セルジュ・ダネーがマリオ・バーヴァの『知りすぎていた少女』についてどこかに書いていたはずだと思って探してみたが見つからなかった。L'Exercice a été profitable, Monsieur のなかに出てくる『血ぬられた墓標』のこととどうも勘違いしていたようだ。
『血ぬられた墓標』が出てくるのは、L'Exercice a été profitable, Monsieur のなかで、ダネーがABC 順に監督の名前といくつかの作品名をならべ、それぞれの作品に A〜G まで評価をつけている箇所。たんに出来のいい順に A から G までならべるのではなく、もっとユニークで微妙な評価をしているところが面白い。『血ぬられた墓標』はここで G の評価を与えられているのだ。G の評価には、
(「〈われわれ〉にとって、ある時期、傑出した作品、または重要な作品だった。その後見直していないので、怖い。」)というコメントがつけられている。 ちなみに、A の評価には、
(「問答無用の傑作。人生をともにする映画。一度ならず何度も見直す。初期ロット。汲めどもつきない作品」という説明がついている(<"Lot" primitif>というのがいまいちわからなかった。このすぐあとで、 という文句が出てくるので、「初期ロット」と訳しておいて間違いではないと思うのだが)。A がついているのは、ブレッソンの『ジャンヌ・ダルク裁判』、リチャード・ブルックスの『エルマー・ガントリー』、ブニュエルの『糧なき土地』などなど。『エルマー・ガントリー』はわたしも大好きな映画で、ときどき人にも勧めるのだが、リチャード・ブルックスという名前は魅力がないのか、だれも見ようとしない(ま、いいけどさ。だれか、The Last Hunt を日本でも DVD化してくれ)。
こういうリストはいつ見ても楽しいものだ。いつか気が向いたら、「ジョナサン・ローゼンバウムがもっとも愛する映画1000本」とあわせて、もっと詳しく紹介してみてもいい。
最近読んでる漫画;
『エアマスター』のときすでに、ストリート・ファイトものの漫画になぜ巨乳キャラが必要なのかという疑念があった。しかし、巨乳メイド・キャラが登場するこの将棋もののビルドゥングス・ロマンを読みはじめて、もはや問うことをやめた(柴田ヨクサルを日本のフェリーニと呼ぶことにしよう)。棋譜の動きをまったく説明しないので、たぶん作者は将棋のことを知らないのだろうと思っていたが、実はちゃんと描いてあるらしい(将棋のことは詳しくないので、自分では確認できないが、そうらしい)。
もうすぐ第6巻がでます。
幕末の動乱を描く剣劇もの。意外と骨太。
山田風太郎に匹敵する作家がはたして世界に何人いるだろうか、と思いつつ、『魔群の通過』を読みはじめる。17世紀を理解するにはデュマを読めばいい。日本の歴史を理解するには、山田風太郎を読むに限る。