明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画史のミッシング・リンクを探る(2)〜アンドレ・ド・トス覚書〜

フランスでまた若者の暴動が起きている模様。 最近、アンドレ・ド・トスの『無法の拳銃』を見て感動したのだが、それで調べているうちに、ド・トスがヘンリー・キングの『拳銃王』の原作を書いていたことを知った。『拳銃王』はわたしが大好きなウエスタンの…

ゴダール=ミエヴィルの未公開短編DVD

DVD

ジャン=リュック・ゴダール、アンヌ=マリー・ミエヴィルによって「映画史」の前後に撮られた4つの短編を収めたDVDがフランスで発売になります。 De l'origine du XXIème siècle (2000) The old place (1999) Liberté et patrie (2002) Je vous salue Saraj…

映画館という場所

TV で見た、どうでもいい映画のことなどをメモする。最近、物忘れが激しく、一度見た映画を何度も見てしまうので、困ってしまうのだ。ただでさえ時間がないのに、勘弁してほしい(ま、自分のせいなんだけどね)。映画館で見る映画の場合、見た内容は忘れてし…

Voyage (s) en utopie: Jean-Luc Godard 1946-2006

今年のカンヌのパルム・ドールはケン・ローチ作品に決まったとのこと。 話変わって、パリのポンピドゥ・センターで、今、ゴダール自身による展覧会が行われている。展覧会といったが、その内容はどの記事を読んでもよくわからない。会場入り口には、「見せる…

大江健三郎『取り替え子』メモ

大江健三郎の『取り替え子 チェンジリング』を今ごろになって読み始める。150ページほど読み進めたが、タイトルの意味はいまだわからず。第三章「テロルと通風」にいたってようやく物語の核心に近づく気配。義兄である伊丹十三の自殺をモチーフに書かれたモ…

映画新刊本案内〜ジョン・ヒューストン自伝『王になろうとした男』〜

『王になろうとした男』(ジョン・ヒューストン) 『マルタの鷹』『白鯨』『アフリカの女王』など、不朽の名作の製作秘話に加え、赤狩りに抵抗した不屈の反逆精神、ヘミングウェイ、サルトルなど芸術家たちとの友情、五度も結婚した波瀾に満ちた生涯を率直に…

新作DVD:『映画は恐ろしい アントニオ・マルゲリーティ篇 DVD-BOX』ほか

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■『魔女』 ベンヤミン・クリステンセン 監督による奇妙きてれつな魔女の歴史。ドキュメンタリーとホラーを融合した幻の傑作です。 ■『映画は恐ろしい アントニオ・マルゲリーティ篇 DVD-BOX』 黒沢清が選ぶ『ホラー映画ベスト・オブ・ベスト DVD-BOX』(『生…

映画新刊本案内〜『映画旅日記パリー東京』〜

『映画旅日記パリー東京』(梅本洋一) 映画狂は東京のスクリーンを離れ、パリへと飛び出した。まだ無名だった黒沢清・青山真治を連れ出し、欧米の観客を驚天動地に突き落とすべく、体を張っていくつもの上映会を仕掛けた。映画への愛と怒りとが迸るドキュメ…

雪の西部劇〜アンドレ・ド・トス『無法の拳銃』〜

アンドレ・ド・トス『無法の拳銃』Day of the Outlaw ★★★☆これは、最近テレビで見た映画のなかでいちばん感銘を受けたものですね。アンドレ・ド・トス作品では、ホームページ「西部劇ベスト50」で紹介した『スプリングフィールド銃』もよかったが、これのほ…

ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』

NHK BS の「おはよう世界」の France 2 を毎朝DVDレコーダーで録画して見るのを習慣にしているのだが、それだけでは物足りないので、最近は、いわゆるインターネット・ラジオを通じてフランスのラジオ番組を聞いている。よく聞くのは、 http://www.radiofran…

デュラスが愛した幻の傑作〜バーバラ・ローデン『ワンダ』についての覚書〜

ミッシング・リンクを探る(1)>> バーバラ・ローデン 女優で、エリア・カザンの妻。1970年、唯一の監督作『ワンダ』Wanda を撮りあげた直後に病死。 『ワンダ』は一言でいうなら、女性映画ということになるだろう。この映画が撮られたのは、アメリカにウー…

ザ・ホワイト・ストライプス『エレファント』

最近のお気に入り。ともにデトロイト出身のジャック・ホワイトとメグ・ホワイトの2人による姉弟ユニット。ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』にも出演しているらしいが、映画を見たあとで、それとは無関係に発見したので、どこに出ていたかは覚えて…

6月の新作DVD〜小沼勝『色情旅行 香港慕情』ほか

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■アンソニー・マンの西部劇の傑作『ウィンチェスター銃'73』、『怒りの河』 ■ジャン・ルノワールのアメリカ時代『南部の人』 ■マーチン・スコセッシ『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』 ■『世界名作映画全集100群衆』 キャプラではなくキング・…

フアン・パブロ・レベージャとパブロ・ストール『ウィスキー』ほか。

▽イェシム・ウスタオウル『雲が出るまで』★★1975年のトルコにおける単一民族主義的政策。勉強にはなるが、そんなにおもしろい映画ではない。物語の背景にある第一次大戦後のトルコからのギリシア人の引き上げは、アンゲロプロスの『シテール島への船出』に語…

アピチャポン・ウィーラセタクン『ワールドリー・デザイアーズ』

先日、京都の日独文化センターで行われているイメージフォーラム・フェスティバルに行ってきた。本当は大阪シネ・ヌーヴォで上映される『Celebrate CINEMA 101』を見に行く予定だったのだが、イメージフォーラム・フェスティバルでアピチャポン・ウィーラセ…

吸血鬼は虫歯の夢を見るか?

最近、歯医者に通い始めた。最後に歯医者に行ったのなんて十年以上前だ。そのあいだにすっかり様変わりしてしまったのだろうか。むかし持っていたイメージとはずいぶん違っていたので驚いた。むかしのハリウッド映画、ラオール・ウォルシュの『いちごブロンド…

安藤尋『今、海はあなたの左手にある』

人の気配がなく、動くもののない、写真のような風景と風景のような写真が、絶えずパン移動するキャメラの運動とともに、だまし絵的にモンタージュされてゆく。マルグリット・デュラスの『大西洋の男』のテキストがバラバラに解体されたかたちで朗読される。…

ジャン=ピエール・ゴラン『ポトとカベンゴ』

大阪シネ・ヌーヴォで開催されている Edge in Osaka に、ジャン=ピエール・ゴランの『ポトとカベンゴ』を見に行く。ジガ・ヴェルトフ集団時代のゴダールとの共闘で知られるゴランが、ゴダールと別れてひとりアメリカに渡り、そこで撮ったドキュメンタリー映…

『ミシェル・フーコー思考集成』

『ミシェル・フーコー思考集成』が高すぎると思っていたあなたに朗報です。あれのダイジェスト版『フーコー・コレクション』がちくま文庫から刊行され始めました。第一巻は「狂気・理性」。今月の目玉商品です。

はてなから引っ越してきました。

つい最近まではてなで「映画の誘惑出張ブログ」というブログを書いていましたが、今回、タイトルを「明るい部屋」に変え、id も address も一新しました。その事情は、前のブログに書いたので知っている人はご存じでしょうし、知らない人にはあまり興味もな…

ジム・ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』

「共謀罪」、不気味です。 「ジョジョの奇妙な冒険」、読み始めました。 ▽ジム・ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』最近、ロードショーが充実している。『ブロークバック・マウンテン』も、『アメリカ、家族がいる風景』も、『ヒストリー・オブ・バイ…

井上雄彦「バガボンド」

最近はマンガばっかり読んでいる。こんなにマンガを読むのは学生時代以来だ。あのころは、コンビニで週刊マンガの連載を立ち読みするなど日常茶飯事だったが、90年代に入ってからばったり読まなくなってしまった。たしか、フランスに留学したのがきっかけだ…

クローネンバーグ『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

テレンス・マリックほどではないが、最近妙に寡作になっているクローネンバーグの、前評判の高かった新作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を見に行く。最近は、封切り作品は上映終了ぎりぎりになって見に行くことが多い。封切られた週に映画を見に行くの…

ヴィム・ヴェンダース『アメリカ,家族のいる風景』

大阪上映時に見逃していたので、京都シネマに見に行く。『ランド・オブ・プレンティ』は前評判が高かったのでちょっと期待しすぎていたせいか、あまり乗れなかったけれど、これは悪くない。巨大な二つの目のような模様が、画面が明るくなって、巨大な岩場の…

丹生谷貴志『天皇と倒錯』

丹生谷貴志の『天皇と倒錯』がいつの間にか品切れ状態になっていて、どこの本屋にもおいていないので焦ったが、幸いジュンク堂のオンライン・ショップに新刊の在庫が残っていた(汗)。オンライン・ショップでは、注文後に、「やっぱり在庫ありませんでした…