明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2011-01-01から1年間の記事一覧

ヴィムズ・ムーヴィー

冒頭のところだけ訳すつもりだったのに、とうとう全部訳してしまった。ダネーの文章はなかなか一筋縄ではいかない。『La rampe』におさめられた難解な文章のなかでは、これなど読みやすいほうではあるが、それでもところどころわかりづらい部分がある。とり…

新作DVD〜『六つの心』ほか

DVD

調べたら他にもいろいろあったので、いくつか追加しておく。 エドワード・L・カーン『暗闇の悪魔 大頭人の襲来』 牛 vs 宇宙人の戦いが伝説になっているカルトSF映画。しかしその場面は DVD ではカットされているらしい。エドワード・L・カーンは、ジョン…

新作DVD〜『クリスマス・ストーリー』『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』ほか

DVD

気づいたものだけ。 『クロード・シャブロル コレクション 悪の華』 アルノー・デプレシャン『クリスマス・ストーリー』 ジョルジュ・フランジュ『顔のない眼 Blu-ray 』 『ゴダール・ブルーレイ コレクション ゴダール・ソシアリスム [Blu-ray] 』 ソフィア…

丹生谷貴志『〈真理〉への勇気──現代作家たちの闘いの轟き』

気がついたら、一月ほどブログを更新していなかった。そろそろまじめにやらなければ、誰も見に来なくなる。 言い訳ではないですが、その間、神戸映画資料館のサイト向けにこんなものを書いてました。成り行きで、柄にもなく書いた書評です。

ラッセル・ラウズ『The Thief』

ラッセル・ラウズ『The Thief』(52) ラッセル・ラウズには、『必殺の一弾』のような忘れがたい作品もあるにはあるが、どちらかというと小物と言っていい監督だと思う。しかし、ときおり妙に野心的なことを試みたりするので、無視できない。その中でもとりわ…

新作DVD〜巨匠たちのハリウッド 生誕百周年 漂泊の反逆児 ニコラス・レイ傑作選 DVD-BOX 』『ジャック・ロジェ DVD-BOX』ほか

DVD

ウィリアム・ワイラー『黒蘭の女』ジョージ・キューカー『ロミオとジュリエット』中年のレスリー・ハワードとノーマ・シアラーがロミオとジュリエットを演じたキューカー作品。DVD で見てるんだけど、あんまり記憶に残ってない。 ミッチェル・ライゼン『黄金…

アルフレッド・E・グリーン『紅唇罪あり』

アルフレッド・E・グリーン『紅唇罪あり』(Baby Face, 33) 窓から工場の煙突しか見えないような場末の酒場で働いていた女(バーバラ・スタンウィック)が、セックスを武器にしてのし上がってゆく。そのきっかけを与えるのが、知人のインテリから読むことを…

リチャード・ウィルソン『Man with the Gun』

リチャード・ウィルソン『Man with the Gun』(1955) (この映画は日本でも公開されていて、「街中の拳銃に狙われる男」という邦題がついているみたいなのだが、いくらなんでもセンスがなさ過ぎる。というわけで、あえて原題を使って書くことにする。)『Ma…

新作DVD〜『アレクセイ・ゲルマン DVD-BOX』『原発切抜帖』ほか

DVD

久しぶりに日本版の新作 DVD を紹介しておく。しばらく調べていないうちにけっこういろいろ出ている。 『アレクセイ・ゲルマン DVD-BOX』 『道中の点検』『戦争のない20日間』『わが友イワン・ラプシン』そして『フルスタリョフ、車を!』の4タイトルが収録…

詩人の声で語る人類学者〜ヴィットリオ・デ・セータについての覚書

ヴィットリオ・デ・セータ Vittorio De Seta 1923年、シチリア、パレルモの貴族の一家に生まれる。最初、ローマで建築を学んでいたが、ジャン=ポール・ル・シャノワがイタリアで映画のロケをした際*1にたまたま助監督の仕事をしたことをきっかけに、映画の…

新作DVD〜ホセ・ルイス・ゲリン『Guest』、オーソン・ウェルズ『Une histoire immortelle』ほか

DVD

Amazon.fr しばらくチェックしていないあいだに気になる DVD がたくさん出ていた。 ホセ・ルイス・ゲリン『Guest』 『シルビアのいる街で』のホセ・ルイス・ゲリンの現時点での最新作。 シャルナス・バルタス『Indigène d'Eurasie (Les derniers jours d'un …

新作DVD〜『吸血鬼 ボローニャ復元版』『伝説の映画監督 ハワード・ホークス傑作選 DVD-BOX2』ほか

DVD

アレクサンダー・コルダ『レンブラント 描かれた人生』、『ヘンリー八世の私生活』 コルダの歴史物ってけっこういいんですよ。ディテールの描き込み方が丹念で、イギリス風のブラック・ユーモアも決まるときは決まるし(絞首刑で始まって絞首刑で終わる『ヘ…

ストローブ=ユイレの21世紀

神戸映画資料館に特集「ストローブ=ユイレの21世紀」を見に行ってきた。本当は黙って見るだけにしておきたかったのだが、昔からの知り合いである支配人の田中範子さんから、明日までになにか紹介文を書けと脅されたので、仕方なく急遽以下の文章をしたた…

新作DVD〜『伝説の映画監督 ハワード・ホークス傑作選 DVD-BOX1』『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』<ほか

DVD

『伝説の映画監督 ハワード・ホークス傑作選 DVD-BOX1』 (『特急二十世紀』、 『今日限りの命』、『エア・フォース』を収録) 『不滅の映画監督 ジョン・フォード傑作選 DVD-BOX3』 『四人の息子』、『三悪人』 フリードリッヒ・F・ムルナウ『吸血鬼ノスフ…

マーク・ロブスン『The Seventh Victim』

マーク・ロブスン『七番目の犠牲者』(The Seventh Victim, 43)★★★ 「世紀末オカルト学院」というアニメを見ていたら、シャワールームの半透明のビニールの向こうにふわっと人影が現れて消えるという場面があった。『サイコ』(60)のシャワールームの場面…

新作DVD〜『カール・Th・ドライヤー コレクション 短編集』『メロドラマの巨匠 ダグラス・サーク傑作選 DVD-BOX』ほか

DVD

アルバート・リューイン『ドリアン・グレイの肖像』 アルバート・リューインについては何度か書いてきているが、日本での評価はいっこうに高まる様子がない。傑作『パンドラ』も、Allcinema にはだれもコメントを書き込んでいないし、この作品にいたっては、…

フィリピンの光と影〜ブリランテ・メンドーサの映画についての覚書

ブリランテ・メンドーサはフィリピンの映画監督で、2005年以来現在にいたるまで9本の映画を撮っている。8作目の『Kinatay』が第62回カンヌ映画祭で監督賞を受賞し、最新作『Lola』も第6回ドバイ国際映画祭で作品賞を受賞するなど、ますます国際的に…

新作DVD〜サミュエル・フラー『地獄と高潮』、エイブラハム・ポロンスキー『悪の力』ほか

DVD

サミュエル・フラー『地獄と高潮』 フラーによる潜水艦映画の傑作。ちなみに、タイトルは英語の熟語から。 ジョン・ヒューストン『天地創造』 [Blu-ray] 『不滅の映画監督 ジョン・フォード傑作選 DVD-BOX2』内容は、『周遊する蒸気船』、『プリースト判事』…

ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ、ジョン・フォードを語る

境界線 ──ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ、ジョン・フォードを語る ──『歴史の授業』を上映後の議論を思い出します。その中で、この作品とホークスの『三つ数えろ』が比較されました。どちらの作品においても、調査をする人物が、もつれた糸…

ツイッターに発表された青山真治による2010年のベストテン

ツイッターに発表された青山真治による2010年のベストテン 1、ナイト&デイ 2、ゴダール・ソシアリスム 3、シャッター・アイランド 4、ブロンド娘は過激に美しく 5、インビクタス 6、第9地区 7、スプリング・フィーバー 8、クリスマス・ストー…

「フィルム・コメント」誌に掲載された蓮實重彦のベスト10

「フィルム・コメント」誌に掲載された蓮實重彦のベスト101.刑事ベラミー 2.第9地区 3.ゴダール・ソシアリスム 4.冷たい雨に撃て〜 5.ゲスト 6.ナイト・アンド・デイ 7.アウトレイジ 8.テトロ 9.ブンミおじさん 10.アンストッパブル +何も変えてはならない …

新作DVD〜『シルビアのいる街で』『パリ20区、僕たちのクラス』ほか

DVD

マシュー・ヴォーン 『キック・アス』 ヒットガール、最高! 『不滅の映画監督 ジョン・フォード傑作選 DVD-BOX1』、『不滅の映画監督 ジョン・フォード傑作選 真珠湾攻撃』、『不滅の映画監督 ジョン・フォード傑作選 ミッドウェイ海戦/ドキュメント真珠湾…

2011年01月10日のツイート

@masaakiinoue: フランスの去年の映画興行は40年ぶりぐらいの好記録だったそうだけど、中国は 09 年にくらべて 63,9% のアップだったとか。もっとも、その大半は『アバター』と『インセプション』のおかげらしいけど。URL2011-01-10 23:43:09 via web @mas…

2011年01月04日のツイート

@masaakiinoue: ロン・チェイニーでいうと、ジェームス・キャグニーがチェイニーの生涯を演じた『千の顔を持つ男』なんてのもあったな。手堅い伝記映画として記憶に残っている。2011-01-04 23:22:40 via web @masaakiinoue: ノーマ・シアラーもきれいでした…

2011年01月03日のツイート

@masaakiinoue: まもなく始まるベルリン映画祭パノラマ部門の上映作が決まった模様。ちゃんと読んでないが、とりあえずリンクを張っておく。URL2011-01-03 23:49:46 via web @masaakiinoue: 『去年マリエンバードで』よりは確実に小津のほうに近い、とは言え…

2011年01月01日のツイート

@masaakiinoue: 元日からブリランテ・メンドーサの『KINATAY』という血なまぐさい映画を見てしまった。図らずも殺しの手伝いをする羽目になってしまった青年の悪夢のような一夜を生々しく描いた作品。石井隆を湿っぽくなくしたような作風といえば近いか。タ…