明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

新刊案内〜『ルイス・ブニュエル著作集成』

8月にジャコメッティ展が関西でも開催される模様。兵庫県なので、わたしが住んでいる場所からはちょっと遠いが、ジャコメッティが日本でまとめて見られるなんて機会は滅多にないことだ。これは見逃せない。

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本屋で『ルイス・ブニュエル著作集成』という本が出ているのを見つけた。6月に出ていたようだ。インタビューなどをのぞくほとんどの文章が集められている結構分厚い本で、たしか箱入りだったと思う(間違っていたらごめんなさい)。値段は5千円弱と少々高めだが、その値打ちはある本だろう。

ブニュエルの本ではほかに、『ルイス・ブニュエル 公開禁止令』(フィルムアート社)というインタビュー集が出ているが、とにかくインタビュアーがきまじめすぎていけない。ブニュエルが「意味なんてない」と繰り返しいっているのに、なんとかして作品の隠された意味を見つけようとするアカデミックな姿勢が、このインタビューをつまらなくしている(それでも相当面白い本なのだが)。

やっぱり本人が書いたものが読みたい。『ルイス・ブニュエル著作集成』には、幻の詩集『アンダルシーアの犬』草稿、映画作家ブニュエルの真髄を伝える映画論(ラング、ドライヤー、キートン)、シュルレアリスム時代を代表する実験的創作群(ブニュエル版「ハムレット」)、人形劇の歴史を縦横に語りつくす講演「ギニョル」、未映画化のシナリオやシノプシス(「アルバ公爵夫人とゴヤ」、「フルートの息子イレヒブレ」)、絶筆となったエッセイなどなどが収められており、ブニュエルのすべてを知ることができる内容となっている。

これを読めば、映画作家以外のブニュエルの顔も見えてくるかもしれない。

この機会に、あの荒唐無稽な自叙伝『映画、わが自由の幻想』も再販してほしいものだ。