明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

日々の泡〜ユセフ・シャヒーン亡くなる


ユセフ・シャヒーンが亡くなった。脳出血で倒れたあと数週間昏睡状態だったらしい。
実をいうと、わたしはまだシャヒーンの映画を見て本当にすごいと思ったことがない。もっとも、わたしが見たのは、日本で公開された『放蕩息子の帰還』(76)、『アレキサンドリアWHY?』(79)、『炎のアンダルシア』(97) と、英語字幕で見た『アデュー・ボナパルト』(85) ぐらいだ。この作家のことはほとんど知らないといっていいほどである。とくに、オマー・シャリフのデビュー作をふくめた50年代の作品などは、日本ではまず見る機会がない。せめて DVD で代表作が見れるようになることを期待する(晩年の作品なら海外でいくつかDVDになっている。まだ一本も見たことがない人は、いちばん有名な『アレキサンドリアWHY?』あたりから見てみるといいだろう)。


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和泉元彌がCDを出すんだとか。むかしはこの人、吉田喜重の映画に出てたんですよ。なんでこうなっちゃったんだろ。


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最近読んでる漫画:

・『オメガトライブキングダム
『オメガトライブ』から一気に読んだので少々疲れた。特殊な能力をもつ新人類の登場という設定自体は、最近の「HEROES」や「4400」シリーズ、『X-MEN』などと共通しているが、アメリカ人がやると、異能の能力者がヒーローとなるか、あるいは社会から虐げられて悪に走るといった、結局は同じような話になるところを、こういう物語を作りあげてしまうところが日本の漫画の偉大さだろうか。
一言でまとめると、日本にクーデターを起こす話です。こういう右翼的とも形容できる物語のほうが、いまは面白いんですね、なぜだか。



☆ ☆ ☆


オリンピックにあわせてアントニオーニの『中国』がDVD化、などということは夢でもなければ起こらないか。もう一回見たいんだけどなぁ


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『魔王』には期待していたのだけれど、韓国版のほうが断然面白いね。韓国版では謎のまま進んでいく部分を、一話目からばらしてしまう脚本の意図がわからない。なんの証拠も残さない用意周到な犯人が、自室の壁に復讐の相手の写真をぺたぺた貼り付けているところも、サイコパスものの定石をまねただけで、人物にあっていない気がする。もっとディテールに気を遣ってほしい。これに限らず、最近の日本のテレビドラマの脚本はレベルが低すぎる。「CHANGE」みたいなひどい脚本でも受けてしまうのは、いまの日本の首相のおかげか。


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エルモア・レナード『身元不明者89号』を読み終える。だましあい、殺しあう懲りない面々をレナード・タッチで描いた犯罪小説。やっぱりレナードは面白いね。読みはじめたらやめられなくなった。悪党がキレる瞬間のスピード感がすごい。令状送達人が主人公の小説というのはこれがはじめて。和訳をときおり参照しつつ原書で読んだのだが、田口俊樹の訳は、めだった誤訳もなさそうで勉強になる。