2017-01-01から1年間の記事一覧
ナサニエル・ウエスト『いなごの日』 フィッツジェラルドやフォークナーなどと同様、ハリウッドで映画の脚本を書いていたこともある*1小説家、ナサニエル・ウエストがその頃の体験をもとに書き上げた代表作『いなごの日』。意外と読んでいなかったので、時間…
チェン・チャンホー『キング・ボクサー/大逆転』(King Boxer/Five fingers of Death, 1972) ★★½ タイトルだけ見るとボクシングの映画のように思えるが、ボクシングとはまったく関係ない。カンフー映画である。カンフー映画とふつう呼ばれているアクション映…
アントニオ・ピエトランジェリ『私は彼女をよく知っていた』(Io la conoscevo bene, 65) ★★½ 「50年代と60年代のイタリアのコメディ映画において、女は、母親か、妹か、娼婦として登場するのがふつうで、彼女たちは、さまざまな問題や不幸を抱えていたり、抑…
急に暇になったので、これからはブログをまめに更新していこうと思う。 チャン・チェ『少林拳対五遁忍術』★½ チャン・チェのショー・ブラザーズ時代後期の作品。カンフー映画ファンの間では評価が高いようなのだが、わたしはあまりノレなかった。ジミー・ウ…
フィルムアート社から今月末に発売される予定になっている『映画を撮った35の言葉たち』という本に参加させていただきました。完成した本はまだ見ていないのですが、映画監督たちが残した言葉から映画史を振り返ってゆく、ちょっとユニークな映画監督ガイド…
ジョン・フォード『赤毛布恋の渦巻き』(Riley the Cop, 1928) フォードはトーキー映画を初めて撮ったあともサイレント映画を何本か作り続けた。これは現存するフォード最後のサイレント映画である(このあとに撮られたフォードのサイレント映画は失われてし…
アンドレ・バザンがクリス・マルケルの初期ドキュメンタリー作品『シベリアからの手紙』(58) について書いた文章。フランス語の原文が手に入らなかったので、英語からの重訳である。 (今日は、とりあえず急いで訳しただけなので、細かいチェックは明日にな…
ガード・オズワルド『Crime of Passion』(57) ★★ リュック・ムレお気に入りの監督ガード・オズワルドによるフィルム・ノワール。新聞記者としてのキャリアをあっさり捨てて刑事と結婚した女は、郊外で主婦として暮らす日常に早くも死ぬほど退屈しはじめる。…
ハワード・ホークス『光に叛く者』 [DVD] よく分からない邦題がついてるが、原題は「The Criminal Code」。ウォルター・ヒューストンとボリス・カーロフが共演した監獄物。 ラオール・ウォルシュ『遠い喇叭』 [DVD] 同じウォルシュの『遠い太鼓』とタイトル…
2017年12月16日(土)・17日(日)に 神戸映画資料館にてクリス・マルケル『レベル5』の上映が行われます。その際、16日土曜日の回に、「戦争・記憶・映像ーークリス・マルケルの『レベル5』をめぐって」と題して講演を行います。http://kobe-eiga.net/pro…
アルド・ラド『ガラス人形たちの短い夜』(La corta notte delle bambole di vetro, 71) ★★½ そんなにたくさん見ているわけではないが、これはジャッロ映画のなかでもかなりの変わり種の一つではないだろうか。なにせ主人公は最初から最後までずっと死んだま…
むかしここで紹介したソロルド・ディキンソンの傑作『スペードの女王』の日本版 DVD が出るようだ。ジュネス企画なので画質も特典も期待はできないが、日本語字幕がついてないと見たくないという人には朗報だろう。
ルチオ・フルチ『幻想殺人』(Una lucertola con la pelle di donna, 71) ★★½ さすがは〈巨匠〉ルチオ・フルチというべき見ごたえのある作品である。これもロンドンを舞台にしたミステリー。後年、元祖スプラッター映画の監督として名を馳せてゆくことになる…
ジャッロ映画と呼ばれるイタリアのサスペンス&ホラーのジャンルについては、ダリオ・アルジェントやマリオ・バーヴァといった何人かのお気に入りの監督作品を除くと、あまり熱心に見てこなかった。信頼できる道案内人がいなかったというのが、その最たる理…
バッド・ベティカー『ライド・ロンサム RIDE LONESOME』 [DVD] 、『ブキャナン・ライズ・アローン BUCHANAN RIDES ALONE』 [DVD]、『ディシジョン・アット・サンダウン DECISION AT SUNDOWN』 [DVD] 海外では大昔に DVD になっていたものなので、今頃かよと…
2017年9月24日(日)神戸映画資料館 「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第3回 1930年代のジャン・ルノワール」 参考上映『素晴らしき放浪者』 kobe-eiga.net/program/2017/09/3268/ いよいよ日にちが近づいてきた。全然ブログを書いている余裕がない。と…
神戸映画資料館の連続講座「ジャン・ルノワール『素晴らしき放浪者』編」があと一ヶ月もないところまで近づいてきたので、しばらくはフランス映画の話題が増えると思う。 ジュリアン・デュヴィヴィエ『モンパルナスの夜』(La tête d'un homme, 32) ★★½ジョル…
いろいろ見ているのだけれど、全然書いている余裕がない。そろそろまともな記事を一つくらい書かなくては。しかし、まだまだ先だと思っていた神戸映画資料館の連続講座の第3回もあっという間にあと一月というところまで迫ってきた。そろそろやばい。というわ…
フェリペ・カザルス『Canoa: A Shameful Memory』(76) ★★★ こんな映画が存在することさえ、つい最近まで知らなかった。それなりに映画を見てきたつもりだが、この世にはわたしが見たことも聞いたこともない映画がまだまだ残っているらしい。当たり前といえば…
パトリシオ・グスマン『チリの闘い』 [DVD] フランク・キャプラ『奇蹟の処女』 [DVD] ダニエル・マン『ウイラード』 [DVD] 、『ウイラード』 [Blu-ray] 「ホフマンスタールは、ネズミの一群の苦悶を見て書けなくなった。彼の内でその動物の魂が歯をむき出し…
ジョン・M・スタール『裏町』(Back Street, 32) ★★★ メロドラマとは不思議なものだ。 メロドラマとは一体何なのか。考え始めるとわからなくなる。しかしそれは西部劇であっても、フィルム・ノワールであってもホラーであっても同じだ。どんなジャンルでも突…
リチャード・C・サラフィアン『荒野に生きる』(Man in the Wilderness, 71) ★★ いささか冗長な気もするが、なかなかユニークな西部劇として記憶に残る作品。もっとも、アメリカン・ニューシネマの名作『バニシング・ポイント』の監督リチャード・C・サラ…
リトウィク・ガタク『Ajantrik』(58) ★★★ インドの映画監督リトウィク・ガタク(読み方いろいろ)がデビュー作『Nagarik』に続いて撮った長編劇映画第2作(共同監督作品も数えると違ってくるが)。これまでガタクの映画は6,7本見ているが、出来不出来は別に…
ラリー・コーエン『スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』 (Special Effects, 84) ★½「スペシャル・エフェクト」というタイトルでサスペンスとなると、『F/X 引き裂かれたトリック』のような作品をちょっと想像してしまうが、ぜんぜん違う。原題も邦題…
ゴードン・ダグラス『駅馬車』(Stagecoach, 66)★フォードの『駅馬車』をゴードン・ダグラスがリメイクした作品。フォード版の冒頭シーンでは、通信士の漏らす「アパッチ」のたった一言によって、物語を理解するのに必要な状況が簡潔に提示されていたわけだが…
シャーリー・クラーク『Magic Box: Films of Shirley Clarke Vol 4』 [Blu-ray]、『CONNECTION』、『Portrait of Jason』 [Blu-ray] [Import] エリオット・ニュージェント『暗黒街の巨頭』 [DVD]『華麗なるギャツビー』の最初の映画化。 ポール・ウェンドコ…
神戸映画資料館「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第2回『駅馬車』」補足"a fate worse than death" についての覚書――西部劇における先住民の表現についての一考察 先日の神戸映画資料館での『駅馬車』についての講座を終えたあとで、あのクライマック…
6月24日に神戸映画資料館で行う予定の「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第2回 ジョン・フォードと西部劇の神話──『駅馬車』をめぐって」(タイトルはいつものように適当につけたもので、実際の内容はちょっと違うものになると思います)が、あと一週間と…
アラン・ドワン『フロンティア・マーシャル』(Frontier Marshal, 39) ★★ 保安官ワイアット・アープのトゥームストーンでの活躍を描いた西部劇。『荒野の決闘』と同じスチュアート・N・レイクの小説を原作としているため、登場人物やエピソードはフォード作…
ウェズリー・ラッグルス『シマロン』(Cimarron, 31) ★½ 1889年のオクラホマの土地獲得競争(オクラホマ・グレート・ラン)から大恐慌の時代に至るまでの40年近い時の流れを年代記的に描いたこのスペクタクル大作を、単純に西部劇に分類していいものかどう…