明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ピエール・ガスカール『けものたち、死者の時』など

長いあいだ利用している地元の図書館に「Cahiers du Cinema」仏版がおいてあることに最近になって気づいた。

雑誌コーナーにインターネット関連の雑誌を探しにいったとき、なにげに洋雑誌の棚を見たら、棚の側面に雑誌の名前をタイプしてリストアップした紙が貼ってあり、そのなかに「Cahiers du Sinema」と書いてあった。二度見して、やっぱり別の雑誌だと思ってからもう一度見直してやっと、スペルが間違っているけどどうやらあの「カイエ」らしいとわかった。一字ちがっているだけでこれだけわからないものなのか。調べてみると、たしかに「Cahiers du Cinema」の最新号がおいてあった。最新号のはいったパネルを持ち上げて裏のボックスをのぞくと、「カイエ」のバックナンバーがずらっと並んでいた。思わず10冊ほどまとめて借りてしまった。

しかし、いつからこの図書館、「カイエ」をとってたんだろうか。まさか黄表紙の頃からということはあるまいし、ウルトラ・ラディカルだった70年代の無愛想な「カイエ」がおいてあるとも思えない。わりと最近のもの、たぶん「ル・モンド」に吸収されてからのものしかおいていないんだろう。後で調べてみよう。

ともかく、これであのけちけちと情報を出し渋っている「Cahiers du Cinema」のホームページを見に行かなくてすむ。

ピエール・ガスカール『けものたち、死者の時』岩波文庫

わたしが大学に入った頃にはすでに単行本は絶版になっていた。以来、一度も復刻したことはないと思うが、こんなものまで文庫になってしまった。最近の学生は恵まれているな。しかし、読む人間がいるんだろうか。名作なので読んでほしいが・・・。

あの名作『決断の3時10分』までリメイクされてしまった。ラッセル・クロウグレン・フォードの役を演じるんだろうか。力不足ではないのか。まあ、ジェームズ・マンゴールドが監督なら、それなりの作品には収まっているんだろう。見に行くべきか、どうすべきか。


うわさは聞いていたが、『ウィンダム英和辞典』は聞きしにまさるいい辞典だ。見やすい、わかりやすい、面白い。

わたしはちょっとした辞書マニアで、パソコンのなかには40冊近い電子辞書がはいっていて、いつでも串刺し検索できる状態になっている。最近は、ふだん使う辞書はほとんどが電子辞書になってしまった。『コウビルド英英辞典』だけは電子辞書版をもっていなかったので、最近まで紙の辞書を使っていた。しかし、その『コウビルド』もとうとう電子辞書版を手にいれてしまった。これでほとんどすべて電子辞書だけですませられるようになった。

パソコンで作業をしながら紙の辞書を引くのは面倒くさく、スペースもとられる。電子辞書になれてしまうと、紙の辞書にはなかなか戻れない。ただ、専用のブラウザではない、Jamming などの汎用辞書ブラウザを使っていると、どの辞書も個性を失って、同じような顔に見えてくる。レイアウトも単調になり、見づらくなって、一目で内容がつかみにくいのが、こうした汎用ブラウザの欠点だ。しかし、いちいち専用ブラウザを立ち上げていたら、メモリも食うし、だいいち面倒である。実用性を考えると、いくつもの辞書をまとめて検索できる汎用辞書ブラウザは手放せない。

しかし、『ウィンダム英和辞典』でひさしぶりに紙の辞書を使ってみて、やっぱり紙の辞書はいいなと再認識した。しかし、そう思えるのは、この辞書が個性的だからこそである。『リーダーズ』や『ランダムハウス』は、たしかに語彙の数では圧倒的だが、どこか没個性的で、何年使っていてもあまり愛着がわいてこない。その意味では、紙の辞書で使っているときと、電子辞書で使っているときと、あまり大差がない辞書である(だから、便利な電子辞書の方で使いたくなるのだ)。

ウィンダム英和辞典』は、たんなる便利な道具ではない、愛すべき辞書になりそうな予感がする。長いつきあいになりそうだ。