明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。































このサイトはPC用に最適化されています。スマホでご覧の場合は、記事の末尾から下にメニューが表示されます。

---
神戸映画資料館でわたしが行っている「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見」の詳細が決まりました。

「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見
第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」
2019年12月22日(日)
詳細はここで。
---

評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』 (Il cavaliere misterioso, 1948) ★★★

18世紀のイタリアを舞台にジャコモ・カサノヴァが活躍する冒険活劇。『Don Cesare di Bazan』(42)、『Aquila nera』(46) につづいてリカルド・フレーダが撮ったコスチューム・プレイの傑作だ。蓮實重彦も某ベストテンのなかにこの作品を忍び込ませている。

カサノヴァを演じるのはデビュー間もないヴィットリオ・ガスマン。この映画が7本目の出演作だが、それまではほとんどが脇役だったので、これは初主演と言っていい作品だったのだろう。この映画のガスマンは珍しくクールで男前な美男子を演じており、こういう本格的なコスチューム・プレイで眼にするのも初めてだったので、まるで別人に見えるくらい新鮮に思えた。

「神秘の騎士」というタイトルが付いているが、ファンタジー要素はこの映画には皆無と言っていい。「謎の騎士」くらいにしておいたほうが内容には近いだろう。ロシアのエカチェリーナ(エカテリーナ)2世の影もちらつく政治的陰謀渦巻く世界で、盗まれた手紙をまさしくマクガフィンにして、ヴェネチア、ウィーン、はてはサンクトペテルブルグまで繰り広げられてゆくダイナミックな冒険活劇は、剣による一騎打ちはもちろん、様々な見え場にあふれていて、ラストの橇による雪原の追跡劇まで一気呵成に見せる一方で、女たらしのカサノヴァ(実は純情)のまわりには一癖も二癖もありそうな美女たちが次々と現れ、さながらコスチューム・プレイ版「007」といった様相も呈する。

単純にただただ面白い。リカルド・フレーダ作品は趣味でこれまでホラー系のものしか見てこなかったが、このジャンルのものももう少し抑えておいたほうが良さそうだ。