明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。




























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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

「カイエ」雑感


やっぱり仏版「カイエ・デュ・シネマ」を10冊というのは借り過ぎだった。全然読んでる時間がない。とりあえず、目次の部分だけスキャンしておいて、あとで暇なときに OCR をかけて検索できるようにしておこうかと思ったが、よく考えてみたら、「カイエ」のホームページにいけば、目次を見られることを思い出した。無駄な時間を使ってしまうところだった。

ここ数年、Web 版に時折目を通すぐらいで、「カイエ」の本誌はほとんど読んでいなかった。しかし、「カイエ」も様変わりしたものだ。ぱらぱらとめくってみたが、知っている書き手がほとんどいない。編集長のジャン=ミシェル・フロドンをのぞけば、ジャン・ドゥーシェとか、ビル・クローン、リュック・ムレなどの名前をごくたまに見かけるぐらいだ。「ル・モンド」に吸収されてから、やはり体質を変えてしまったのだろうか。それはもう少し中身を読んでから判断することにするが、ただ、やっぱり「カイエ」だなと思わせるセンスのよさは随所に見られる。


ムルナウの『サンライズ』の小特集がくまれたある号では、「死の記号の湖」と題して、『サンライズ』の湖のシーンと、『陽のあたる場所』、『哀愁の湖』、『ヌーヴェル・ヴァーグ』の湖のシーンが、それぞれ縦長の連続写真でならべられる。一瞬の殺意、揺れる湖面、飲み込まれる人影。こういうレイアウトで見せられると、「映画的湖」とでもいったものに、否応なく注目させられる。だれが書いたか知らないがこの記事を読んでみたいと思う。もっとも、これを書いたのはベテラン、アラン・ベルガラだった(やっぱり)。

こういうセンスのよさは、日本の映画批評雑誌(そんなものがあるとしてだが)を探してもなかなか見つからないものだろう。一時期ほどの求心力はなくなったのかもしれないが、こういうところはやっぱり「カイエ」である。