明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ラリー・コーエン『スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』

ラリー・コーエンスペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』
(Special Effects, 84) ★½

スペシャル・エフェクト」というタイトルでサスペンスとなると、『F/X 引き裂かれたトリック』のような作品をちょっと想像してしまうが、ぜんぜん違う。原題も邦題もいささかミスリーディング。

女優の卵が経験する悪夢が描かれるという意味では、『マルホランド・ドライブ』や『ネオン・デーモン』などに近い題材を扱っているといえるが、むしろ、『血を吸うカメラ』や『女の香り』(アルドリッチ)、あるいはキューカーの『二重生活』などといった作品の系譜と微妙に重なる部分のある作品だ。今見るといささか古めかしく思える映画であるけれど、こうしたテーマに興味がある人にはなかなか興味深い作品ではあるだろう。

ちなみに、ヒロインを演じているゾー・タマリス(ルンド)は、アベルフェラーラのパートナーとして彼の数作品に出演しているだけでなく、『バッド・ルテナント』の脚本を書いてもいる女性。