明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ルネ・アリオ『私、ピエール・リヴィエール』、アラン・タネール、フェルナン・ドリニーほか

René Allio, Moi pierre riviere

ルネ・アリオについては以前から何度か名前を出してるんだけど(調べてみたら、このブログでは 2005年にはじめて言及していた)、日本ではまだまだ無名に近い存在のようだ(Google のフレーズ検索では「ルネ・アリオ」は 428 件しかヒットしなかった。そのうちの半分がニコラ・フィリベールがらみで(これは「-」記号を使った検索で確認)、あとは「ルネ・アリオ、アラン・ ターネル、クロード・ゴレッタなど」といったぐあいに、いくつかの固有名詞のあいだにひっそりとまぎれこんで、ついでに並んでいるだけというものが大部分で、ルネ・アリオをちゃんと紹介している記事は数えるほどしかない。もっとも、ニコラ・フィリベールがある映画学校の生徒たちに『私、ピエール・リヴィエール』を見せたところ、生徒たちはルネ・アリオの名前さえ知らなかったというから、フランスでも一部の映画ファンをのぞいてほとんど忘れ去られた存在だったようだ。日本で知る人がないのは当然といえば当然なのだろう。

『ノルマンディーへの帰還』の公開にあわせて、『私、ピエール・リヴィエールは母と妹と弟を殺害した』が日本で公開されないまでも、DVD化されるなんてことはないだろうかと、少しは期待しているのだが、その可能性は実際には限りなくゼロに近い。だから、フランスでこの作品の DVD が出たことはうれしい知らせだ。この DVD には特典としてミシェル・フーコーのインタビュー映像や、それを収録したブックレットなどがつく模様。


>>Amazon fr で買えるそのほかの注目 DVD(ヨーロッパ映画編)<<


■アラン・タネール Coffret alain tanner : charles mort ou vif ; dans la ville blanche


タネールは、La Salamandre も DVD になっている。





■フェルナン・ドリニー Le cinéma de Fernand Deligny


自閉症の研究で知られるフランスの作家・教育学者。かれの理論は、ドゥルーズ=ガタリの「リゾーム」概念にも影響を与えているというし、フランソワ・トリュフォーは、『大人は判ってくれない』を撮ったとき彼に助力を仰いだという。

[「フェルナン・ドリニー」でググったら一件も引っかからなかったので、最初は「デリニー」と表記していたが、ふつうにフランス語として読んだら「ドリニー」である。なので、とりあえず「フェルナン・ドリニー」と読むことにするが、固有名詞の読み方にはセオリーがないので間違っているかもしれない。]




Coffret Pierre Zucca : Vincent mit l'âne dans un pré - Roberte - Rouge-gorge - Alouette, je te plumerai


クロソフスキーの映画化で知られるピエール・ズッカ作品を集めた BOX。




ジャック・リヴェット Paris nous appartient


最近、『パリはわれらのもの』を DVD で見直したんだけど、やっぱり訳がわかんない話だったね。なにかが起こったのか、なにも起こらなかったのか、さっぱりわからない。作中に登場する重要な人物のひとりが、マッカーシーイズムを逃れてパリに亡命してきたという設定になっていたことを、今回見直して思い出した。シェイクスピアの『ペリクレス』も読み直さなくては。



Noirot / Duelle - Coffret Jacques Rivette


ストローブ=ユイレ Coffret Straub Vol2


日本ではまだ DVD になっていない、 「De la nuée à la résistance (1978)、Ces rencontres avec eux (2005)、 Sicilia! (1998) 、 Sicilia! (version théâtrale) 、Fortini / Cani (1976) 」のイタリア時代の作品を収めた BOX。『シチリア!』のべつヴァージョンもはいっているところがうれしい。



■ヨハン・ファン・デル・コイケンCoffret johan van der keuken, vol. 5 : vacances prolongees ; ma soeur joke



Pierrre Clementi cinéaste l'Integrale



ピーター・ワトキンス Edvard Munch


ベルイマンによって天才的作品と激賞された、ピーター・ワトキンスのもっとも有名な作品。最近のムンク展にあわせて、東京・兵庫などで再び上映されている。ムンクの手記をもとにかれの生涯を疑似ドキュメンタリーふうに再構成する一方で、ナレーションが思わぬ角度から当時の社会状況を浮き彫りにしてゆく(「カール・マルクスは『資本論』の第二巻を執筆中だった。この年、ジョージ・S・パットンD・H・ロレンスが生まれた」などなど)。



■Hervé Le Roux, Reprise



Les anges du peche


ブレッソンのだと思うんだけど。2006 年発売だから、だいぶ旧作ですが。