいので、古本屋に並んでいるものなど買えたものではない。新刊で出ていたときに買いそびれた蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像』は、仕方がないので古本屋で見つけたときに買ってしまったが、これも再版されればすぐに売ってしまおうと思っている。

今日はナボコフを買ったついでに、ちくま文庫『ボードレール批評』全4巻をまとめて買ってしまったので、ちょっとした散財だった。むかしは、この本はばら売りしていたと思うのだが、今は分売不可らしい。ちくま文庫の目録にも、「分売不可」と書いてある。まとめて買っても安くなるわけではないし、結構な値段になったが、今は手に入りにくくなっている本なので、こういうときはためらわずに買ったほうがいい。こういうとき買いそびれて、あとで後悔したことが何度もある。そのためにわたしは、本の品切れ状態を Amazon の携帯サイトですぐに調べられるようにしている。このときも、それで調べてみたら、『ボードレール批評』は在庫切れになっていて、定価の三倍ぐらいの値段が付いていたので、即座に購入を決めたのだった。

ボードレールの批評関係の本は角川文庫でも持っていたので、そっちのほうはナボコフとまとめて早速売り払ってしまおう。