ラウール・ルイスの『クリムト』をモーニングショーで見るためにめずらしく早起きして出かけた。上映後、時間の余裕ができたので、ひさしぶりに本屋をじっくり見て回る。ネットをブラウジングしているだけではやっぱりだめだ。本屋を歩き回っていると、こんなものもでているのかという発見の連続で、あれもこれもほしくなって気が変になりそうになる。
ドゥルーズの『アンチ・オイディプス』の文庫本は、単行本を文庫にしただけだと思っていたのだが、宇野邦一の個人訳だったことを知る。ドゥルーズの『シネマ』もやっと実物を眼にした。重いし、高い。まあ、しかしこれはいずれ買うことになるんだろう。2巻目は結構現代哲学しているので、読んでいてときおり訳註がほしくなる。しかし、原書をもっているので今すぐ買う必要はない。たぶん、読みはじめてすぐに手放すやつも続出するだろうし、古本屋でいい状態で手に入る可能性も高そうだ。かわりに、メリエスの伝記『魔術師メリエス』を見つけて迷わず購入する。この本はもう品切れで手に入らなくなっているものと思いこんでいたので、うれしい発見だった。実をいうと、この日の午前中に見たばかりの『クリムト』のなかに、メリエスが出てくる嘘のような場面があったので、気になっていたのだ。まあ、そのあたりのことは今度書くことにする。
さて、このとき見つけためぼしい本をピックアップしてみた。
ちくま文庫の復刊。マーク・トウェイン、 ルイス・キャロル、ジュール・ヴェルヌ、宮沢賢治、イーデス・ネスビットなどの児童作家たちに捧げられたオマージュ。ところで、イーデス・ネスビットの本はむかしは結構文庫ででていたものだが、いまは軒並み絶版状態になっている。ハリー・ポッターものがばか売れする一方で、こういうのが忘れ去られているのは残念だ。『緑の国のわらい鳥』、だれか復刊してくれませんか。「図書室のなかの図書室のなかの町」なんて、タイトルを見ただけで読みたくなってくるでしょ。
わたしは新潮文庫で読んでいる(いまはもちろん絶版)。まあ、基本ですね。もっとも、これを読み通すのは実は大変なんだけど、避けては通れない。この単行本は今のところ2巻しか出ていないようだが、これで完結なんだろうか。
須賀敦子の全集がなんと文庫で出ることになったようです。イタリアのお供に。わたしは、いまは、読みませんけどね。読むと無性にイタリアに行きたくなるだろうから。