明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

映画眼幻想



ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』


マン・レイ『エマク・バキア』


ルイス・ブニュエル『アンダルシアの犬』


フェルナン・レジェ『バレエ・メカニック』


ジャン・コクトー『詩人の血』


ケネス・アンガー『我が悪魔の兄弟の呪文』


ポール・シャリッツ『T,O,U,C,H,I,N,G』


ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー:ドイツ映画』



私はーキノグラース(映画眼)だ。
私はー機械の眼だ。
私、機械は、私ひとりだけが見ることのできる世界を諸君に示す。
私は、今日から永久に、人間の不動性から自分を解放する、私は連続的な運動のなかにいる。私は近づき、物から遠ざかる、私は物の下にはいり込む。私は走っている馬と鼻面を並べて進む、私は全速力で群衆の中へ突っ込む、私は走っている兵士たちの前を走る、私はあおむけにひっくりかえる。私は飛行機とともに上昇する、私は落ちたり飛び上がったりする物体とともに落ちたり飛び上がったりする。
さて、私、カメラは合成力に従って突進した、物の混沌の間を縫って行った、最も複雑にからみあった運動を次々と定着した。
1秒間に16〜17コマという約束から解放されて、時間的・空間的枠から解放されて、私は、私がこれまでに定着したことのないような宇宙の任意の諸点を比較する。
私の道はー世界のいきいきとした知覚の創造に向かっている。見たまえ、私は諸君の知らない世界を新しく解読しているのだ。

ジガ・ヴェルトフ(月刊イメージフォーラム1982年7月号より)