明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『煙か土か食い物』


長年の肩こり、膝とかかとの痛み、背筋がゆがんでいるような違和感。近くの病院で見てもらう。

最近新しく建てましされたその巨大総合病院は、いろんな点で行き届いて、サービス的には申し分なく、ブログでけちをつけられそうなところがなかった。受付さえすませれば、いったん自宅に帰って予約の時間直前にまたくればいいので、待ち時間もたいしてなかったのだが、念のためこないだ書いた舞城王太郎の『煙か土か食い物』をポケットに入れてゆく。

やっと物語半ばの150ページあたりまで読み進めたところ。最初はどうかと思ったが、ここに来てやたらと面白くなってきた。もっとも、話はまだほとんど始まってさえいない。主人公は、故郷福井の町で起きた主婦連続殴打事件に母親が巻き込まれたのをきっかけに、犯人への復讐に乗り出す(連続殺人事件じゃなくて、連続殴打事件だというのが、いかにも暴力的な文体とミスマッチで、すかしている)。その事件の犠牲者たちの家が巨大な螺旋の線上にあることに主人公が気づき、その螺旋の中心=始点にいってみると、そこには空っぽの棺桶が埋まっているというところで、ぐっと来たね。その現場に、へぼなのか天才なのかよくわからない「名探偵」が突然現れ、「ここにあった死体は腐って乾いて風になったんだ。だから空っぽなんだ。これは棺桶の未来の状態だ。でも棺桶というものは空っぽじゃおかしいだろう奈津川君。この棺桶は死体が収まるのをここでこうしてじっと待ってるんだ。次の、別の死体が運ばれてくるのをね、この棺桶は過去の状態で待ってるんだ」、などとなぞめいた言葉を残して去ってゆくところもいい。

点字やシーザー暗号などを駆使して浮かび上がった犯人のメッセージが、ドラえもんの登場人物たちの名前でしかないというあたりの、人を食った展開も面白いね。この先が楽しみだ。


結局、体はどこにも異常はなく、膝に水がたまっているのだけは確実だと思っていたのに、それもないといわれ、ちょっとがっかりした。そんなに健康なはずはないんだが・・・。今度は胃の検査をしてもらうことにしよう。