今年もあと残りわずかになってきたので、そういえば書き忘れていたことをいくつかまとめ書きしておく。
アルゼンチンでラングの『メトロポリス』の全長版が発見
このブログで『メトロポリス』について書いたことがある。『メトロポリス』がどういった経緯で現在の不完全なヴァージョンでしか見られなくなってしまったのかについて、簡単に触れたのだった。実は、その2ヶ月後に、永遠に失われてしまったかに見えた完全版がアルゼンチンで発見されていたのだ(いま思うと、この時期はずれに『メトロポリス』のことを書いたのは、虫の知らせだったのかもしれない)。
わたしがこの発見を知ったのは、だいぶあとになってからのことだったので、タイミングを逃してつい書きそびれてしまった。しかし、「メトロポリス」+「アルゼンチン」でググってもたいしてヒットしないので、このニュースは案外まだ日本ではあまり知られていないのかもしれない。そう思って、念のために書いておくことにしたが、詳しく書くのは面倒くさいし、苦労して書いたのにそんなこととっくに知っているよといわれるのもしゃくなので、とりあえず、そういうことがあったということだけ伝えておく。興味がある人は、"Metropolis + discovered" で検索すれば、いくらでも英語サイトがヒットするはず。
今年も多くの訃報に接したが、書き忘れたものも多い。思い出せたものだけまとめて書いておく。
ディノ・リージ:
イタリア喜劇の巨星といっていい存在なのだけれど、日本でのこの知名度の低さは何なんだろう。そういえば、モレッティの Il Caimano でもリージの名前ができた。
シド・チャリシー
アニタ・ページ:
今年亡くなった女優はほかにもいたと思うけれど、思い出せない。
マニー・ファーバー:
説明する必要はないだろう。アメリカの偉大な映画批評家のひとり。代表的著作の Negative Space はいま品切れ状態らしく、Amazon のマーケットプレイスでは 200ドル近い高値がついている(わたしが同じ本を Amazon で買ったときは、たしか10数ドルだった)。まだ買っていなかった人には、きつい値段だが、円高なのでがんばって買ってください。
(追記:マニー・ファーバーの追悼記事を書いておられる SomeCameRunning さんからの情報で、Negative Space は amazon.co.jp からも買えることがわかりました(ここ)。ただ、わたしの経験を言うと、amazon.com で品切れになっていた本が、amazon.co.jp で見つかったので、やったと思って注文したら、さんざん待たされたあげく、入手できませんでしたと言われたことがあります。amazon.co.jp で洋書を注文したのはその一回だけなので、そういうことがよくあるのかどうかわかりませんが、念頭に置いておいた方がいいでしょう。)
マックス・オフュルスの DVD 化が加速化中
『たそがれの女心』、『快楽』、『輪舞』が Criterion から続々と DVD 化している。オフュルスは日本でも何作品か DVD になっているが、『たそがれの女心』はアイ・ヴィー・シーだし、『忘れじの面影』も廉価版 DVD で出ているだけだ。満足いく状態とはとてもいえないので、Criterion 版の発売は非常にうれしい。(アイ・ヴィー・シーの DVD は買う気がしないので見ていないが、聞くところによるとアイ・ヴィー・シー版『たそがれの女心』の DVD はかなりひどいらしい)。『歴史は女で作られる』のデジタル修復版も進行中だそうなので、もう少し待てばこれも最高の状態で見ることができるようになるだろう。アメリカ時代のオフュルスもぜひ Criterion から出してほしい。ついでだが、マルセル・オフュルスもそろそろ日本で注目されていいのではないか。
ジョルジュ・フランジュ二本立て
Judex/Nuits RougesUK 版。Judex はフランスで見ているのだが、Nuits Rouges はまだ見たことがない。フランスでも同じパッケージが出ているけれど、こちらは現在手に入りにくくなっている。
Larisa Shepitko: Wings/The Ascent
ECLIPSE シリーズから出ていたので前々から気になっていた作品。スーザン・ソンタグが愛した映画だということを知って、さらに見たくなった。『サタンタンゴ』や『ベルリン・アレクサンダー広場』を絶賛したソンタグだから、そっち方面の作品だと思うが・・・
ほかにも書き忘れたことはいろいろあった気がするが、いまはこれくらいしか思い出せない。
(最近、筆無精気味なので、たぶん今年はこれで最後です。でも、気が向いたらもう一回ぐらい書くかも。)