しばらく日本の新作 DVD にはこれというものがなかったのだが、この辺で一挙にまとめて。
最近、ひさしぶりに見直してみたら、むかし見たときほどおもしろくなかった。けれど、赤いサンタクロースがふりむく瞬間はやっぱり怖い。
工藤栄一『野獣刑事』
D・W・グリフィス『アメリカ』
安い、けれども・・・。
パウル・レニ『猫とカナリヤ』
同じシリーズから。
シドニー・J・フューリー『国際諜報局 プレミアム・エディション』
前にも紹介した気もするが、念のため。スパイ映画の古典です。
加藤泰『江戸川乱歩の陰獣』
前から DVD になっていたっけ? ちなみに、バーベット・シュローダーの新作は Inju, la bête dans l'ombre。
マキノ雅弘『浪人街』
ジョン・ヒューストン『王になろうとした男』
これも前から DVD になっていたか? 最近よくわからなくなってきた。
ジャン=マリー・ストローブ/ダニエル・ユイレ『シチリア! コレクターズ エディション』
D・W・グリフィス『イントレランス クリティカル・エディション』
ペドロ・コスタ『映画作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?』
アンソニー・アスキス『黄色いロールスロイス』
大ヒットした作品だが、かなりの確率で凡作だろうとわたしはにらんでいる。実は、これを取り上げたのは、どさくさにまぎれてこの監督の The Browning Version という作品を紹介するためだ。学生たちから疎んじられ、妻にも浮気されている初老の教師のパブリック・スクールでの最後の一日をベルイマンふうに描いた作品で、アンチ・チップス先生とでもいうべきペシミズムが全篇にみなぎっていて、わたしには忘れがたい。作家主義的視点からは抜け落ちてしまう作品だろうが、こういう作品を入れてくるところが、さすが Criterion である。紀伊國屋書店には真似ができないところだ。
紀伊国屋から出ている DVD はたしかにすごいが、タイトルを並べてみると、これを選んだ人物がどういう人生を歩んできたかまで透けて見えてしまうような恥ずかしさを覚えてしまう。ペドロ・コスタの DVD が出ること自体には驚いても、それがラインナップに入っていることには何の驚きもない。紀伊国屋から出た DVD で、こんな映画もあったのかという発見は一度もない。アントニオ・マルゲリーティが出たときは驚いたが、あれは黒沢清という異物が混入したために過ぎなかった。紀伊国屋には Criterion を見習ってもう少し視野を広げてもらいたい。そして、いい格好ばかりしていないで、たまにはひとから馬鹿にされそうな作品もあえて出すぐらいの冒険をしてほしいものだ。