大統領選挙後の混乱のイラクから遠く離れたイタリアで、アッバス・キアロスタミがジュリエット・ビノシュ主演の映画を撮っているという話を聞いたときは驚いたが、今は一刻も早く見たくてしようがない。
さて、約1ヶ月ぶりに、日本の新作 DVD を紹介する。別にたいしたものはない(たいしたものはないというのは、全部見ているものばかりで、驚くようなものは出ていないという意味だ)。
エーリッヒ・フォン・シュトロハイム『愚かなる妻 クリティカル・エディション』
ジャン・ルノワール『ジャン・ルノワールの小劇場 』、『恋多き女』、『ラ・マルセイエーズ』、『素晴らしき放浪者』、『牝犬』
『それを暁と呼ぶ』を久しぶりに見直していて、タイトルの "Cela s'appelle l'aurore" という言葉は、たしか最後に執事がつぶやくんだよなと思ってみていると、そんな場面はなく、そうだ、あれはゴダールが『カルメンという女』で勝手に引用していたのだったと思い出す。それにしても美しいタイトルだ。ブニュエルらしくない物語ともいえるが、電柱のキリストや、祖父にいたずらされる少女など、彼らしい主題は随所に登場する。ブニュエルのお気に入りの作品だったらしいが、わたしもこの映画が大好きだ。どうでもいいが、ルチア・ボゼという名前は、わたしにとって、一時期、神話的な名前だった(ただたんに、名前の響きに惹かれただけで、別に好きな女優というわけではないのだが)。
そういえば、ブニュエルは、若きロメールのことを「ファシスト」と呼んでいたのだった。