まさかこれが日本で出るとは思わなかった。海外ではすでに DVD になっているので、そちらで手に入れている人も多いはず。しかし、500円 DVD というのは微妙だ。米版はリマスターされたものだが、これはたぶん違うんだろうな。『ヒッチハイカー』『二重結婚者』『暴行』の3作を BOX で出したら、紀伊国屋を少し見直してやってもいい(無理だろうけど)。
『ヒッチハイカー』もむかし廉価版が出ていたみたいだが、わたしの目に一度も触れることなく消えてしまったようだ(米版もってるからべつにいいんだけどね)。
足立正生が70年代初頭にパレスチナの難民ゲリラのキャンプを訪れ、16ミリでその日常を撮影した記録映画。ガザ空爆の前に発売は決まっていたようだが、偶然にしてはタイムリーすぎる。
政治プロパガンダ映画としてみれば、たしかに退屈な作品だろう。しかしそれはこの映画の正しい見方なのか。永山則夫の見た風景をひたすら撮りつづけた『略称・連続射殺魔』の静寂の後にこの作品を見ると、違うものが見えてくるのではないだろうか。奇妙な魅力を持った作品であることは間違いない。
『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[I]』、『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[II]』、『フランソワ・トリュフォーDVD-BOX「14の恋の物語」[III]』
『コッポラの胡蝶の夢 スペシャル・エディション(2枚組) 』
ああ、ステファーヌ・オードラン!
この監督の名前をひさしぶりに思い出した。スパイ映画『針の眼』など、なかなかの才能を感じさせた監督だったが、そういえば最近名前を聞かない。どうしているんだろうと思って調べてみたら、87年にとっくに亡くなっていたことを初めて知った。
『ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー DVD-BOX 3』
『出稼ぎ野郎』『悪の神々』『聖なるパン助に注意』の初期3作を収録。
『出稼ぎ野郎』はファスビンダーの名を世に知らしめた長編第2作。わたしが好きなファスビンダー作品の1つだ。『悪の神々』は、『愛は死よりも冷酷』『アメリカの兵隊』とともにファスビンダーのギャング映画3部作をなす。ハリウッドのギャング映画には、「崇高な」としかいいようのない瞬間がしばしば存在する。しかし、ファスビンダーのギャング映画にはそのような瞬間は皆無だ。タイトルからは想像もつかないが、『聖なるパン助に注意』は、にっちもさっちもいかなくなった映画製作の現場を描くファスビンダー流『81/2』とでもいうべき作品(この映画が撮られたのは『81/2』の約10年後、そして『ことの次第』の約10年前である)。撮影はいっこうに始まらないのでどういう映画なのかよくわからないが、その映画内映画のなかでは、どうやらエディ・コンスタンチーヌはレミー・コーション役を演じることになっているらしい。
これは新作ではないが、日本で DVD が出ていることを初めて知ったので、ついでに紹介しておく。たいした映画ではないが、これといった野心も感じられない一方で、観客にこびを売るようなところもないのがいい。70年代のアメリカのアクション映画にしては、ニューシネマ的な嫌らしさがあまり感じられないのだ。しかし、車の時代ももうそろそろ終わりかけている。映画と車の関係はこれからどうなっていくんだろうか。