Abdellatif Kechiche の『The Secret of the Grain』(2007) が Criterion から DVD で登場。
アブデラティフ・ケシシュ(という読み方でいいのか?)は 、1960 年、チュニジア生まれで、元々は俳優だった。2000 年の『Poetical Refugee』が監督デビュー作だから、監督としては遅咲きといっていい。『The Secret of the Grain』は、第64回ヴェネチア映画祭で、審査員特別賞を受賞。フランスで公開されたときは、非常に話題になり、カイエの表紙も飾った。栄誉あるルイ・デリュック賞も受賞している。しかし、日本ではほとんど知られていない人物といっていいだろう。「アブデラティフ・クシシュ」で検索すると、結構ヒットするが、その大半はヴェネチア映画祭がらみの記事の中だし、その話題もすでに3年前のものだ。日本公開はあまり期待できないかもしれない。
ちなみに、『The Secret of the Grain』は、「カイエ・デュ・シネマ」の編集部が選んだ21世紀最初の10年に撮られた映画ベストテンの第6位にはいっている。
(Criterion からは DVD と同時にBlue-Ray版も発売されている。)
『The Actuality Dramas of Alan King (Eclipse Series 24) (Criterion Collection)』
正直、アラン・キングという監督については初耳だった。しかし、カナダには、ピエール・ペローやミシェル・ブローなど、まだまだお宝が隠されている。アラン・キングもそのひとりかもしれない。
ジョセフ・フォン・スタンバーグ『Three Silent Classics By Josef Von Sternberg (Underworld / Last Command / Docks of New York) (Criterion Collection)』
ジョージ・キューカー『Susan And God』、『No More Ladies』
キューカーのこの2本はたぶん初ソフト化だと思う。
ついでに、去年出たキューカーの DVD を2本紹介しておく。
『Bhowani Junction』は、イギリスからの独立の気運が高まる激動のインドを舞台に、大人の恋愛を描いたキューカー絶頂期の傑作。ビデオのトリミング版では見ていたのだが、この DVD でやっとシネスコで見ることができた。
『The Actress』は、タイトルから分かるとおりの女優ものである。といっても、この映画のヒロイン、ジーン・シモンズは、女優の卵ですらなく、たんに女優にあこがれているだけの田舎娘だ。その父親を演じているのがスペンサー・トレイシーで、当然ながら、娘が女優になることには猛烈に反対。一方、母親役のテレサ・ライトは、当然ながら、陰で娘を応援する。夢の世界に生きている娘と現実とのギャップを、キューカーは巧みに笑いに変えていく。家の内部を捉えるキャメラの閉鎖的なフレーミングが息が詰まるような効果を上げている。