明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


このサイトはPC用に最適化されています。スマホでご覧の場合は、記事の末尾から下にメニューが表示されます。


---
神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

---

評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

新作DVD〜『二重結婚者』『赤軍‐PFLP 世界戦争宣言』ほか

アイダ・ルピノ『二重結婚者』


まさかこれが日本で出るとは思わなかった。海外ではすでに DVD になっているので、そちらで手に入れている人も多いはず。しかし、500円 DVD というのは微妙だ。米版はリマスターされたものだが、これはたぶん違うんだろうな。『ヒッチハイカー』『二重結婚者』『暴行』の3作を BOX で出したら、紀伊国屋を少し見直してやってもいい(無理だろうけど)。

『ヒッチハイカー』もむかし廉価版が出ていたみたいだが、わたしの目に一度も触れることなく消えてしまったようだ(米版もってるからべつにいいんだけどね)。


足立正生『赤軍‐PFLP 世界戦争宣言』


足立正生が70年代初頭にパレスチナの難民ゲリラのキャンプを訪れ、16ミリでその日常を撮影した記録映画。ガザ空爆の前に発売は決まっていたようだが、偶然にしてはタイムリーすぎる。

政治プロパガンダ映画としてみれば、たしかに退屈な作品だろう。しかしそれはこの映画の正しい見方なのか。永山則夫の見た風景をひたすら撮りつづけた『略称・連続射殺魔』の静寂の後にこの作品を見ると、違うものが見えてくるのではないだろうか。奇妙な魅力を持った作品であることは間違いない。


ロベール・ブレッソン『抵抗-死刑囚は逃げた』


『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[I]』『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[II]』『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[III]』


『コッポラの胡蝶の夢 スペシャル・エディション(2枚組) 』


クロード・シャブロル『女鹿』


ああ、ステファーヌ・オードラン


D・W・グリフィス『イントレランス(淀川長治解説映像付)』

ミケランジェロ・アントニオーニ『さすらいの二人』


リチャード・マーカンド『白と黒のナイフ』


この監督の名前をひさしぶりに思い出した。スパイ映画『針の眼』など、なかなかの才能を感じさせた監督だったが、そういえば最近名前を聞かない。どうしているんだろうと思って調べてみたら、87年にとっくに亡くなっていたことを初めて知った。


『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー DVD-BOX 3』


『出稼ぎ野郎』『悪の神々』『聖なるパン助に注意』の初期3作を収録。

『出稼ぎ野郎』はファスビンダーの名を世に知らしめた長編第2作。わたしが好きなファスビンダー作品の1つだ。『悪の神々』は、『愛は死よりも冷酷』『アメリカの兵隊』とともにファスビンダーのギャング映画3部作をなす。ハリウッドのギャング映画には、「崇高な」としかいいようのない瞬間がしばしば存在する。しかし、ファスビンダーのギャング映画にはそのような瞬間は皆無だ。タイトルからは想像もつかないが、『聖なるパン助に注意』は、にっちもさっちもいかなくなった映画製作の現場を描くファスビンダー流『81/2』とでもいうべき作品(この映画が撮られたのは『81/2』の約10年後、そして『ことの次第』の約10年前である)。撮影はいっこうに始まらないのでどういう映画なのかよくわからないが、その映画内映画のなかでは、どうやらエディ・コンスタンチーヌはレミー・コーション役を演じることになっているらしい。


ジョン・ハフ『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』


これは新作ではないが、日本で DVD が出ていることを初めて知ったので、ついでに紹介しておく。たいした映画ではないが、これといった野心も感じられない一方で、観客にこびを売るようなところもないのがいい。70年代のアメリカのアクション映画にしては、ニューシネマ的な嫌らしさがあまり感じられないのだ。しかし、車の時代ももうそろそろ終わりかけている。映画と車の関係はこれからどうなっていくんだろうか。