明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『エロ将軍と二十一人の愛妾』『空軍/エア・フォース』『犬神の悪霊』

鈴木則文『エロ将軍と二十一人の愛妾』


鈴木則文による奇っ怪なポルノ時代劇。わたしがこの作品を初めて見たのはフランスでTV放映されたときのフランス語吹き替え版でだった。その後、日本に帰ってから、新世界かどこかでちゃんとしたフィルムで見直したと記憶しているが、どうもフランス語吹き替え版の印象が強すぎていけない。これだから、最初の出会いはできるだけ映画館にしておきたいものだ。いまは、こういうふうに DVD でかなりオリジナルに近い状態で見られるようになった。ありがたい時代だ。

蓮實重彦がどういっているか確かめないと安心して映画を見られないという人も多いようだから、念のためにお墨付きを与えておこう。


「傑作というだけのことであれば、彼は『エロ将軍と二十一人の愛妾』という途方もない傑作を何年も前にすでに撮りあげてしまっており、この映画史に残る一本の作品を今後の鈴木が超えられまいことは当の本人がよく知っている」(『シネマの記憶装置』)


というわけなので、安心して見てください。


ハワード・ホークス『空軍/エア・フォース』


ホークスの初期作品は、一挙にまとめて BOX で出してほしい。こんなふうに次のが出るのを待っているのは精神衛生上よくないよ。



キン・フー『迎春閣乃風波』


キン・フーの映画の人間離れしたアクション・シーンを見ていると、わたしにはどうしても人間ではなく猿が演じているとしか思えない瞬間がある。

『DVD恐怖劇場アンバランス Vol. 1』


[『怪奇大作戦』後、円谷プロが大人に向けて“真の恐怖”を描いた『恐怖劇場アンバランス('69年制作)』。一度はお蔵入りとなり、制作完了から放映まで実に3年もの年月を要した伝説の作品である(放送は'73年)。不条理、怨念、転生、呪い…男と女。人間が持つリアルな恐怖の数々を西村京太郎、松本清張鈴木清順藤田敏八ら一流作家競作、渡辺美佐子蜷川幸雄花柳幻舟ら異色キャストで贈るオムニバスホラーの金字塔。音楽:冨田勲。]

怪奇大作戦』同様これもデジタル・リマスターにより美しい映像が再現されている模様。Vol. 1 には鈴木清順による「木乃伊(みいら)の恋」と、藤田敏八による「死を予告する女」 を収録。『DVD恐怖劇場アンバランス Vol. 2』には長谷部安春監督作品が、『DVD恐怖劇場アンバランス Vol. 3』には神代辰巳監督作品が収録されている。この時代のテレビはやはりレベルが高かった。



ダン・カーチス『家』


中川信夫『怪談 蛇女』

山内鉄也『忍者狩り』


近衛十四朗主演によるカルト時代劇。まあ、説明しなくても皆さんご存じですね。


加藤泰『怪談 お岩の亡霊』


伊藤俊也『犬神の悪霊』


ついに出たかという感じですね。知る人ぞ知る超カルトホラー。わたしはこれが本当に見たかったんです。

「日本古来のオカルティズムと現代的技法とを絶妙にミックスした傑作。充分怖く、かつ感動的だった。やればできる、これを観たとき私はそう思って喝采をおくった」、と、黒沢清も絶賛している作品です。


レニ・リーフェンシュタール『聖山』『モンブランの嵐』


リーフェンシュタールにおける山岳映画の重要性については、スーザン・ソンタグの『土星の徴の下に』の中に収められている「ファシズムの魅力」という文章を参照のこと。

曽根中生『不良少女 野良猫の性春』


曽根中生作品はこれ以外にもいくつか新たに DVD が出ている模様。