明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。































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神戸映画資料館でわたしが行っている「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見」の詳細が決まりました。

「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」
2019年12月22日(日)
詳細はここで。
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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

浦沢直樹『20世紀少年』


カリスマ的人物を中心に生まれるファシズム的状況とその終末を描く。ストーリー展開といい、『物語のディスクール』のジェラール・ジュネットいうところの錯時法を多用した語りといい、『モンスター』の二番煎じという印象は否めないが、なかなかのストーリーテラーぶりで、飽きずに読ませる。『モンスター』のように硬質なタッチではなく、どちらかというとほのぼのとしたユーモラスな筆致で描かれているが、怖い話だ。「モンスター」と同じく、ここでの悪の黒幕にも顔がなく、ただ「ともだち」とのみ呼ばれている。悪に立ち向かう善のヒーローという構図は子供じみているが、ここではそんな子供の空想を大人になって本当に実行してしまう人物が悪の黒幕として設定されているところがユニークである。もっとも、ローマ法王まで出てきて話が大きくなりすぎている嫌いはある。『モンスター』は、モンスターVS主人公の医師というどちらかというと孤独な闘いを描いていたが、『20世紀少年』は主人公があまり明確でないより集団劇的な様相を呈している。ケンヂを中心に、少年時代の仲間たちの周りにさまざまな人間が連帯して悪と戦うのだが、戦うべき相手が「ともだち」という名前であるために、この言葉が封印されてしまうところが面白い。とりあえず21巻まで読んだが、まだ完結していない(と思う)。ちなみにタイトルは T.REX の曲名から。