明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

新作DVD――ジャン・ルノワール『十字路の夜』、エレム・クリモフ『炎628』ほか

ウィリアム・A・ウェルマン『飢ゆるアメリカ』 [DVD]


ウェルマンには数々の傑作があるが、30年代のいわゆる「プレ・コード」時代に撮られた作品群は格別だ。なかでもこの『飢ゆるアメリカ』は、第一次大戦終結から、大恐慌、そしてニューディール政策へとつづく激動の時代を生きる主人公を通して、アメリカの暗部を生々しくえぐり出した傑作中の傑作といってよい。英雄的行為はだれにも気づかれず、逆に、やってもいない罪で裁かれてしまう主人公。ここでは、軍隊も、企業も、警察も彼に不当で、資本主義者も共産主義者も共に腐敗している。ワーナーが最も攻めていた時代の作品。


ジャン・ルノワール『世界の推理小説傑作映画 十字路の夜』 [DVD]


霧と雨に湿る濃密な夜(ルノワールがやりたかったことに技術が追いついていないのではないかというもどかしささえ覚える画面)。理解不能で迷宮のような物語。「フィルム・ノワール」という言葉が発明される以前にそれを実現してしまったかのような作品だ。フィルムで一度だけ見たことがあるが、その時の衝撃は忘れがたい。海外版で先に見てしまっているので、日本でどんなソフトが出てもあまり驚かないことが多いのだが、これにはちょっとびっくりした。しかし、同時に、残念な気もする。この傑作はできれば最初にフィルムで見たいし、それがダメならせめてクライテリオンのブルーレイとか、とにかく最高のかたちで見たいものだ(もちろん、買うけど)。

『世界の推理小説傑作映画』DVD-BOX のラインナップには入ってなかったはずなのだが、『黄色の部屋』がこれに差し替えられたということか。


『アメリカンホラーフイルム ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.4』

「狂へる天才」「電気人間」「殺人魔の魂」「透明人間の逆襲」「殺人鬼の巨像・クリーパー」の5作品を収録したアメリカンホラーフィルム ベスト・コレクション第4巻。

第4弾まで来るといささかマイナーなラインナップになってきた気はするが、マイケル・カーティス表現主義的な感性を発揮したといわれる『狂へる天才』が入っているのが注目。


『ハリウッド西部劇映画傑作シリーズ DVD-BOX Vol.17』

ハリウッド黄金時代に輝いた、珠玉の西部劇傑作シリーズの第17弾!一流のスタッフ&キャストが結集した厳選の5作品「フェザー河の襲撃」、「サドル・トランプ」、「挑戦」、「廃墟の守備隊」(アンドレ・ド・トス)、「アリゾナの襲撃」を収録。

こちらもちょっとぱっとしない並びだが、西部劇初の3D映画として撮られ(サークの『アパッチの怒り』などがこれにつづく)、『捜索者』を予告しているとも言われるゴードン・ダグラスの『フェザー河の襲撃』あたりが興味深い。


『エド・ウッド コレクション DVD-BOX』

[“映画史上最低の映画監督”エド・ウッド初期の代表作を集めたBOX。エド・ウッド自らダニエル・デイヴィス名義で主演も兼ね、女装趣味の男の苦悩を描いた処女作『グレンとグレンダ』ほか、『怪物の花嫁』『プラン9・フロム・アウタースペース』を収録。]


『アンドレイ・タルコフスキー 傑作選 Blu-ray BOX』(初回限定)


エレム・クリモフ『炎628』 Blu-ray


戦争という狂気の体験を少年の目を通して描き、カルト的人気を誇る作品。


サタジット・レイ『ビッグ・シティ』『チャルラータ』


あのウェス・アンダーソンが大好きでベストテンに選んでいる『チャルラータ』と、こちらも屈指の傑作といわれる『ビッグ・シティ』の2本がブルーレイで登場。日本ではすっかり忘れられていたインドの巨匠サタジット・レイがようやく思い出されはじめようとしている。


『あの頃映画松竹DVDコレクション 桃太郎 海の神兵 / くもとちゅうりっぷ デジタル修復版』

松居大悟 『私たちのハァハァ』 [DVD]

日本映画はあんまり熱心に見てないのだが、これは最近見たなかで強く印象に残った一本。テレビで見たのだが、それでも画面の迫力を感じた。