明るい部屋:映画についての覚書

日々の映画鑑賞と研究の記録、最新DVD情報などなど。ときどき書評めいたことも。










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評価の目安:

★★★★(大傑作、あるいは古典)
★★★(傑作、あるいは必見)
★★(見たほうがいい)
★(興味深い)

(基本的に、興味のない映画はここでは取り上げません。なので、ここで話題にしている時点で、それなりに見る価値はある作品であるといえます。)

フィルム・ノワール覚書

フィル・カールソン『ギャングを狙う男』

フィル・カールソン『ギャングを狙う男』(99 River Street) ★★★ ボクシングの試合のシーンから始まる映画は少なくない。これもそんな映画の一つだ。リングの上で二人のボクサーが激しいパンチの応酬をしあっている。パンチが入るたびに興奮してまくしたてる…

ロバート・シオドマク『ハリー叔父さんの悪夢』

ロバート・シオドマク『ハリー叔父さんの悪夢』 (The Strange Affair of Uncle Harry, 1945) ★★½ ヒッチコックの『疑惑の影』のようなスモールタウンを舞台にした犯罪ものと一応は言うことができるだろう。しばしばフィルム・ノワールにも分類される作品であ…

ガード・オズワルド『Crime of Passion』

ガード・オズワルド『Crime of Passion』(57) ★★ リュック・ムレお気に入りの監督ガード・オズワルドによるフィルム・ノワール。新聞記者としてのキャリアをあっさり捨てて刑事と結婚した女は、郊外で主婦として暮らす日常に早くも死ぬほど退屈しはじめる。…

チャールズ・ブラービン『街の野獣』――プレ・コード時代の壮絶な銃撃戦

チャールズ・ブラービン『街の野獣』 (The Beast of the City, 32) ★★ 正直、あまり期待していなかったのだが、予想もしていなかった展開と、何よりもラストの銃撃戦の凄まじい暴力性に圧倒された。厳密に言うならば、この戦前に撮られた警察映画はフィルム…

ロバート・ワイズ『捕われの町』――50年代反共映画に限りなく近いフィルム・ノワール

ロバート・ワイズ『捕われの町』(The Captive City, 52, 未)★★ロバート・ワイズの最高傑作の一つという人もいるフィルム・ノワールの佳作。私自身はそれほどの感銘を受けなかったのだが、実に興味深い作品である。車でハイウェイを疾走していた主人公の新聞…

ピーター・ゴッドフリー『第二の妻』——画家とモデルの吸血的関係

ピーター・ゴッドフリー『第二の妻』(The Two Mrs. Carrolls, 47) ★★½ 『レベッカ』『ガス燈』『断崖』の系譜に連なるフィルム・ノワールの佳作。「妻を殺そうと企む夫」という物語はフィルム・ノワールではお馴染みのもので、他にも、『扉の陰の秘密』、『…

アンソニー・マン『The Great Flamarion』とウィリー・ワイルダーについての覚書

アンソニー・マン『The Great Flamarion』(46) ★★ アンソニー・マンのフィルモグラフィーは、フィルム・ノワール時代、西部劇時代、スペクタクル活劇時代の大きく3つに分けられる。『The Great Flamarion』(未公開作品だが、「たそがれの恋」というノワール…

リチャード・フライシャー『静かについて来い』

リチャード・フライシャー『静かについて来い』★★ フライシャー初期の犯罪映画。フィルム・ノワールとして語られることもある作品だが、実際は、刑事映画といったほうが内容に近い。フライシャーとしてはマイナーな部類に入る作品で、正味一時間にも満たない…

ヒューバート・コーンフィールド『Plunder Road』――ロード・ムーヴィー・ノワールの佳作

ヒューバート・コーンフィールド『Plunder Road』(57) ★½ この映画は、いわゆる "heist movie" (強奪映画)の初期の代表作の1つだが、フィルム・ノワールとして語られることも少なくない。いろいろとユニークな点があってなかなか興味深い作品である。銀行…

ドン・シーゲル『地獄の掟』――アイダ・ルピノと Filmmakers についての覚書

ドン・シーゲル『地獄の掟』(Private Hell 36, 54) ★½ 実は見るのは今回が初めて。大好きなドン・シーゲルの未見の作品ということで、かなり期待したのだが、正直、がっかりするできだった。なぜか『第十一監房の暴動』のような監獄ものだと長い間思い込んで…

ノーマン・フォスター『Woman on the Run』――フィルム・ノワールとメロドラマのあいだで

ノーマン・フォスター『Woman on the Run』★★ さほど期待していなかったのだが、思いの外よくできた作品だったのでびっくりした。監督のノーマン・フォスターは、オーソン・ウェルズの『恐怖への旅』の監督であり、『イッツ・オール・トゥルー』にも関わって…

グレゴリー・ラトフ『Moss Rose』――ペギー・カミンズの暴走

グレゴリー・ラトフ『Moss Rose』★★ 19世紀、切り裂きジャックにこそ相応しい深い霧に包まれた夜のロンドン。女友達を殺されたミュージック・ホールの女役者ベル(ペギー・カミンズ)は、事件の直後にアパートを立ち去った怪しい男マイケル(ヴィクター・…

ジョン・H・オウア『眠りなき街』——都市の声、機械人形の涙

ジョン・H・オウア『眠りなき街』(City That Never Sleeps, 53) ★★½ これまでも折にふれてフィルム・ノワールの変種をいろいろ紹介してきたが、この作品もまたフィルム・ノワール史上まれに見る風変わりな作品のひとつと言ってもいいかもしれない。 * * * …

アンドレ・ド・トス『おとし穴』――郊外のフィルム・ノワール

アンドレ・ド・トス『おとし穴』(Pitfall, 48) ★★½ ディック・パウエル演じる保険会社の調査員ジョンが、会社の金を横領したかどで逮捕された男の愛人モナ(リザベス・スコット)の住む家を訪ねる。男が女に貢いだ品物のリストを作って、損失の一部を回収す…

ジャック・ターナー『恐ろしき結婚』

ジャック・ターナー『恐ろしき結婚』(Experiment Perilous, 44) ★★ 「視覚的スタイルだけで判断するなら、ターナーの最も完成された作品のひとつ。ターナーは俳優たちの身体、キャメラのポジション、舞台装置を用いて、作品全体に広がる繊細なイメージのパタ…

ロバート・モンゴメリー『Ride the Pink Horse』

ロバート・モンゴメリー『桃色の馬に乗れ』(Ride the Pink Horse, 47) ★★½ 『湖中の女』で監督デビューした俳優ロバート・モンゴメリーが、同じ年に続けて撮ったフィルム・ノワールの傑作。日本では残念ながら未公開であるが、フィルム・ノワールのファンの…

『夜は千の眼を持つ』『Strangers in the Night』

ジョン・ファロー『夜は千の眼を持つ』(Night Has a Thousand Eyes, 47) 真夜中、鉄橋から線路に身を投げて自殺しようとする女を、恋人らしき男がぎりぎりの瞬間に駆けつけて救い出すところから映画は始まる。「空に輝く星々が千の眼のように自分を見てい…

カーティス・バーンハート『高い壁』

主人公が目が覚めると傍らで妻が死んでいた……。記憶喪失はフィルム・ノワールでしばしば描かれる主題の一つだが、ここではそれが、主人公の戦争で受けた脳障害と結びつけて語られる。精神病院の中で治療を受けるあいだにしだいに記憶を取り戻してゆく主人公…

デイヴィッド・ミラー『突然の恐怖』

アメリカにおける「作家主義」の原点でありバイブルでもある『The American Cinema』において、「デイヴィッド・ミラーがどうして賞賛されるようになったのかは、アングラ批評の解けない謎の一つである」とアンドリュー・サリスに評言されている映画監督デイ…

ミッチェル・ライゼン『No Man of Her Own』

ミッチェル・ライゼン『No Man of Her Own』 男に捨てられた女(バーバラ・スタンウィック)が、お腹に子供を宿して一文無しの状態で列車に飛び乗る。そこで親切な新婚夫婦と知り合うのだが、その直後に列車事故が起き、新婚夫婦はふたりとも死んでしまう。…

『Too Late for Tears』『The Burglar』

以前、「フィルム・ノワール ベスト50」というリストを作った。フィルム・ノワールと呼ばれるジャンル(と呼んでいいのかは、微妙な問題だが)の代表的作品、これだけは見逃せないという作品を50本選んだものだ。それなりに自信を持って作ったつもりであ…