明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。































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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ローレル&ハーディのことなど


猫の偏食に悩まされる日々。安もんのエサ食べないねぇ、この猫。


☆ ☆ ☆


ローレルとハーディをまとめて二、三十本見る。こうやってまとめて見ると、同じギャグを結構使い回しているのがわかる。サラダにドレッシングをかけないことを "undressed" というのだが、給仕役のローレルが、「サラダを undressed で」といわれて、下着姿で給仕をしてしまい、パーティを台無しにするというギャグを、少なくとも二回は見た("undressed" がふつう「服を着ないで」を意味することに引っかけたギャグ)。

前から思っていたが、こうして見てみると、ローレルが女装する作品の多いこと、多いこと。そういえば、ローレルが女装したハーディと、ハーディが女装したローレルと結婚し、二組のカップルを演じるという映画もたしかあった(不気味だね)。ジャン=ルイ・シェフェールがこれを見て、「ローレルとハーディがホモでなかったことにほっとした」とどこかで書いていたような気がするが、忘れてしまった。しかし、このふたり、平気で同じベットに寝ていたりするから、見ようによっては危ないコンビである。

ところで、ローレル&ハーディがオックスフォードの学生になって一騒動を起こす A Chump at Oxford (40) という作品に、ピーター・カッシングが出ているので驚いた(昔の映画を見ていると、こういうことはよくある。ダグラス・サーク『僕の彼女はどこ?』にはジェームス・ディーンが、アルトマンの『ロング・グッドバイ』にはシュワルツネガーが出ている、などなど)。



ローレルの泣き顔とハーディのカメラ目線にもそろそろ飽きたので、気分を変えて、ウィリアム・ウェルマン『中共脱出』を見る。

反共映画で、しかも主演がジョン・ウェインということで、最悪の事態を予想したが、さすがにウェルマンである、下品な作品にはなっていない。冷戦時代の Red China を舞台にした映画だが、戦争映画でも、スパイ映画でもなく、むしろ『アフリカの女王』に近いテイストの作品になっている。『キートンの蒸気船』や『周遊する蒸気船』の系譜に連なる蒸気船映画。霧で画面が真っ白になる場面は『戦場』を、舵を握る船長ジョン・ウェインにふたりの暴漢が襲いかかるところをガラス窓の外から無音で捉え続ける場面は、『民衆の敵』の一場面を思い出させる(雨で視界がかすんでいるところも共通している)。しかし、ウェルマンとしてはやはり最良の作品とは言い難い。



マーティン・スコセッシ A Personal Journey With Martin Scorsese Through American Movies を DVD で見る。断片的に引用されたイメージというのはどうしてこうもひとを引きつけるのだろう。ヴィンセント・ミネリの『明日になれば他人』の抜粋を見て、メチャクチャ見たくなった。名前ぐらいは知っていたが、『悪人と美女』につづいて映画界を描いた作品だということは、スコセッシのこの映画を見るまで知らなかった。見たい。が、日本はもちろん海外でも DVD にはなっていないようだ。だれか、ミュージカル以外のミネリを!





ラズロ・コヴァックスがいつの間にか亡くなっていたことを知る。ちょうど、ベルイマンとアントニオーニが死んだ時期と重なっていたので、このふたりの陰に隠れてしまっていたようだ。ヴィルモス・ジグモンドと同じハンガリー出身のキャメラマンであり、亡命者としては珍しくないのかもしれないが、Leslie Kovacks / Laszlo Kovacs / Lazlo Kovacs / Leslie Kovacs / Lester Kovacs / Laszlo Kovaks / Art Radford などいくつもの名前を持つ。ゴダールの『勝手にしやがれ』のジャン=ポール・ベルモンドが、ラズロ・コヴァックスという偽名をもつのはたんなる偶然なのであろうが、シャブロルの『二重の鍵』のベルモンドの役名がやはりラズロ・コヴァックスであり、また、『気狂いピエロ』に登場する政治亡命者がラズロ・コヴァックスと名乗るのを見ると、ラズロ・コヴァックスという名前の増殖ぶりに驚かされる。