パヴェーゼものを2つ。
スコリモフスキ自らが主人公・アンジェイを演じた“アンジェェイもの”三部作、『身分証明書』『不戦勝』『手を挙げろ!』を収録。 海外では『バリエラ』もふくめた4枚組の DVD-BOX が7千円ほどで発売されている。それとくらべると日本版の値段は高いが、海外版の英語字幕は多少読みにくかったし(意外とおしゃべりな映画なんだよね)、高い分は日本語字幕代だと考えれば、まあ納得できる値段か。
前にも書いたけれど、ムンクを『パサジェルカ』一本で片付けるのは、そろそろやめにしませんか。
ロージーは日本ではなかなか DVD 化されない。海外でもそれほどソフト化されているわけではない。なんでもいいから出るのはいいことだが、なぜこれをチョイスしたのという気もする。いや、悪い映画じゃないですよ。オペラものとしては間違いなく傑作でしょう。オープニングのセットなんて、思わず「おー!」といってしまう(美術は、アレクサンドル・トローネル)。グラムシの引用で始まるところはいかにもって気もするが、なんかロージー作品を見たって気がしないんだよね。まあ、ロージーってたまにそういうの撮る人なんだけど。
音楽ものなので、映画ファン以外にも購買層が広がると考えたのかもしれないけど、どうせ出すならもう少し冒険してほしかった。例えば、最近海外で DVD が出た『The Damned』なんてのも有りだったんじゃない? 『緑の髪の少年』の遠い続編とも、ロージー版『光る眼』ともいえる内容で、傑作と呼ぶのはためらわれるが、ハマ−プロ製作(!)というさまざまな制約のなかで撮られたにもかかわらず、いかにもロージーらしいユニークな作品だ。特殊能力を持つ銀髪の子供たちの存在も不気味だが、それと平行して描かれる、《テディ・ボーイ》と呼ばれる、エドワード七世時代の華美な服装を愛用する不良少年たちの存在が、作品に社会的な奥行きを与えている。
最近、情報誌をこまめにチェックしないせいもあるのかもしれないが、ロメロの近作は知らないうちにどこかで公開されて、気がついたときには DVD になっている。これもそのパターンになってしまった。
全編ビデオ撮影のかたちで見せた前作のクライマックスには、 "shoot" という動詞が、「撃つ」と同時に「撮る」を意味する稀な瞬間が存在する。
良くも悪くもいつものアルジェントです。
まあ、映画だから、こういうのもありますよ。
ルビッチらしからぬシリアスなメロドラマ。後味が悪い。