明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

クリフォード・シマック『都市』、ほか


三日つづけて鳥居みゆきを見てしまった。

恐ろしいもので、何度も見ているうちにあれがだんだん面白くなってきて、いつの間にかつぼにはまってしまっている自分に気づく。最近テレビに出る機会が多いせいか、芸もなんとなく洗練されてきたし、R1 のネタもよくできていた。いや、よくできていたという言葉はちょっとちがうか。全体としては、猫ヒロシふうのまとまりのないものであるのはたしかだろう。しかし、ナイロン袋を使った人形劇や、白の上に白を重ねた紙芝居など、とてもシュールでかつ笑えた。これからどうなっていくのか、それとも、どこにも行き着かないのか、とりあえず楽しみだ。

>>最近調査している名前:<<


フェリクス・E・フェイスト:カート・シオドマク作品をリメイクした『ドノヴァンの脳髄』で有名。『ザ・ビッグ・ツリー』だけが日本で DVD になっている(ハワード・ホークスに匹敵するという高評価を一部ではえている作品だが、一般にはほとんど忘れ去られている映画である。見ていないから、その真偽はわからない)。ロスの大地震を契機に撮られた処女長編 Deluge (33) がいま気になっている(前半は、人がほとんど出てこないドキュメンタリーふうの撮られかたをしていて、後半がラブ・ストーリーになっているという。いってみれば、『長江哀歌』の走りのような作品らしい)。

ハルーン・ファロッキ Harun Farocki:ストローブ=ユイレのドキュメンタリーも撮っているドイツの映像作家。(『階級関係』には出演もしている)。“Germany's best-known unknown filmmaker” ともいわれる。2006年に、アメリカでもおおくの作品が DVD 化されている。

ラルフ・マーフィ『女難アパート』(33):映画史からほぼ忘れ去られたコメディの傑作(らしい)。

Joaquim Pedro de Andrade:チネマ・ノーヴォの代表格。

These are the stories that the Dogs tell when the fires burn high and the wind is from the north. Then each family circle gathers at the hearthstone and the pups sit silently and listen and when the story's done they ask many questions:
"What is Man?" they'll ask.
Or perhaps: "What is a city?"
Or: "What is a war?"


最近読みはじめた、クリフォード・シマック『都市』の冒頭の部分。犬たちのあいだで代々語り継がれてきたおとぎ話のなかで、〈人間〉と呼ばれる伝説の存在が物語られる。人間が伝説となった以後の世界が描かれるという意味では、『アイ・アム・レジェンド』以後を描いた SF ということも出来る。シマックは日本では SF ファン以外にはあまり知られていないと思うが、フランスではとても人気があるという。ゴダールも『都市』が好きだという話を聞いたことがある(こういう動物的世界は、一部のフランス知識人にとって憧れなんだろうね。ドゥルーズもこういうの好きそうだわ)。そういえば、ゴダールがマリー・ダリュセックの『めす豚ものがたり』の映画化権を買ったのが一時話題になったけど、案の定、映画になったという話は聞かないね(たとえなったとしても、どうせ原形はとどめない仕上がりになってたろうけど)。