明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。





























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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』


ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』
(The Miracle of Our Lady of Fatima, 52) ★½


『劇場版 SPEC』の「結」だったか「天」だったか、いろいろあってよくわからないので忘れたが、とにかくシリーズの一つのなかでも言及されている、有名なファティマの奇跡を映画化した作品。カトリック信仰を素朴に扱ったこういう作品はどうも苦手で、これもその意味では、わたしのような無信仰な人間にはなかなか見るのが辛い作品ではあったが、興味深いところもある。この映画が、基本的に、ファティマの奇跡の(伝えられるかぎりにおける)事実に基づいて作られているということがまずその一つだ。このウィキペディアの記述を読むと、映画の中で3人の子どもたちが聖母と交わす会話なども、かなり忠実に再現されていることがわかる(しかし、地獄についての予言や、あの有名な第3の予言については、まったく触れていなかったはずである)。

映画は、1910年10月5日の革命によって、ポルトガルの立憲王政が打倒され、バルコニーからホセ・レルヴァス(?)が群衆に向かって共和国の樹立を宣言する瞬間から始まる。このような始まり方に一瞬戸惑うが、すぐさまナレーションの声が、シニカルな、覚めた口調で、これと似たようなことがヨーロッパで何度も起きた。こういう宣言はもう聞き飽きたとコメントする。次いで、ナレーションは、この新政権によって教会とカトリック信仰の弾圧が始まったことを告げる。宣言のなかでも、ナレーションのなかでも「社会主義」という言葉が何度か使われ、この言葉に宗教弾圧のイメージが重ねられてゆく。このあたりまで見ただけで、この映画の流れはだいたい予想がつく。実際、映画は予想通りに、ファティマの奇跡を「史実に忠実に」描く一方で、政府による宗教の弾圧を前面に押し出しながら、物語を語り始める。ここには反共プロパガンダの匂いさえすると言っていい。そう考えると、聖母の予言のなかのロシアに関わる部分(これは、実際にそういう予言があったという記録が残っている)がこの映画のなかではやたらに強調されているような気がしないでもない。

最後の聖母出現シーンで、雨傘をさした群衆によって丘が一面埋め尽くされる場面は、マグリットの絵を思わせるようなシュールさがあって、ちょっと面白かった。

信仰の厚い人向け。


そういえば、ポーリン・ケイルは、スピルバーグの『未知との遭遇』について書いた批評の最後で、この映画を引用していた。みんなが空を見上げる映画。