明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。





























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神戸映画資料館でわたしが行っている「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見」の詳細が決まりました。

「連続講座:20世紀傑作映画 再(発)見 第8回 パプストとブルックス──『パンドラの箱』を読み解く」 2019年12月22日(日) 詳細はここで。
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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

アジア映画

トンポン・シャンタランクン『I Carried You Home』

トンポン・シャンタランクン『I Carried You Home』(Padang besar, 2011) ★★ タイ映画、といってもアピチャッポンの映画のように型破りで、作家性に溢れている映画ではないし、アノーチャ・スイッチャーゴーンポンのように実験的な作品でもない。タイの映画…

『アンジェラ・マオの女活殺拳』

『アンジェラ・マオの女活殺拳』(Hapkido, 72) ★★½ アンジェラ・マオインが活躍する女ヒーロー物。ブルース・リーと共に武侠映画(カンフー映画、とは微妙に違うが、ややこしいのでとりあえず同じものとして扱う)がアメリカに初めて知られはじめた頃に作ら…

チャン・チェ『残酷復讐拳』

チャン・チェ『残酷復讐拳』(Crippled Avengers, 1975) ★★★ 眼や腕など身体の一部を欠落させたものたちがヒーローとして活躍する物語なら、われわれは「座頭市」や「丹下左膳」などで慣れ親しんできた。自分の身体的欠損を、それを補って余りある力へと反転…

チェン・チャンホー『キング・ボクサー/大逆転』

チェン・チャンホー『キング・ボクサー/大逆転』(King Boxer/Five fingers of Death, 1972) ★★½ タイトルだけ見るとボクシングの映画のように思えるが、ボクシングとはまったく関係ない。カンフー映画である。カンフー映画とふつう呼ばれているアクション映…

チャン・チェ『少林拳対五遁忍術』

急に暇になったので、これからはブログをまめに更新していこうと思う。 チャン・チェ『少林拳対五遁忍術』★½ チャン・チェのショー・ブラザーズ時代後期の作品。カンフー映画ファンの間では評価が高いようなのだが、わたしはあまりノレなかった。ジミー・ウ…

リトウィク・ガタク『Ajantrik』

リトウィク・ガタク『Ajantrik』(58) ★★★ インドの映画監督リトウィク・ガタク(読み方いろいろ)がデビュー作『Nagarik』に続いて撮った長編劇映画第2作(共同監督作品も数えると違ってくるが)。これまでガタクの映画は6,7本見ているが、出来不出来は別に…

シャフラム・モクリ『Fish & Cat』——ワン・カットの長回しで撮られたイラン製ホラー映画

シャフラム・モクリ『Fish & Cat』(Mahi va gorbeh, 2013) ★★½ 全編ワン・カットで撮られたイラン製ホラー映画(といっていいのだろうか?)。好奇心で見たのだが、意外と面白かった。 イランのレストランで人肉の料理を出していたコック数人が逮捕されると…

幽閉と狂気――アドゥール・ゴーパーラクリシュナンについての覚書

一昔前は、日本でインド映画といえば後にも先にもサタジット・レイ(「レイ」ではなく「ライ」と読むのが正しいらしいのだが、いまさら言われてもなぁ)のことだった。やがて、『ムトゥ 踊るマハラジャ』でインド製ミュージカル映画の空前のヒットと共にイン…

ラヤ・マーティン『Short Film About the Indio Nacional (or The Prolonged sorrow of the Filipinos)』

ラヤ・マーティン『Short Film About the Indio Nacional (or The Prolonged sorrow of the Filipinos)』フィリピン映画の新鋭ラヤ・マーティンの監督第2作で、彼の長編デビュー作。この映画を撮ったとき、マーティンはわずか21歳だったが、映画は国際的…

フィリピン映画、新旧2本

エルウッド・ペレス『Silip イヴの娘たち』(85)。 砂丘で男が、「どんな生きものも死ぬんだ」といいながら、子供たちの目の前で水牛を叩き殺す。かわいそうと言って泣き叫ぶ子供たち。すると、そのなかにいた一人の少女の股間から初潮の血が流れだす……。そん…

フィリピンの光と影〜ブリランテ・メンドーサの映画についての覚書

ブリランテ・メンドーサはフィリピンの映画監督で、2005年以来現在にいたるまで9本の映画を撮っている。8作目の『Kinatay』が第62回カンヌ映画祭で監督賞を受賞し、最新作『Lola』も第6回ドバイ国際映画祭で作品賞を受賞するなど、ますます国際的に…

韓国映画を見る1

『映画史』のゴダールは、日本には個々の映画作家はいても、日本映画というものは存在しないという意味のことを言って物議を醸した。ゴダールのファンでさえ、それは言い過ぎだろと思ったものだが、韓国映画史を30年代から振り返ってみるうちに浮かんでく…

『マニラ・光る爪』『カカバカバ・カ・バ』『エリアナ、エリアナ』

シネ・ヌーヴォの「アジア映画の巨匠たち」で、リノ・ブロッカ『マニラ・光る爪』、マイク・デ・レオン『カカバカバ・カ・バ』、リリ・リザ『エリアナ、エリアナ』の3本をつづけて見る(キム・ギオンの『下女』は見ているのでパス)。一日3本なんてずいぶ…

ワン・ビン『鉄西区』

あいかわらず、なにも書く気がしない。また、DVD の紹介をしておく。 ワン・ビン「A l'ouest des rails」(『鉄西区』) フランスで『鉄西区』の DVD が、去年、発売されていたことに、先日気づいた。ホットなニュースではないかもしれないが、念のために報…

フィリピン・コネクション〜ヘルマンからブロッカへ

モンテ・ヘルマンのおよそ20年ぶりとなる長編劇映画の新作が、まもなく公開されようとしている(日本公開は未定。というか、まだポスト・プロダクションの段階と思われ、完成しているかどうかも定かでない)。タイトルは、「Road to Nowhere」。泣かせるタイ…

新作公開情報〜ジャ・ジャンクー『長江哀歌』

最近、ヤナーチェクばかりを聴いている。結構ヘンテコですね。ドヴォルザークやスメタナとは全然ちがう不気味さがなんともいえない。わたしは音楽を語る言葉をもっていないので、聴いたことがないひとは、とりあえず、いちばん有名な『シンフォニエッタ』で…

『マジシャンズ』

ソン・イルゴン『マジシャンズ』★☆全編がワンショットで撮り上げられていることで話題になった作品。『エルミタージュ幻想』ですでに試みられている技法であるが、映画を最初から最後までカットなしに撮り切るというのは、映画を撮る側だけではなく、映画を…

チャン・ユアン『緑茶』〜一人二役につての覚書

また『となりのトトロ』を見てしまった。テレビで放映されるとついつい見てしまう。宮崎駿のアニメではわたしはいまだにこれがいちばん好きだ。リアリスティックな部分とファンタスティックな部分のバランスがいちばんいいように思えるし、説教くさくないの…

グェン・ホン・セン『無人の野』

グェン・ホン・セン『無人の野』(1980)★★ネオレアリスモふうヴェトナム映画。ヴェトナム戦争をベトコンの側から描いているというだけで評価されているが、正直いって、かなり素朴というか、稚拙な作品である。しかし、土地の大部分が水に浸かっている湿地…

アピチャポン・ウィーラセタクン『ワールドリー・デザイアーズ』

先日、京都の日独文化センターで行われているイメージフォーラム・フェスティバルに行ってきた。本当は大阪シネ・ヌーヴォで上映される『Celebrate CINEMA 101』を見に行く予定だったのだが、イメージフォーラム・フェスティバルでアピチャポン・ウィーラセ…

エイアル・シヴァン、ミシェル・クレイフィ『ルート181』

1月末に、京都の「ひと・まち交流館」という場所に映画『ルート181』を見にいく。『スペシャリスト:自覚なき殺戮者』のエイアル・シヴァンと『ガリレアの婚礼』のミシェル・クレイフィが共同で撮ったドキュメンタリーだ。最近は劇場に映画を見にいくこ…

ホン・サンス『女は男の未来だ』

ホン・サンスの『女は男の未来だ』を見るため久しぶりに動物園前シネフェスタにいく。地下鉄の動物園前で降り、劇場に一番近い5番改札口をでるとき、いつもローマのチネチッタのことを思い出してしまう。むかしいったチネチッタの地下鉄の駅がわたしの記憶…

セディク・バルマク『アフガン零年:OSAMA』

タリバン政権下のアフガンを描く。生活のために少女が少年になりすますという話は『少女の髪どめ』でもあったが、この映画では想像以上に悲惨な結末で終わる。少女は少年のふりをしてほかの少年たちとコーランを覚えたりするのだが、それがタリバンにばれて…

『殺人の追憶』

ポン・ジュノ『殺人の追憶』を今頃になってテレビで見たのだけれど、予想以上にいい作品だったので驚いている。一言でいうとサイコ・スリラーものなのだが、よくできているだけの『セブン』などよりはよっぽど刺激的な映画だ。舗装もされていない道の両側に…

アッバス・キアロスタミ『5 five 〜小津安二郎に捧げる〜』

車のなかで人物が会話する10のシークエンスのみで構成されていた前作『10』の数字を半分にしたタイトルを持つ『5 five』は、『10』よりもさらに贅肉をそぎ落とした究極のミニマル映画だ。ここでは10のシークエンスどころか、5つのショットしかない。登場人…