明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2015-01-01から1年間の記事一覧

G・W・パブスト『懐かしの巴里』『炭坑』

『懐かしの巴里』(Die Liebe der Jeanne Ney, 27) ★★★ なにやらノスタルジックな邦題が付けられてしまっているが、実際の内容は、タイトルからイメージするものとはだいぶ違う。パブストとしてはあまり有名な作品ではないけれど、時にどぎつくいやらしい人間…

清水宏『都会の横顔』

清水宏『都会の横顔』(53) ★½ 清水宏のフィルモグラフィーにおいてはかなり晩年に作られた作品である。全盛期と比べると落ちるといわれたりもする50年代の作品だが、『都会の横顔』にはいかにも清水宏らしい部分が多々あって、なかなかに興味深い。 路面電車…

新作DVD――『珠玉のフランス映画名作選 DVD-BOX』『フィルム・ノワール ベスト・コレクション フランス映画篇 DVD-BOX2』ほか

DVD

ヴィンセント・ミネリ『ハリウッド・メロドラマ傑作選 二日間の出会い』 『珠玉のフランス映画名作選 DVD-BOX』マックス・オフュルス『マイエルリンクからサラエヴォへ』、ジャン・グレミヨン『白い足』、ジャック・ベッケル『七月のランデヴー』、ロベール…

新作DVD――『ハリウッド・メロドラマ傑作選 DVD-BOX Vol.1』、リチャード・フライシャー『見えない恐怖』ほか

DVD

新作DVD――ラオール・ウォルシュ『大雷雨』、ダグラス・サーク『夏の嵐』ほか

DVD

しばらくチェックしていない間に注目の作品が続々ソフト化されていた。一回では紹介しきれないので、数回に分けてアップしていく。まずはアメリカ映画から。 ラオール・ウォルシュ『フィルム・ノワール ベストコレクション フランス映画篇 大雷雨』ダグラス…

アンドレ・ド・トス『The Other Love』──白いフィルム・ノワール

アンドレ・ド・トス『The Other Love』(1947) ★★ どちらかというと西部劇や犯罪映画、アクションものなどを得意とするアンドレ・ド・トスが撮ったメロドラマ。病名は明らかにされていないが結核としか思えない病に冒された世界的なピアニスト(バーバラ・ス…

チャールズ・ヴィダー『Blind Alley』――映画と精神分析――

気がつけば、びっくりするほど長い間更新していなかった。リハビリがてらに、小さなネタでもいいから今年が終わるまでにせいぜい更新していこうと思う。 チャールズ・ヴィダー『Blind Alley』(39) ★★ ハリウッドが精神分析を映画に取り入れた最初の一例。ギ…

ロバート・シオドマク『人間廃業』『クリスマスの休暇』

なんだかんだといろいろ見ているのだが、あいかわらずなかなか更新できない。なぜにこう毎日のようにどうでもいい小さな問題が持ち上がるのか。 『人間廃業』(Der Mann, der seinen Mörder sucht) ★★ シオドマクが初期ドイツ時代に単独監督した長編第2作。…

新作DVD〜『巨匠たちのハリウッド バッド・ベティカー傑作選 DVD-BOX2』『フィルム・ノワール ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.6』ほか

DVD

『巨匠たちのハリウッド バッド・ベティカー傑作選 DVD-BOX2』 例によって、またちょっと微妙に外してきたラインナップだが、バティカーの生涯の情熱だった闘牛にまつわる作品が2本も入っているという意味では、押さえるところは押さえてある。 『ミステリ…

トム・アンダーセン『Los Angeles Plays Itself』

トム・アンダーセン『Los Angeles Plays Itself』(2003) ★★★ きらびやかな夜景を捉えたモノクロの空撮画面に「LOS ANGELES」の文字が浮かび上がる。ナイトクラブで歌い終えたストリッパーが楽屋に戻ると、何者かが彼女に向けて発砲する。女は慌てて外に飛…

講座「〈亡命〉映画作家エドガー・G・ウルマーが辿ったまわり道」

8月23日(日)に、神戸映画資料館で「〈亡命〉映画作家エドガー・G・ウルマーが辿ったまわり道」と題した講座をやらせていただきます。あわせて、ウルマーの2作品、『モンテ・クリストの妻』『ある姉妹の秘密』の上映もあります。2本ともめったに上映…

新作DVD〜『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOX deux』『巨匠たちのハリウッド トッド・ブラウニング傑作選 DVD-BOX』『ヒットラーの狂人』ほか

DVD

『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOX deux』DVD 版も同時発売 日本未リリースだった『ブリティッシュ・サウンズ』(69)、『プラウダ(真実)』(69)、『イタリアにおける闘争』(70)、『ジェーンへの手紙』(72)の4作品を一…

キング・ヴィダー『森の彼方に』

キング・ヴィダー『Beyond the Forest』(49) ★★★ もう数十年前からずっと見たいと思っていながら、なかなか見る機会がなく、自分の中では幻の映画となっていたヴィダーの『Beyond the Forest』(『森の彼方に』)をやっと見ることができた。 キング・ヴィダ…

Pioneer ブルーレイプレーヤー アップスケーリング機能搭載 ブラック BDP-3130-K

■Pioneer ブルーレイプレーヤー アップスケーリング機能搭載 ブラック BDP-3130-K わけあってブルーレイプレーヤーを新しく購入した。パイオニアのプレーヤーは長持ちせず、数年で壊れてしまうことがこれまで何度かあったのだが、求めている機能とコストを考…

新作DVD〜『さらば、愛の言葉よ 3D』『大地の子守歌』ほか

DVD

マチュー・アマルリック『青の寝室』 『イーダ』 Blu-ray スコリモフスキも一押しのポーランドの俊英パヴェウ・パヴリコフスキによる厳しくも美しいモノクロ作品。アカデミー外国映画賞はいわばおまけに過ぎない。 DVD版も同時発売。 ジャン=リュック・ゴダ…

ロバート・モンゴメリー『Ride the Pink Horse』

ロバート・モンゴメリー『桃色の馬に乗れ』(Ride the Pink Horse, 47) ★★½ 『湖中の女』で監督デビューした俳優ロバート・モンゴメリーが、同じ年に続けて撮ったフィルム・ノワールの傑作。日本では残念ながら未公開であるが、フィルム・ノワールのファンの…

新作 DVD〜『ジェラシー』『バット・ベティカー傑作選 DVD-BOX』『西部戦線一九一八年』ほか

DVD

ジェームズ・グレイ『リトル・オデッサ』 [DVD] これ、いつの間にか出てたんだな。DVD は海外版で持ってるから、できればブルーレイで出してほしかったが……。 『巨匠たちのハリウッド バット・ベティカー傑作選 DVD-BOX』 『閉ざされた扉の陰』『消えた陪審…

ジャック・リヴェット「映画のエッセンス」(オットー・プレミンジャー『天使の顔』論)

最近「カイエ・デュ・シネマ」の古い記事をわりと真剣に読み込んでいる。しかし、漫然と読んでいてもあまり頭に入ってこないので、適当に訳したりしているうちに、勢いで一つの記事をぜんぶ訳してしまった。以下に掲載するのは、「カイエ・デュ・シネマ」第3…

『映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~』

稲生平太郎、高橋洋『映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~』 『アクアリウムの夜』『定本 何かが空を飛んでいる』などで知られる小説家、稲生平太郎と、『リング』の脚本家で、『恐怖』などのホラー映画を自分でも監督している高橋洋の2人による怒濤…

新作DVD〜『巨匠たちのハリウッド リチャード・フライシャー傑作選 DVD-BOX2』『ツァイ・ミンリャン初期三部作+引退作「郊遊」ブルーレイBOX 』ほか

DVD

『巨匠たちのハリウッド リチャード・フライシャー傑作選 DVD-BOX2』 犯罪映画の傑作『札束無情』と初期のコメディ映画『ニューヨーク大騒動』 を収録。 マイケル・カーティス『破局』 [DVD] マイケル・カーティスがホークスの『脱出』をリメイクした作品。 …

新作DVD〜ミハイル・ロンム『夢』、ロバート・アルドリッチ『カリフォルニア・ドールズ』ほか

DVD

ミハイル・ロンム『夢』 [DVD] これは思いもかけぬ発売だな。この調子でこの路線をどんどん出していってほしい。いうまでもないが、主演のエレーナ・クジミナはボリス・バルネット作品でおなじみのロシアの大女優。 『フィルム・ノワール ベスト・セレクショ…

『メサイア・オブ・デッド』

ウィラード・ハイク&グロリア・カッツ『メサイア・オブ・デッド』(Messiah of Evil: the Second Coming, 73) ★★★ ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の発表直後にその流れに乗って撮られたB級、あるいはC級ホラー映画の代表的…

辻原登『寂しい丘で狩りをする』

今年からはブログをもっとちゃんと更新しようと思っていたのだが、1月もすでに3分の2が過ぎてしまった。小ネタでいいから、今月の残り、毎日更新するつもりでやっていこう。 辻原登『寂しい丘で狩りをする』 一昨年ぐらいに、映画ファンのあいだで話題に…