明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ジム・トンプスンの『残酷な夜』と『荒涼の町』が文庫化


舞城王太郎『煙か土か食い物』を読み始める。なんじゃこりゃ! まだ20ページも読んでいないのだが、これがとりあえずの感想だ。良くいえば破天荒、悪くいえばめちゃくちゃな文体。がさつで野蛮そうな語り手=主人公は、ミッキー・スピレインのハードボイルドに登場する探偵を思わせるが、そいつが突然ダンテの『神曲』を引用したりするから、よくわからない。サンディエゴのERで働く主人公が、母親が負傷して重体という突然の知らせを受け、日本に呼び戻されるところから物語は始まる。ふつうは、東京に戻ってくるのだろうが、彼の故郷は福井。そこが作家の生まれ故郷らしいからまあいいのだけれど、福井を舞台にハードボイルドは成立するのか? というかこれはハードボイルド小説なのか。全然わからない。


関係ないが、ジム・トンプスン『残酷な夜』『荒涼の町』が文庫になった。ジム・トンプスンは、「このミステリーがすごい」の上位に選ばれたりする割には、ほとんど文庫になっていなかったりする。人気があるんだかないんだか。

現金に体を張れ』『ゲッタウェイ』などなど、何度も映画化されているのでジム・トンプスンを知らないひとはまさかいないとは思うが、そんな人には入門編として『ジム・トンプスン最強読本』を紹介しておく。この本には映画批評家中条省平も書いているといったら、少しは興味がわきますか。