明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

フランス映画を再発掘する

ジュリアン・デュヴィヴィエ『モンパルナスの夜』――ジャン・ルノワールの余白に

神戸映画資料館の連続講座「ジャン・ルノワール『素晴らしき放浪者』編」があと一ヶ月もないところまで近づいてきたので、しばらくはフランス映画の話題が増えると思う。 ジュリアン・デュヴィヴィエ『モンパルナスの夜』(La tête d'un homme, 32) ★★½ジョル…

アンリ・ドコワン『家の中の見知らぬもの』――ナチの資本で撮られた仏製ミステリー映画の問題作

アンリ・ドコワン『家の中の見知らぬもの』★★ 『十字路の夜』、『パニック』、そしてこのドコワンの『家の中の見知らぬもの』と『La vérité sur Bébé Donge』……。そのうち、「ジョルジュ・シムノンとフランス映画」という本が書かれねばならないだろう。この…

ジュリアン・デュヴィヴィエ『殺意の瞬間』ーーデュヴィヴィエとトリュフォーの密かな関係

「もしも私が建築家で、映画のモニュメントを建てることになったなら、入り口にはデュヴィヴィエの銅像を置くだろう」ジャン・ルノワール ジュリアン・デュヴィヴィエ『殺意の瞬間』(Voici le temps des assassins*1, 1956) ★★ 第二次大戦を機にアメリカに渡っ…

クリスチャン=ジャック『聖アジール学園消失事件』――戦争の不安を背景にしたミステリアスな子供映画の傑作

「フランス映画の墓堀人」と呼ばれた批評家時代のフランソワ・トリュフォーが「フランス映画のある種の傾向」と題された記事のなかでドラノワやオータン=ララといった巨匠たちを痛烈に批判し、結果的に、彼らを半ば葬り去ってしまったことはよく知られてい…