明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


このサイトはPC用に最適化されています。スマホでご覧の場合は、記事の末尾から下にメニューが表示されます。


---
神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

---

評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『アレクサンドリア四重奏』が復刊


ロレンス・ダレルの傑作『アレクサンドリア四重奏』が河出書房から全巻復刊されることになった。まずは今月、第一巻「ジュスティーヌ」が出、その後、ほぼ一ヶ月に一冊のペースで、第二巻「バルタザール」、第三巻「マウントオリーブ」、第四巻「クレア」が順次出版されていく予定になっている。

わたしが学生のころにはかろうじてまだ本屋に並んでいたが、その後ずいぶんながいあいだ絶版になっていた本だ。ひょっとして知らない人もいるのだろうか。「現代における愛の探求」を主題にした、恋愛小説のもはや古典といってもいい本だ。これを読まないと恋愛小説は語れない。三島由紀夫はこの大作を、「20世紀最高傑作の一つであり、優にプルーストトーマス・マンに匹敵する」といって絶賛した。プルーストというのは間違いなく言い過ぎだと思うが、トーマス・マンならひょっとして、というぐらいの名作である。少なくとも、『豊饒の海』よりも面白いのはたしかだ。柄谷行人がこの本について書いていた文章を引用しておこうと思ったが、どこにあるのか忘れてしまった。まあいい。
四つの作品は、単純に続きが物語られるのではなく、もっと複雑微妙な構成になっている。一巻目の「ジュスティーヌ」だけでも一応完結しているので、それを読んでいやになった人はやめればいい。とにかく、読まないと始まらないので・・・