明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

『百舌谷さん逆上する』『嘘喰い』ほか


どうでもいい情報の続き。


最近読んでいるマンガ。すでにどこかで名前を挙げたタイトルはのぞく。


『百舌谷さん逆上する』
ツンデレ」について知りたければ、読むといいマンガ。あるいは、これを読むと「ツンデレ」が何だかわからなくなるマンガ。「ツンデレ」とは、ツンツンしてたのがデレデレになることだと思っていたが、冒頭からいきなり、「ツンデレ」とはツンデレ博士という実在する博士の定義によるものだという、嘘かホントかわからない話がでてきて、面食らう。


『Billy Bat』
大好きなメルヴィルの中編と同じタイトルだったので、海の話かと思ったら、"Budd" ではなく "Bat" だった。マンガのとおりに事件が起こってゆくというのは『20世紀少年』の焼き直しという気もするが、全然違う作品に仕上がりつつあるようだ。作品の鍵をにぎるコウモリの絵は、人類が初の着陸に成功した月にも、ゴルゴダの丘で処刑されるキリストの傍らにも現れる──。あいかわらず話がでかい。しかし、この作家には、これぐらい風呂敷を広げても大丈夫だと思わせる力量がある。


『AZUMI - あずみ』
絵のタッチが苦手な劇画調なので敬遠していたが、なにげに読みはじめたら、やめられなくなってしまった。40数巻やっと読み終えた──、と思ったら、今度は続編だ。休む暇もない。新シリーズから表紙の絵の感じが変わったが、中身はいっしょだった。江戸末期にはじまった物語は、とうとう明治時代まで突注。このぶんだと昭和までなだれ込むんじゃないか。そういえば、阿部和重が、このマンガを自分で映画化したかったといっていたっけ。血を浴びればあびるほど聖性をおびていくヒロインのエロスがこのマンガの大きな魅力だと思うが、ヌードになれない上戸彩では彼女を演じるのにちょっと限界があるのではなかろうか。


『闇金ウシジマくん』
後学のために読み始めたが、特殊なケースばかり描かれるので、実生活ではあまり役に立ちそうにない。面白いのは面白いんだけど、読んでいると気がめいってくるマンガだ。3巻まで読んだ今のところ、ポジティヴな要素が一つも見つからない。闇金で働きたい人以外には、無理に薦めない。


『ディアスポリス 異邦警察』
もうすでに全巻完結してしまっているが、まだ半分ぐらいまでしか読み終えていない。東京(?)のなかに、不法入国者ディアスポラ)たちを治める裏都庁が、人知れず存在する。そこには裏の都知事がいて、裏の警察署長までいるというのが、このマンガの描く世界だ。ユニークな視点から日本社会を批判的に描いた傑作。三池崇史の多国籍やくざ映画を思わせるところもあるね。


『ノノノノ』
女子が出場できないオリンピックのハイジャンプに、自分が女であることを隠して出場することを目指すヒロインを描いたマンガ。今が旬です。


『CLAYMORE』
特殊な能力をもった女戦士たちの壮絶な闘いを描くダーク・ファンタジー。主要人物はすべて女というのがユニーク。かなり面白いが、話がわかりにくいのが難点。キャラクターは女ばかりで、名前もすべてカタカナ。しかも、彼女らは能力に目ざめると髪が脱色してしまい、みんな銀髪になるので、髪の毛で区別するのも難しい。しばらく間をあけて新刊を読み始めるといつも、だれがだれかわからなくなってしまうので困る。


『とめはねっ!鈴里高校書道部』
書道部を描いたユニークなマンガ。篆書、隷書、楷書はどういう順番に出来たか、等々、蘊蓄が多いので、読んでいるうちに自然と「書」に強くなってしまう。


『バガボンド』
宮本武蔵を描いたビルドゥンクス・コミックの傑作。


『彼岸島』
気が向いたら紹介しようと思っていたら、映画になってしまった。映画は見ていないが、どう考えても、マンガで読んだほうが面白いはず。ホラー・テイストで描かれる孤島のサバイバル。目を合わせないあいだはおたふくみたいな顔をしているが、目を合わせたとたん鬼の形相に変わる妖怪など、なにか子供のころ読んだ妖怪譚を思わせるようなところがあるマンガだ。


『ホムンクルス』
このマンガだけは一言で説明できそうにない。正直、わけがわからないのだけれど、それでもぐいぐいと引っ張っていって、強引に読ませてしまうところがすごい。わたしは『殺し屋1』よりこちらを買います。


『嘘喰い』
これが今いちばんはまっているマンガかもしれない。10巻以上出たころに読み始め、一挙に最新刊まで読み進んでしまった。騙しあいの面白さを描いたマンガでは、ドラマにもなった『ライアーゲーム』が有名だが、わたしはこっちのほうが断然面白いと思う。毎回、大金やときには命までかけた賭がおこなわれ、騙しあいの闘いがおこなわれるところまでは、『カイジ』などとも似ていたりする。このマンガが面白いのは、賭を仕切る「賭朗」という謎の組織が出てくることだ。何が起きるかわからない賭の現場を仕切るレフリーだけあって、この組織のやつらがみなとんでもなくケンカが強く、頭脳ゲームが、いつの間にか壮絶なバトルになったりするのが、このマンガの魅力だ。『ライアーゲーム』にバトルの要素が加わったマンガといえばわかりやすいだろうか。まんが力はかなり高い。