ラリー・コーエン『スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』
(Special Effects, 84) ★½
「スペシャル・エフェクト」というタイトルでサスペンスとなると、『F/X 引き裂かれたトリック』のような作品をちょっと想像してしまうが、ぜんぜん違う。原題も邦題もいささかミスリーディング。
女優の卵が経験する悪夢が描かれるという意味では、『マルホランド・ドライブ』や『ネオン・デーモン』などに近い題材を扱っているといえるが、むしろ、『血を吸うカメラ』や『女の香り』(アルドリッチ)、あるいはキューカーの『二重生活』などといった作品の系譜と微妙に重なる部分のある作品だ。今見るといささか古めかしく思える映画であるけれど、こうしたテーマに興味がある人にはなかなか興味深い作品ではあるだろう。
ちなみに、ヒロインを演じているゾー・タマリス(ルンド)は、アベル・フェラーラのパートナーとして彼の数作品に出演しているだけでなく、『バッド・ルテナント』の脚本を書いてもいる女性。