明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。










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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

映画

ベイジル・ディアデン『兇弾』ほか

『無防備都市』(ロベルト・ロッセリーニ)★★★★ 『サスペリア』(ダリオ・アルジェント)★★★ 『愛と怒り』(ベルトルッチ、ベロッキオ、パゾリーニ、ゴダールほか)★★½ 『ルナ』(ベルナルド・ベルトルッチ)★★½ 『夜を殺した女』(Le lieu du crime, アンド…

オーソン・ウェルズ『風の向こう側』、内田吐夢『警察官』ほか

別に忙しかったわけでもないのだが、あまり書く気になれなかったのでしばらく更新できていなかった。最近見て印象に残った映画についてメモ書き程度に記しておく。 オーソン・ウェルズ『風の向こう側』★★★内田吐夢『警察官』(1933) ★★★三宅唱『きみの鳥はう…

ジョージ・キューカー『わが息子、エドワード』ほか

ジョージ・キューカー『わが息子、エドワード』(Edward, my son, 1949) ★★★デヴィッド・ロバート・ミッチェル『アンダー・ザ・シルバーレイク』(Under the Silverlake) ★★½ヴァレリー・ドンゼッリ『禁断のエチュード マルグリットとジュリアン』(Marguerite …

ゾルタン・ファーブリ『第五の封印』『メリー・ゴー・ラウンド』

ゾルタン・ファーブリ『第五の封印』(Az ötödik pecsét, 1976) ★★½ 監督のゾルタン・ファーブリ(ハンガリー風に言うならば「ファーブリ・ゾルタン」)の名前も、この映画のことも、日本ではほとんど知られていないが、ハンガリー映画史に残る傑作と言われる…

マラン・カルミッツ『ここではない場所で七日間』ほか

今週末に迫った神戸映画資料館の講座の準備で、いよいよ余裕がなくなってきた。コメントを書いている時間もないので、とりあえず最近見て印象に残ったタイトルだけを並べておく。 ベルナルド・ベルトルッチ『暗殺のオペラ』(Strategia del ragno, 1970) ★★★½…

『地の塩』『青春物語』『地の果てを行く』

ハーバード・J・バイバーマン『地の塩』(Salt of the Earth, 1953) ★★マーク・ロブソン『青春物語』(Peyton Place, 1957) ★½ジュリアン・デュヴィヴィエ『地の果てを行く』(La bandera, 1935) ★½ マーク・ロブソン『青春物語』は、アメリカではファミリー・…

ウジェーヌ・グリーン『ジョゼフの息子』、ベルトラン・ボネロ『ノクチュラマ』など

神戸映画資料館の連続講座が目前に迫ってきたので、なかなか更新している余裕が無い。とりあえず、最近見た中で印象に残った映画を列挙しておく。 バート・レイノルズ『シャーキーズ・マシーン』(1981) ★★★ベルトラン・ボネロ『ノクチュラマ』(Nocturama) ★★…

ウィリアム・ディターレ『ラブレター』

ウィリアム・ディターレ『ラブレター』(Love Letters, 1944) ★★★ 一般にはそこまで評価が高い作品ではない。星の数にはわたしの個人的な思い入れが多分に入っている。なぜだかうまく説明できないのだが、わたしはこの映画がとても好きなのだ。 「ラブレター…

イングマール・ベルイマン『愛のさすらい』

イングマール・ベルイマン『愛のさすらい』(The Touch, 1971) ★★ アントニオーニに寄せたような邦題よりも原題の「ザ・タッチ」 のほうが馴染みがある。一度も見る機会がなく長らく気になっていたベルイマン作品のひとつ。『狼の時刻』や『恥』のように今ま…

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』

リカルド・フレーダ『神秘の騎士』 (Il cavaliere misterioso, 1948) ★★★ 18世紀のイタリアを舞台にジャコモ・カサノヴァが活躍する冒険活劇。『Don Cesare di Bazan』(42)、『Aquila nera』(46) につづいてリカルド・フレーダが撮ったコスチューム・プレイ…

ナチス映画を見る――ハンス・シュタインホフ『老いた王と若き王』『クリューガーおじさん』

わたしが見ることができたハンス・シュタインホフの映画は結局3本だけだが、この監督には確かな演出力があることが確認できた。彼が映画を撮ったのがたまたま(本当にたまたまなのか?)ナチス・ドイツでなかったならば、ひょっとしたら今頃は巨匠として名…

ナチス映画を見る――ハンス・シュタインホフ『ヒトラー青年』についての覚書

ハンス・シュタインホフ『ヒトラー青年』(Hitlerjunge Quex, 1933) ★★★ ヘルベルト・ノルクスという名前を聞いてすぐに誰だか分かる人は、ドイツ史の専門家でもない限りそう多くはないだろう。1932年1月24日、ベルリンで、いわゆるヒトラーユーゲント(ナチ…

映画眼幻想

ジガ・ヴェルトフ『カメラを持った男』 マン・レイ『エマク・バキア』 ルイス・ブニュエル『アンダルシアの犬』 フェルナン・レジェ『バレエ・メカニック』 ジャン・コクトー『詩人の血』 ケネス・アンガー『我が悪魔の兄弟の呪文』 ポール・シャリッツ『T,O…

Ján Rohác, Vladimír Svitácek『千のクラリネット』

Ján Rohác, Vladimír Svitácek『千のクラリネット』(Kdyby tisíc klarinetu, 65) ★½ 何やらどんくさそうな新兵が、野外で訓練中に上官に注意され、罰として遠くに見える一本木まで突撃を命じられる(彼はいつもこういう罰を命じられてばかりいるらしい)。し…

マルコ・フェッレーリ『白人女にさわるな! 』ーーカスター将軍と映画についての覚書

マルコ・フェッレーリ『白人女にさわるな!』(Touche pas à la femme blanche ! , 1974) ★★½ ジョージ・アームストロング・カスターは、イエス・キリストやヒトラーほどではないにしろ、映画史上もっとも神話的な人物の一人と言っていいだろう。サイレント時…

ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』

ジョン・ブラーム『ファティマの聖母の奇跡』 (The Miracle of Our Lady of Fatima, 52) ★½ 『劇場版 SPEC』の「結」だったか「天」だったか、いろいろあってよくわからないので忘れたが、とにかくシリーズの一つのなかでも言及されている、有名なファテ…

イングマール・ベルイマン『牢獄』

イングマール・ベルイマン『牢獄』(Fängelse, 49) ★★½ ベルイマンが初めてオリジナル脚本を映画化したという意味では、彼の最初のパーソナルな作品。映画の撮影が行われているスタジオの光景から映画ははじまる(これは、ベルイマンが映画のなかで映画をテー…

マルコ・フェッレーリ『人間の種子』

前回に続き、マルコ・フェッレーリ作品についての覚書。 マルコ・フェッレーリ『人間の種子』(Il seme dell'uomo, 69) ★★½ 「人間の種子」。まさしくダーウィン的なタイトルだ。ただし、ここに描かれるのは「種の起源」ではなく、「種の終焉」である。時代は…

マルコ・フェッレーリ『猿女』

マルコ・フェッレーリ*1は見逃している作品がまだまだ多くて、全体像をつかみかねている。もう少し作品を見てからまた改めて書きたいと思うが、とりあえず、最近見た数作品について順に覚書を書いてゆく。 マルコ・フェッレーリ『猿女』 (La donnna scimmia,…

オルドリッチ・リプスキー『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』

オルドリッチ・リプスキー『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』(Adéla jeste nevecerela, 78) ★★ 『カルパテ城の秘密』で知られるチェコの映画監督オルドリッチ・リプスキーが撮ったコミカルな探偵活劇、というかそのパロディ。ニューヨークのビルの…

ナサニエル・ウエスト『いなごの日』――グロテスクに描かれる夢の墓場=ハリウッド

ナサニエル・ウエスト『いなごの日』フィッツジェラルドやフォークナーなどと同様、ハリウッドで映画の脚本を書いていたこともある*1小説家、ナサニエル・ウエストがその頃の体験をもとに書き上げた代表作『いなごの日』。意外と読んでいなかったので、時間…

アントニオ・ピエトランジェリ『私は彼女をよく知っていた』

アントニオ・ピエトランジェリ『私は彼女をよく知っていた』(Io la conoscevo bene, 65) ★★½ 「50年代と60年代のイタリアのコメディ映画において、女は、母親か、妹か、娼婦として登場するのがふつうで、彼女たちは、さまざまな問題や不幸を抱えていたり、抑…

ジョン・フォードの2本の警察映画ーー『赤毛布恋の渦巻き』『ジョン・フォード/ギデオン』

ジョン・フォード『赤毛布恋の渦巻き』(Riley the Cop, 1928) フォードはトーキー映画を初めて撮ったあともサイレント映画を何本か作り続けた。これは現存するフォード最後のサイレント映画である(このあとに撮られたフォードのサイレント映画は失われてし…

アンドレ・バザンによるクリス・マルケル『シベリアからの手紙』評

アンドレ・バザンがクリス・マルケルの初期ドキュメンタリー作品『シベリアからの手紙』(58) について書いた文章。フランス語の原文が手に入らなかったので、英語からの重訳である。 (今日は、とりあえず急いで訳しただけなので、細かいチェックは明日にな…

ジョン・M・スタール『裏町』――メロドラマの輝き

ジョン・M・スタール『裏町』(Back Street, 32) ★★★ メロドラマとは不思議なものだ。 メロドラマとは一体何なのか。考え始めるとわからなくなる。しかしそれは西部劇であっても、フィルム・ノワールであってもホラーであっても同じだ。どんなジャンルでも突…

ラリー・コーエン『スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』

ラリー・コーエン『スペシャル・イフェクツ/謎の映像殺人』 (Special Effects, 84) ★½「スペシャル・エフェクト」というタイトルでサスペンスとなると、『F/X 引き裂かれたトリック』のような作品をちょっと想像してしまうが、ぜんぜん違う。原題も邦題…

ジョン・フォード賛

6月24日に神戸映画資料館で行う予定の「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第2回 ジョン・フォードと西部劇の神話──『駅馬車』をめぐって」(タイトルはいつものように適当につけたもので、実際の内容はちょっと違うものになると思います)が、あと一週間と…

アルトゥール・ロビソン『戦く影』――影と鏡の戯れ

アルトゥール・ロビソン『戦く影』(Schatten - Eine nächtliche Halluzination, 23) ★★★ 「『今宵かぎりは』のダニエル・シュミットがこの映画のリメイクを撮ってくれないものかと思う。シュミットなら必ずやこの作品をより豊かなものにし、再発見させてくれ…

『市民ケーン』余話――コウルリッジの夢とディケンズの謎

オーソン・ウェルズの『市民ケーン』でケーンが自分のために建て、最後に、そのなかで孤独に死んでゆく城の名前「ザナドゥ」が、イギリスの詩人サミュエル・テイラー・コウルリッジによって書かれた叙事詩「クブラ・カーン」Kubla Khan のなかに登場する土地…

『市民ケーン』劇場その6――ガラス玉遊戯

【4月8日】 《神戸映画資料館 連続講座「20世紀傑作映画 再(発)見」第1回、「『市民ケーン』とは何だったのか」》 サム・ウッド『恋愛手帖』 "snowglobe" と呼ばれる雪の降るガラス玉は19世紀にはすでにヨーロッパで知られていた。それがアメリカに伝わっ…