2013-01-01から1年間の記事一覧
日本ではほとんど知られていないが、幻想映画の巨匠として海外ではかなり有名なベルギーの映画作家ハリー・クメール(Harry Kumel)の映画を2本。Kumel は「クーメル」と読む方が正解である気がするのだが、一般にはこういう表記になっているようだ。 『赤…
来年の2月8日に、神戸映画資料館でアレクセイ・ゲルマンについて講座を行うことになりました。前回ここで講座をやったときは、ジョン・カーペンターについてお話しさせてもらったのですが、今回はゲルマンということで、全然首尾一貫しませんが、自分で言…
『ゴダールの決別』Blu-ray DVD版 も再版。 レオス・カラックス『ホーリー・モーターズ 【リムジン・エディション】』(Blu-ray Disc) ヴォイチェフ・イエジー・ハス『サラゴサの写本』 Blu-ray、『愛される方法』 Blu-ray ポーランド映画の伝説的一本といっ…
ヒューゴー・フレゴネーズがハリウッドで撮った3本の西部劇の最後を飾る作品。かれがこの次にウエスタンを撮るのは、この約10年後で、それはドイツ人作家カール・マイの西部小説をユーゴスラヴィアで映画化したものになるだろう。だから、ある意味、この…
『エドガー・G・ウルマー DVD-BOX』 ついにこんなのが出てしまいましたか。ウルマーの7作品を収録。『恐怖のまわり道』などの代表作を押さえる一方で、けっこうマイナーな作品も入っている。『ハーレムにかかる月』『忘れられた罪の島(モンスーン)』『スリ…
最近出た注目すべき映画本を幾つか。いずれも読んでいないのだが、気になるものばかりなので、そのうち読んでみたい。 藤井仁子編『森崎東党宣言!』 鈴木則文『東映ゲリラ戦記』 (単行本) これは、連載時から単行本になるのを待ち望んでいた本。 ジョン・マ…
エルマンノ・オルミ『時は止まった』(59) エルマンノ・オルミが1959年に撮った長編デビュー作。 第二次大戦で父親を亡くしたオルミは、家計を支えるために、10代の頃から電力会社エディソン・ヴォルダ社で働き始める。皮肉なことに、というか、われわ…
ハリー・ケラー『狙われた女』(56) ちょっとした評判を聞いて見てみたものの、ハリー・ケラーなんて監督は名前も聞いたことがなかったので、さして期待はしていなかったのだが、まさかこんなに面白いとは。これはほんとに拾いものだった。 『狙われた女』は…
『巨匠たちのハリウッド アンソニー・マン傑作選 高い標的』 アンソニー・マン初期のサスペンス映画。ディック・パウエルが初期のミュージカル俳優からタフガイにイメチェンしはじめた頃の作品で、ほぼ列車のなかだけで物語が展開する。「高い標的」とはリン…
『フィルム・ノワール ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.3』 これ、いつの間にか第3弾が出ていたことに気づいた。今回収録されているのは、マイケル・カーティス『トゥルー・クライム殺人事件』、フィル・カールソン『スキャンダル・シート』、ルドルフ・マ…
イギリスの映画作家ビル・ダグラスは、自伝的な三部作(三部作と言っても、いちばん短いもので48分、全部合わせても3時間にも満たないのだが)と、19世紀イギリスの農場労働者たちを描いた『Comrades』の、わずか4本の長編だけを残して、1991年に…
ジャン=クロード・ルソーとの対話 シリル・ネラ [仏 capricci から出ているジャン=クロード・ルソー『閉ざされた谷』の DVD に同封されているブックレットのなかに、ルソーのインタビューが収められている(ちなみに、この DVD には、仏版 DVD としては珍…
テッド・テツラフ『フィルム・ノワール ベスト・コレクション 窓』 ヒッチコック作品で知られるキャメラマン、テッド・テツラフが監督したサスペンス映画。今となっては目新しい主題ではないが、やはり名作。 『アンソニー・マン傑作選 DVD-BOX2』 『アンソ…
カジミェシュ・クッツ『列車の中の人々』 Blu-ray 神代辰巳『もどり川』 [DVD] 公開されたときに見てますが、これ好きでしたね。 エレム・クリモフ『炎628』 [DVD] これは最近初めて見たのだが、特に、戦争の地獄を少年の目を通して描く前半の部分の野心的な…
まだこんな西部劇の傑作が残ってたとは、アメリカ映画の奥の深さにあらためて驚かされる。この映画は日本では未公開であり、本国アメリカでもほとんど忘れ去られていたといっていい。一度見たらとうてい忘れることのできないこのような作品でさえ、嘘のよう…
カミーロ・カステロ・ブランコ『破滅の恋: ある家族の記憶』 (ポルトガル文学叢書) [単行本]最近になって気づいたんだけど、これ翻訳出てたのね。カミーロ・カステロ・ブランコは、『破滅の恋』『フランシスカ』『絶望の日』の三部作でオリヴェイラが取り上…
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『囚われの女』 ハーモニー・コリン『スプリング・ブレイカーズ』 [Blu-ray] わたしは必ずしも評価してないのだが、超人気作品なので……。 キム・ジウン『ラストスタンド Premium-Edition』[数量限定生産・スチールケース仕様]…
ジョン・ボールティング『The Magic Box』(51)。エジソンやリュミエール兄妹の陰に隠れて忘れ去られてしまった、イギリスにおける映画のパイオニアの一人、ウィリアム・フリーズ=グリーンの生涯を描いた作品。映画の発明にかまけて家庭を顧みない主人公をロ…
アンジェイ・ムンク『鉄路の男』Blu-ray、『エロイカ』 Blu-ray「ムンク『鉄路の男』を見て、完全に絶句してちょっと次に進めない。かつてベッケル『穴』をアテネで見終わった後、お茶の水駅まで口が利けなかったあの感じだ」(青山真治) クリント・イース…
『ジョセフ・H・ルイス傑作選 DVD-BOX』 『私の名前はジュリア・ロス』、『秘密調査員』と『地獄への退却』を収録。『私の名前はジュリア・ロス』は、『暴力団』『So Dark the Night』などと並ぶルイスのフィルム・ノワールの傑作の一つ。必見。 アンソニー…
ウスマン・センベーヌ(センベーヌ・ウスマンともいう)は、セネガルの映画監督で、しばしば「アフリカ映画の父」などとも呼ばれる。『Xala』(「ハラ」)は、センベーヌの撮った4作目の長編である。フランスからの独立直後のセネガル。独立したといっても…
最近の DVD には、ワイド版(16:9)とスタンダード版の両方が収録されているものが多い。これが70年代や80年代の映画なら迷わずワイド版のほうを見ておけばいいのだが、50年代に撮られた映画となると、事態は意外とややこしいことになる。例えば、キ…
6月29日より始まる「濱口竜介プロスペクティヴ in Kansai」に多少とも協力していまして、神戸映画資料館のホームページに、「〈言葉〉を撮るドキュメンタリー──濱口竜介・酒井耕の東北三部作について」という文書を書かせて頂きました。東日本大震災後に…
あいかわらず全然更新できてませんが、そろそろ余裕が出てきたので来月からなんとかぼちぼち更新していくつもりです。というわけで、例によって DVD の紹介でお茶を濁す(すいません)。 ホセ・ルイス・ゲリン『ゲスト』 Blu-ray、『シルビアのいる街の写真…
山田宏一、 和田誠『映画 果てしなきベストテン』 『映画時評2009-2011』 「群像」の連載はほとんど全く読んでなかったのだが、1年前にこんな本が出ていたこともついさっき知った。あと、『柄谷行人蓮實重彦全対話』ってのももうすぐ出るらしい。 『小津安…
アントワーヌ・ド・ベック『ラ・シネフィリー 視線の誕生──1944−1968年 ある文化の歴史』 のんびり読んでたので、やっと半分ほど読み終わった。シネフィリー(映画愛)を歴史的に論じた本と思って読みはじめたのだが、今のところ、実質、「カイエ・…
『巨匠たちのハリウッド リチャード・フライシャー傑作選 DVD-BOX』 列車映画の傑作『その女を殺せ』は必見でっせ。 『その女を殺せ』、『カモ』、『静かについて来い』 『ハリウッド西部劇映画 傑作シリーズ DVD-BOX Vol.4』 『懐しのアリゾナ』『炎の街』…
DotDash メルマガ第7号では、アラム・アヴァキアンの『エンド・オブ・ザ・ロード』という映画を取り上げた。『エンド・オブ・ザ・ロード』は、トマス・ピンチョンと並び称されるアメリカの現代作家ジョン・バースの『旅路の果て』を、アルメニア系アメリカ人アラム…
ジョン・カサヴェテス『ラヴ・ストリームス』 ベルナルド・ベルトルッチ『ルナ』 [DVD] 『女は女である ブルーレイ』 [Blu-ray] 、『恋人のいる時間』 Blu-ray、『ワン・プラス・ワン』 ブルーレイ [Blu-ray] 、『女と男のいる舗道』 ブルーレイ [Blu-ray]、『…
DotDash メルマガ第6号では、ウジェーヌ・グリーンの『Le monde vivant』という映画を紹介しました。ジョアン・ペドロ・ロドリゲスが「カイエ」のゼロ年代ベストテンに選んでいる作品です。アメリカからフランスに移住したウジェーヌ・グリーンは、最初、バ…