明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


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神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

雑文

日々の泡〜『コロッサル・ユース』『アイアムアヒーロー』ほか

最近のお気に入り ヤング・マーブル・ジャイアンツ『コロッサル・ユース』 イギリスの伝説のロック・バンド、ヤング・マーブル・ジャイアンツが 1980 年に発表した彼らの唯一のアルバム。いま聞くと泣けます。基本、ガールズ・バンドというか、女性ヴォーカ…

小島信夫『美濃』、スコリモフスキ『早春』のことなど

『アンナと過ごした4日間』を見に行ったついでに、京都駅前のビルにあるジュンク堂にデ・フォレの『おしゃべり、子供部屋』を買いに行く。このあたりではいちばん大きな本屋なのだが、置いていない。まあ、こんなものか。さすがに平積みはしてないだろうと…

『カタリーナ・ブルームの失われた名誉』のことなど

お盆休みなのでどうでもいい話題を。 Allcinema Online のいい加減さは前にも書いたが、間違いはいっこうに減る気配がない。最近見つけた間違いをいくつか挙げておく。 ジャン・ルノワール『The Land Is Mine』→『This Land Is Mine』 『来るべき世界』(THIN…

日々の泡〜アガサ・クリスティ『ゼロ時間へ』ほか

アガサ・クリスティ Toward Zero(『ゼロ時間へ』) 少しぐらい飛ばし読みしても何の罪悪感も感じないという意味では、クリスティは英語の速読の練習にはうってつけの作家だ。何となくタイトルに惹かれて読みはじめたのだが、"Toward Zero" の意味は、冒頭の…

日々の泡〜デ・ラ・メア「失踪」など

『20世紀少年』の原作漫画については、以前にこのブログで書いたはずだと思い、調べてみると、その短い批評を書いたのはちょうど2年前だった。これが映画になったことよりも、このブログをもう2年以上もつづけていたということに、本気で驚く。だらだらや…

日々の泡〜ユセフ・シャヒーン亡くなる

ユセフ・シャヒーンが亡くなった。脳出血で倒れたあと数週間昏睡状態だったらしい。 実をいうと、わたしはまだシャヒーンの映画を見て本当にすごいと思ったことがない。もっとも、わたしが見たのは、日本で公開された『放蕩息子の帰還』(76)、『アレキサンド…

新作DVDと新刊本〜『陽気な中尉さん』『映画崩壊前夜』ほか

新作DVDと新刊本を、気づいたものだけ。 エルンスト・ルビッチ『陽気な中尉さん』、『ラヴ・パレード』 ジュネス企画です。 中原昌也『映画の頭脳破壊』 蓮實重彦、鈴木則文、柳下毅一郎、西島秀俊、芝山幹郎、阿部和重、長嶋有、井土紀州、樋口泰人、青山真…

『非Aの世界』ほか

スタニスワフ・レムが『枯草熱』という小説を書いているということをはじめて知ったときは、その「枯草熱」という未知の言葉に魅せられたものだが、だいぶ後になって、枯草熱を意味する "hay fever" という英語が「花粉症」の意味でも使われることを知って、…

2008.5.15 9.41

『接吻』という映画が気になっていた。昨日、『パラノイドパーク』を見にいった劇場のポスターを見て、これが万田邦敏の映画だと知る。そういえば、Film Comment に載っていた蓮實重彦のベストテンに万田の SEPPUN という作品がはいっていたことを思い出す(…

クリフォード・シマック『都市』、ほか

三日つづけて鳥居みゆきを見てしまった。恐ろしいもので、何度も見ているうちにあれがだんだん面白くなってきて、いつの間にかつぼにはまってしまっている自分に気づく。最近テレビに出る機会が多いせいか、芸もなんとなく洗練されてきたし、R1 のネタもよく…

ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー』

芸人でもないのに M1 の前日は眠れなかった。サンドイッチマンの一発目のネタは前に見たことがあったが、こんなに面白かったっけ、というぐらい神がかり的だったね。 Podcast で配信されている若い映像作家との対談で、中沢新一が、「〈知っている〉というの…

「BACCANO!」など

SOFTBANK の新機種が発表。カメラに特化したケータイを期待していた。910sh は国際ローミングに対応していないのが唯一の弱点だったので、あれと同じぐらいのデジカメ性能で、国際ローミング対応の機種を待っていたのだ。たしかに、今回の秋冬モデルにはずば…

『モノノ怪』ほか

ほんとに雑文です。 ハーモニー・コリンの新作が公開される。どこかで生きているとは思っていたが、ちゃんと新作を撮っていたらしい。話だけ聞くと、ふつうの映画っぽい題材だが・・・。 『ミスター・ロンリー』 監督:ハーモニー・コリン 出演:ディエゴ・…

『サッド・ヴァケイション』など

青山真治『サッド・ヴァケイション』 青山真治の最近の作品としては、久々によかった。ただ、これがとくにすぐれているというよりも、『Helpless』と『ユリイカ』というレフェランスを外部にもっている強みというべきだろうか。片腕の男のイメージをワンカッ…

ピエール・ガスカール『けものたち、死者の時』など

長いあいだ利用している地元の図書館に「Cahiers du Cinema」仏版がおいてあることに最近になって気づいた。雑誌コーナーにインターネット関連の雑誌を探しにいったとき、なにげに洋雑誌の棚を見たら、棚の側面に雑誌の名前をタイプしてリストアップした紙が…

『死刑執行中脱獄進行中』とか

オリヴェイラの最新の日本公開作は、『夜顔』監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演:ミシェル・ピコリ/ビュル・オジエ 内容:38年ぶりにパリで偶然再会した未亡人セヴリーヌと亡き夫の友人アンリ。アンリは胸に秘めていた、あの日起こった出来事に関する真…

若冲展に行ってきた

土曜日に相国寺に若冲を見に行ってきたんだけど、めちゃくちゃ混んでました。見に行く予定の人は、できたら土日は避けてください。平日に見に行くのが吉かと。 * わたしが行ったときは、はいるまで長い行列ができていた。「最後尾から入館されるまで、約80…

ハドリー・チェイスを復刊せよ、と小さく叫んでみる

『スパイダーマン3』を今日が初日のつもりで焦って近所のしょぼい映画館に見に行ったら、チケット売り場で「公開は明日からです」といわれ赤っ恥をかいてしまった。ワールドプレミアを日本でやるのはいいが、少年プロボクサーに馬鹿なレポーターがくだらな…

ドラマとか漫画とか

ひさしぶりにくだらない情報をまとめてみました。こういうものも見たり読んだりしてバランスを保たないと。 最近見ているドラマ。 『わたしたちの教科書』: 生徒役の志田未来が1話目でいきなり自殺してしまうのでおやと思わせる。2話目まで見たが、職員室…

ナチスの紋章学〜右向きか左向きか、それが問題だ

トゥルニエの『魔王』に次のような一節があった。カルテンボルンの指揮官が、紋章用語では右を左、左を右というと説明したあとで、次のように語るところだ。 こういった転倒には、たぶんあとから思いついたのだろうが、実際的な説明がなされている。盾という…

映像のトラウマ〜ジョン・ファウルズのことなど

デブラ・パジェットが地下の洞窟をさまよっていると突然、地面にあいた深い穴に落ちてしまう。彼女はその暗い穴のなかでなにかを見て驚愕の表情を浮かべる。その瞬間、キャメラが切り返すと、何十人ものライ病患者たちがそこに立っていて、それがゾンビのよ…

ネガとポジ、あるいはアルトマンとオルトマン

惑星の数がふえたかと思ったらへったりと、世界ではいろんなことが起こっている。それにしても、冥王星が惑星でなくなるかもしれないという話には驚いた。理由は小さすぎるからだとか。ホルストの『惑星』はどうなるんだと思ったが、あの曲が作曲された1916…

サッカーとか、カイエ・デュ・シネマとか

このブログも徐々にアクセスがふえてきているのか、いないのか。よくわからん。やっぱり、本格的なアクセスカウンターをつけないとだめなのか。無料のアクセスカウンターを試しにつけてみようとしたが、script は動かせなかった。はてなの有料オプションを使…

吸血鬼は虫歯の夢を見るか?

最近、歯医者に通い始めた。最後に歯医者に行ったのなんて十年以上前だ。そのあいだにすっかり様変わりしてしまったのだろうか。むかし持っていたイメージとはずいぶん違っていたので驚いた。むかしのハリウッド映画、ラオール・ウォルシュの『いちごブロンド…