明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

P・D・ジェイムズ『女には向かない職業』


今朝から一度もお日様を見ていない。もう8時になるのにあたりは薄暗く、細かい雨がしとしとと降り続いている。まったく、朝から気が滅入るぜ。


☆ ☆ ☆


朝といえば、最近、P・D・ジェイムズAn Unsuitable Job for a Woman『女には向かない職業』)を読みはじめた。

週に一冊ぐらいはペーパーバックを読もうと心がけているのだが、なにやかやと用事があってなかなか読む時間がない。ブンガクばかり読んでいると疲れる。あまりストレスを感じずに読めるものとなると、結局ミステリーになってしまう。というわけで、今回は P・D・ジェームズだ。

実は、ジェームズを読むのはこれがはじめてである。アメリカの作家だと思っていたが、冒頭、ベイカールー線(ベイカーストリートとウォータールーをつなぐロンドンの地下鉄)が出てくるところで、イギリス作家だったことに気づく。探偵事務所のパートナーがある朝自殺してしまい、ひとりで事務所をつづけることを決意した女探偵コーディリア・グレイの前に、ひとりの女が依頼に訪れるところから物語ははじまる。こういう場合、この女が事件の真相に深く関わっていたことが最後にわかるというパターンが多かったりするのだが、どうだろう。まだ50ページも読んでいないが、この古典的な始まり方からもわかるように、ちゃらちゃらしたところのない非常に本格的な探偵小説になっているようだ。

ジェームズは探偵小説以外の作品も書いている。先頃公開されたSF映画トゥモロー・ワールド』の原作は、ジェームズの The Children of Men(『人類の子供たち』)だった。もっとも、原作と映画はほとんど別物らしい。絶版になっていたが、映画公開にあわせて『トゥモロー・ワールド』というタイトルで再版されている。