明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。


このサイトはPC用に最適化されています。スマホでご覧の場合は、記事の末尾から下にメニューが表示されます。


---
神戸映画資料館「連続講座 20世紀傑作映画再(発)見」第15回
国辱映画『チート』とサイレント時代の知られざるデミル
詳細はここで。

---

評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アンソニー・マン『The Great Flamarion』とウィリー・ワイルダーについての覚書

アンソニー・マン『The Great Flamarion』(46) ★★ アンソニー・マンのフィルモグラフィーは、フィルム・ノワール時代、西部劇時代、スペクタクル活劇時代の大きく3つに分けられる。『The Great Flamarion』(未公開作品だが、「たそがれの恋」というノワール…

新作DVD——『阿片台地 地獄部隊突撃せよ』『サミュエル・フラー・セレクション Blu-ray BOX』ほか

DVD

『サミュエル・フラー・セレクション Blu-ray BOX』 『ショック集団』『裸のキッス』『チャイナ・ゲイト』の3作品を収録。DVD化・単品での発売の予定はないとのこと。 マーティン・スコセッシ『タクシードライバー 40周年アニバーサリー・エディション(初回…

ブライアン・デ・パルマ『レイジング・ケイン』再見メモ

ブライアン・デ・パルマ『レイジング・ケイン』★★ この映画を最初に見たのは、たしか当時たまたま2ヶ月ほど住んでいたトゥールの映画館のフランス語吹き替え版だった*1。わけがわからない映画に見えたのは、自分の語学力のなさのせいだと思っていたのだが、…

リチャード・フライシャー『静かについて来い』

リチャード・フライシャー『静かについて来い』★★ フライシャー初期の犯罪映画。フィルム・ノワールとして語られることもある作品だが、実際は、刑事映画といったほうが内容に近い。フライシャーとしてはマイナーな部類に入る作品で、正味一時間にも満たない…

エロール・モリス『The Thin Blue Line』——フィルム・ノワールに限りなく接近するポストモダン的(?)ドキュメンタリー映画の傑作

「『路上での偶然の出会いの物語』とモリスの呼ぶこの見事に様式化されたドキュメンタリーは、エドガー・G・ウルマーの『恐怖のまわり道』のように容赦のないほど運命論的であり、『ブロンドの殺人者』の夢のシークエンスのように奇妙に芸術的であり、『過去…

新作DVD――『チャップリン Blu-ray BOX』、『侯孝賢 「冬冬の夏休み」「恋恋風塵」デジタルリマスターBOX』ほか

DVD

『ハリウッド刑事・犯罪映画傑作選 DVD-BOX 2』 『Tメン』(アンソニー・マン)、『ボディガード』『札束無情』(リチャード・フライシャー)、『ミステリー・ストリート』(ジョン・スタージェス)、『ビッグヒート 復讐は俺に任せろ』(フリッツ・ラング)…

ウィリアム・ディターレ『科学者の道』――「伝記映画」についての覚書

ウィリアム・ディターレ『科学者の道』(The Story of Louis Pasteur, 36) ★★ 「『伝記映画』なんてジャンルがあるのだろうか。そりゃあ、個々別々の『伝記映画』なるものは数限りなくあるだろう。しかし、『伝記映画』というカテゴリーがかつて存在したとい…

ヴェラ・ヒティロヴァ『O necem jinem』——平行線は交わらない

ヴェラ・ヒティロヴァ『O necem jinem』(Something Different, 63) ★★ 『ひなぎく』で(というか、この一作のみを通じて)日本でも有名なチェコの女性映画監督ヴェラ・ヒティロヴァの長編デビュー作。チェコ語は全くわからないが、英題・仏題から推測するに…

エリック・ロメール『聖杯伝説』――ブレヒトによって演出されたバスター・キートン?

エリック・ロメール『聖杯伝説』(Perceval le gallois, 78) ★★★ クレティアン・ド・トロワによって12世紀末に書かれた未完の宮廷騎士物語『ペルスヴァル(パルシファル)、あるいは聖杯伝説』を、エリック・ロメールが非常に様式的なスタイルで映画化した…