明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『わたしのメルヘン散歩』『須賀敦子全集』『収容所群島』


ラウール・ルイスの『クリムト』をモーニングショーで見るためにめずらしく早起きして出かけた。上映後、時間の余裕ができたので、ひさしぶりに本屋をじっくり見て回る。ネットをブラウジングしているだけではやっぱりだめだ。本屋を歩き回っていると、こんなものもでているのかという発見の連続で、あれもこれもほしくなって気が変になりそうになる。

ドゥルーズの『アンチ・オイディプス』の文庫本は、単行本を文庫にしただけだと思っていたのだが、宇野邦一の個人訳だったことを知る。ドゥルーズの『シネマ』もやっと実物を眼にした。重いし、高い。まあ、しかしこれはいずれ買うことになるんだろう。2巻目は結構現代哲学しているので、読んでいてときおり訳註がほしくなる。しかし、原書をもっているので今すぐ買う必要はない。たぶん、読みはじめてすぐに手放すやつも続出するだろうし、古本屋でいい状態で手に入る可能性も高そうだ。かわりに、メリエスの伝記『魔術師メリエス』を見つけて迷わず購入する。この本はもう品切れで手に入らなくなっているものと思いこんでいたので、うれしい発見だった。実をいうと、この日の午前中に見たばかりの『クリムト』のなかに、メリエスが出てくる嘘のような場面があったので、気になっていたのだ。まあ、そのあたりのことは今度書くことにする。


さて、このとき見つけためぼしい本をピックアップしてみた。

矢川澄子『わたしのメルヘン散歩』


ちくま文庫の復刊。マーク・トウェインルイス・キャロルジュール・ヴェルヌ宮沢賢治、イーデス・ネスビットなどの児童作家たちに捧げられたオマージュ。ところで、イーデス・ネスビットの本はむかしは結構文庫ででていたものだが、いまは軒並み絶版状態になっている。ハリー・ポッターものがばか売れする一方で、こういうのが忘れ去られているのは残念だ。『緑の国のわらい鳥』、だれか復刊してくれませんか。「図書室のなかの図書室のなかの町」なんて、タイトルを見ただけで読みたくなってくるでしょ。


ソルジェニーツィン『収容所群島』


わたしは新潮文庫で読んでいる(いまはもちろん絶版)。まあ、基本ですね。もっとも、これを読み通すのは実は大変なんだけど、避けては通れない。この単行本は今のところ2巻しか出ていないようだが、これで完結なんだろうか。


『須賀敦子全集』


須賀敦子の全集がなんと文庫で出ることになったようです。イタリアのお供に。わたしは、いまは、読みませんけどね。読むと無性にイタリアに行きたくなるだろうから。