明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。





























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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』『四時の悪魔』


亀田が負けて少し喜んでいるわたしは平凡な人間だ。でも、エリカ様はかわいいのでまあいいんじゃないかと思っているわたしは、やっぱりつくづく平凡な人間だ。


☆ ☆ ☆



さて、本題。


今日は、『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』『四時の悪魔』を簡単に紹介する。

ジャック・アーノルドとマーヴィン・ルロイをB級扱いするのもどうかと思うが、このカテゴリーはあまり使っていなかったので・・・。まあ両作品とも気楽に見ればいいんじゃないか。

ジャック・アーノルド『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』Tarantura!


ゴードン・ダグラス『放射能X』(54) 、エドワード・ルドウィグの『黒い蠍』(57) などと同じ巨大生物SFもの。『放射能X』のあとで見ると、正直いって、二番煎じの感はぬぐえない(冒頭のシーンなど『放射能X』とそっくりなので、ディスクを間違っていれてしまったのかと思ったほどだ)。ジャック・アーノルドにはもう少しスモールな映画のほうが向いているのではないだろうか。ただし、特撮に関しては、やはりこの時代のハリウッドのレベルの高さを感じさせる。ヘリコプターの隊長にクリント・イーストウッドがちょい役で出ているのが見物。イーストウッドはこの頃からヘリコプターのひとだったわけか。


マーヴィン・ルロイ『四時の悪魔』The Devil at 4 O'Clock


ホラー映画と思ってみたらちがった。というのは嘘だが、タイトルからは全然想像できない映画である。一言でいうなら、南の島を舞台にしたヒューマニスティックな火山噴火パニック映画、いわばハリウッド版『ストロンボリ』とでもいったところになるだろうか。

タヒチに近い南太平洋の島タルーア Talua (この島、実在するんですかね)に、護送中の3人(ひとりはフランク・シナトラ)の囚人を乗せた飛行機が一時着陸するところから物語ははじまる。この島の火山はいまは休止しているが、いつ噴火がはじまるかわからない。島の神父(スペンサー・トレイシー)は、ライ病にかかった子供たちのために、火山の近くにひとりで病院を建て、そこで子供たちの世話をしている。しかし、無知な島民たちにとって、罹病した子供たちは、さわれば感染する恐ろしい存在であるだけでなく、観光の妨げになるじゃまな存在でしかない。島民から理解を得られず、神父は信仰を失いかけ、いまは酒におぼれる日々を送っていた。神父は、3人の囚人を病院に連れてきて仕事をさせるが、かれらはすぐに脱走してしまう。そんなとき、突然火山が噴火する・・・。

ろくでもないと思われていた囚人たちが、最後には自己を犠牲にしてまで、病院の子供たちを島から脱出させることに成功し、最後は神への信仰さえ芽生えるというストーリーは、物語からなにかの意味を引き出さないでは気がすまない観客から失笑を誘うものかもしれないが、火山が噴火して崩れ落ちる街の描写など、ドキュメンタリーかと思わせるほど迫力があり、パニック映画としては十分見応えがある(地面に枕木のように敷かれた板がパタパタパタと跳ね上がるところなど、『トレマーズ』を先取りしたようなこともやっていた)。マーヴィン・ルロイという名前は、正直言って、あまり魅力的なものではなかったが、そういう固有名詞にこだわっていたらわからないアメリカ映画の底力のようなものを感じた。


  "As long as he is not mistaken for a serious artist, Le Roy can be delightfully entertaining."


と、アンドリュー・サリスが The American Cinema のなかでルロイについて書いているが、たしかに、日本では巨匠扱いされてしまっているせいでだいぶ損をしている作家なのかもしれない。